五月の夜 (四季) - チャイコフスキー

「かぐや姫」が月に旅立った晩って、きっとこんな夜だったんだろうと想像します。
というか、「空気の澄んだひんやりした夜」といい 「翁・嫗(おうな)の嘆き」や「舟が空を昇っていくシーン」といい、この曲は「竹取物語」そのものに聴こえます。 ねぇチャイさん、あなたこの本読んだでしょ。

大昔、「白鳥の湖」を踊ったとき、バレエの先生は私たちを集めて音を聴かせました。 スタジオで身体を動かさずに音だけを聴いたのは後にも先にもその時だけです。 「きれいで優雅な旋律と脅すような怖い音が同時に鳴ってるの、わかる?」「白鳥の動きは優雅だけど、いつもいつも 悪魔に怯えてることを忘れないで。」(悪魔=ロットバルト=人間の女性を白鳥の姿に変えた)
この組み合わせを「五月の夜」で見つけました。
五月の夜、繊細な音と怖い音 高音はとても繊細で哀愁ただよう旋律です。一方、低音は威圧感のある迫ってくるような音です。
これは「永遠の別れを知った翁・嫗の嘆き」と「かぐや姫との別れをつきつける現実」。メロディーと伴奏ではなく、 それぞれの音が独立して同時に流れるように弾けたらいいなと思っています。 それまでのやわらかい音色を壊すような残酷さを表現できるかしら。

ところで「五月の夜」の英語表記は "May Nights" となっているんだけど、「五月の夜(複数)」、ぜーったい "May Night" "A Night in May" であるべきだと思う。(楽譜にはドイツ語?とフランス語の表記もあるけど、 そもそも読めないので話にならない。で、なんで、チャイさんのロシア語はないの?)  だってね、例えば「古池や蛙飛び込む水の音」の蛙が複数ピョンピョン跳ねてたら、この句は成り立たないよ。 同様に「これほどに澄みきった美しい夜」が連日続いたらもはや「美しい」なんて思えないもの。ね。

‥‥‥と、ここまで書いたら「"五月の夜"の原題は"白夜"だそうよ」というご指摘をいただきました。 しまった!複数形ありえへん!なんて言ってしまった。m(_ _)m 言い訳するんじゃないけど、あ、言い訳してるんだけど、 西洋の多くの国で「月=悪魔の象徴」だから(ベートーヴェン「月光」第3楽章はまさに悪魔だと思う)、 「月を見上げてうっとり」なんて有りなのかなぁ?とは思ったんだ。(^^;
ま、それとは別に(←身勝手)私は日本人の思う「月」として考えようと思います。 いいよね?いいよね?(←自信なくなってきた‥)

さて、1ヶ月以上弾いてみて、最初のぽわ〜んとしただけの音(騒音?)は少しだけど、ひきしまってきたつもりです。 この曲を習う目的とした「きれいな音を出したい」は、実際どうなっているかしら。