組曲から1〜2曲を選ぼうと思ったら、「せっかくだから全部やりましょうよ」と先生がおっしゃって、 全7曲、なんともたいへんなことになってしまいました。
子供の頃に思っていたバッハのイメージは、練習曲と大きな曲(ソナチネやソナタ、後半でロマン派曲。 楽譜で4ページ以上)の間に位置する「少し難しい練習曲」でした。毎週3曲が課題曲になっていて、2曲目に 弾いていたのと、ペダルを使わないこと、インベンションとシンフォニアの半分ぐらいとアンナマクレニーナ? のなんとか‥しか経験がないからかもしれません。今回フランス組曲を弾いてみて、他のバッハ曲も聴いてみて これらは3曲目に弾いていた「大きな曲」に分類されるべきと感じました。(ページ数は少ないけどね)
「なぜペダルを踏まないか」‥ペダルの存在しない時代、ピアノの前世であるチェンバロで創られ、奏でられた曲 だからだそうです。ピアノのように音を伸ばしたり強弱をつけることのできない楽器だそうです。楽譜にスラー 指示や強弱表示がないのはチェンバロが表現しないのだから当然、(というよりピアノの出現で叶えられた表現 なのでしょうね)長音やアクセントはトリルとなって現れます。私の電子ピアノには「ハープシコード」モードが あるので、時々切り替えて、チェンバロ風な響きを想像しました。後世の楽器「ピアノ」の語源が「ピアノとフォルテ」、 つまり「小さい音も大きい音も表現できる楽器」であることも知りました。
バッハの時代の音楽は「曲自身の主張」よりも補佐的な役割が強かったのですか。私には各曲個別のストーリーも
組曲としてのテーマも浮かびませんでした。
もし音楽がBGMとして人の会話を潤滑にするのが目的だったり、舞曲として「踊り、踊る人が主人公」だとすると、
曲そのものの主張が強すぎると成り立たない気もします。喫茶店でベートーベンのソナタなんてかかっていたら会話が
止まっちゃいますもんね。
組曲を選んだことで、いろんなことを考えることができました。1曲だけ選んでいたら思い浮かばなかったと思います。
響きの美しい曲です。ただ、淡々と奏でることを意識しないと、ロマン派曲になってしまうと注意を受けました。 今までも、楽譜にスラーやスタッカートの表示があれば、音をなめらかにつなげたり、短く切ったりするようにする ことを知っていました。でも、何も表示がないときに、それがどういう意味なのかを考えたことはありませんでした。 表示がないことが表示であることを知った曲となりました。
私が経験したことのあるバッハに一番近い音です。曲を通して2声が守られているのとその響きからバッハ・インベンションが
香ります。アルモンドが「余韻」を大切に終了しているのに対し、続くこの曲の出だしはフォルテで「張り」を
もたせたいです。始終、明るくキレのある音を感じていたいです。
この曲にはストーリーが浮かびません。演奏する一人というより指揮者として見つめたい曲です。手を大きく
振り上げてソプラノやテナーのパートを促したり、「もっともっと大きく」、逆に「抑えて抑えて‥」と音を
引き出していく様を想像しました。
荒れ果てた荒野、砂嵐が方々で舞っています。疲れきった男が馬を降りて、ドアを
バタンとあけると、スコッチを片手に笑う、怒る、汚れた男たちが数人。カウンターにはコルセットで胸を
押しあげた肉付きのよい、少し歳のいった女が「これしかないけど?」とウィスキーの瓶をつきだしました。
‥‥ってイメージがこの曲から浮かぶのですが。西部劇はアメリカだし、バッハより200年ぐらい後なんだよね。
しかも「フランス組曲」と名うってる。
実は‥疑問だらけのまま弾いています。
日曜日には色とりどりの民族衣装を着飾った人たちが広場に集まります。
この国で女性は16歳で成人となり、もうすぐ仲間入りの女たちはひときわ美しく輝いています。
彼女たちは輪になってゆっくりと踊りだします。(「ブレー」につづく)
この組曲に興味をもったのはガヴォットを聴いたからです。子供のころから体にしみついている曲です。
これはバレエの練習曲として使われます。(タンジュ:足の動きの1つ)この組曲に決まる過程で、いろんな
バッハ曲を聴いてみたのですが、バレエのレッスンで聞いたことのある曲の多いこと、多いこと。バレエの
舞台はオーケストラで演奏する曲が主ですが、練習では先の交響曲を単純化したものかクラシックピアノ曲の
一部をピアノ単体で奏でます。このため、私には「誰のなんて曲かは知らないけど聴いたことある曲」が
とても多いのです。
子供たちはそんなお姉さんたちがうらやましくてたまりません。輪の外で見よう
見真似で体を動かします。いつしかそれは大きな輪となり、お姉さんたちも巻き込んでいきます。配達途中の
郵便屋さんは自転車を止めて体でリズムをとっています。
「ご飯の時間よー」と呼びに来たはずのお母さんたちはエプロン姿のまま踊りだしました。
(「ルール」につづく)
ガヴォットの落ち着いた動きからテンポをあげた舞曲が、人々のはしゃぎまわる姿を思い浮かべます。
実際にはそれほど速度があがってる訳ではないのにそう感じるのは、くるくる回るような、軽快な音の動き
だからでしょうか。何回でも繰り返し、何時間でも踊り続けるように感じます。
皆が踊りつかれた頃にはもう陽が傾いていました。「またね」。「おやすみなさい」。
ひとり、またひとり、広場は元の静けさを取り戻していきます。今夜は星が明るい夜となるでしょう。
♪夕焼け小焼けで日が暮れて‥♪をイメージされる曲だと思いませんか。
ところで、この曲は「6/4拍子」なのですが、初めて見ました!6/4!! その中にいろんな長さの音を入れてあるので、
いち、に、さん‥って数えててもわかんなくなっちゃう。いやぁ、参った。
「踊り比べ」って知っていますか。2つ(またはそれ以上)のグループに分かれて、踊りを競いあうんです。
同じ音・曲が繰り返し流れて、「ほら見てよ」「こっちのほうが上手いでしょ?」と徐々にステップの難度を
あげていきます。
「謡い比べ」はあるのかないのか知りませんが、ここでは、競い合うように音が流れていきます。
出だしはソプラノの声でかわいらしく歌います。かわいらしいといってもソプラノのソロを歌うわけなので、
子供っぽいかわいらしさではなく、華やかさをもたせたいです。続いてアルト、第2バイオリンでしょうね、が
おいかけます。
今度はテナーのソロが出だしの響きを奏でます。動きは同じですが音をさげていますね。男性らしく、揚々と
歌い上げます。
コーダは、このソロが再度左手に出てくるのです。メロディーが右手にきているので、言われないと気づかない
のが残念‥ こういうのは大好き。映画や本は単体でも十分に楽しめるけど、前編を見ている人にだけわかる
ようなティップスが入ってることってあるでしょ、気づくとすごく得した気分。そんな感じ。