なんだか日本の笛や太鼓の音みたいー。ドビュッシーさんって日本フリークだったりしてぇぇ‥ なんて、空美様に伺ったら、本当に ドビュッシー(1862-1918)は部屋に日本の絵画(浮世絵)や陶器を飾るほど「日本びいき」だったと 教えていただきました。アラベスク2に日本の楽器をイメージしたかどうかはわかりませんが、 彼の曲が身近に感じられて、楽しさ倍増!でスタートです。 私の不躾な質問に丁寧に調べてくださり、空美さま、本当にありがとうございました!
この曲にはミーコを感じます。
(注:ミーコは猫の総称でもあります)(=^_^=)
予測がつかない猫の動き。予想を裏切る猫の動き。
お稽古が進むうちにわかってきたのですが、この曲はあちこちでフォルテとピアノが常識と逆なんです。
ぐんぐんクレッシェンドしていって更なる f を期待させながらへロッとppに収める。
音が薄くなって当然ディミニエンドかけたいのにドーンと f 表示。
私にはそんな「楽しい非常識」が創りだせるでしょうか。こんな↓光景を思い浮かべながら弾いています。
わたし、ミーコ。そんなダサイ名前、本当はイヤなんだけど「ミーコ」って呼ばれると、つい顔上げちゃうの。
みんな、わたしのこと「わがまま」とか「気まぐれ屋」だとか言うでしょ、でもそういうんじゃないのよ。
なんて言うか、「わたしの陣地」っていうものがあって、それを邪魔されるのがイヤなだけ。
あっ、ほら、コオロギが。思わず飛びついちゃったじゃないのっ。
あら、脚取れちゃったのね。いいわよね、6本もあったんだから。
足をきちんと揃えて座る猫。宙をぼんやり見つめていた目は、まばたきもなく鋭さが宿り、目の前にきた"動くもの"を
咄嗟に前足で押さえます。最初は触れる程に、"敵"が抵抗すると今度は爪をたてて力を込めて。
pp の規則正しい音が、アルペジオ和音で cresc.する様は「わたしの陣地」に入ってきた虫を追う動きです。
虫が動かなくなれば、それ以上の興味はありません。
死んだふりをしていたコオロギは頃合を見計らってピョ〜ンと飛び出しました。驚いたミーコも飛びつきます。あぁ失敗。もう1回。
コオロギ落ちた。わたしの勝ち? ピョーン。 え?違うの? ガチャーン。ピョ〜ン。ドターン。バターン。
一難去って、汚れた爪を舐め始めたミーコにふりかかったのはこんな格闘劇でしょうか。
お祭りのようなフォルテと何事もなかったようなピアノが忙しく繰り返されます。
大きな音はつい感情的に弾いてしまうのですが、客観的に表現したいものです。
わたし達、猫が、どうしてこんなに品良く歩けるのか教えてあげましょうか。
それはね、爪を隠して歩くからなの。
歩くだけなら犬でも馬でもできるけど、ドタバタ、あの人たちのは格好悪いでしょ。一緒にしないでね。
ドンチャン騒ぎの後のスタカートには、ちょっと気取って軽やかに歩く光景が浮かびます。
ただ、犬や馬にできて猫にできないこと教えてあげましょうか。
単調にまっすぐ歩くこと。歩きながらクルリと自転してしまったり、背中が痒くてガブッて咬んだり。そうよね?ミーちゃん。
ねぇ、もう落ち着かせてもらえるのかしら。わたし、少しでも汚れているのって嫌いなのよ。
猫の毛づくろいには色気があります。一心に身体を舐めている途中ふと顔をあげるとき、そのアンニュイな表情に
魅せられます。
曲想は徐々にスタッカートが減ってレガートになっていきます。パリッと明るい音から憂いを含んだ響きに
変わります。いやらしくなく、艶っぽい音が出せるといいのですが‥
ふゎ〜、なんだかまぶたが重い‥ もしかして‥ 寝ちゃうかも‥ 寝ちゃう‥
うとうとし始めたミーコはきっと、空を飛んでいる夢を見ていることでしょう。meno mosso のところです。
気配。眠りを妨げる気配。ミーコは身じろぎもせず眼光を光らせます。餌場に舞い降りた小鳥。
ミーコは身体を低くして"敵"を睨みます。小鳥はまだ異変に気づきません。ミーコはさらに頭を低くして
後ろ足はいつでも蹴りだせるように地をしっかりつかみます。背は逆に反り上がりお尻が最大限に膨らみます。
そのときっ!
ここのクレッシェンドは10小節続きます。オーケストラであれば2小節ずつ楽器を変えながら盛り上がって
いくことでしょう。10小節の最後には "rit"指示があり、まるで勢いよく空中へ飛び出したミーコが
スローモーション映像になっているように感じます。
怒りを冷ますかのようにフッと短く息を吐きだします。元の場所へゆっくり戻ると、乱れた毛を舐め始めました。
「2つのアラベスク」、1番のほうが「きれいな曲」だと思います。でも2番は「いい曲」。聴くなら1番、
弾くなら2番が愉しいかな。
響く和音(音の組み合わせ)を響かせないように鳴らしたり、感情的になりやすい強弱を冷静に冷酷なほど無機質に弾いてみる‥
というのは新しい挑戦でした。
ところで、バレエにも 「アラベスク1番」「アラベスク2番」 と呼ぶポーズがあります。 1番のほうが「素直にまっすぐな印象・直線・静」、2番は「立体的な印象・曲線・動」に見えるかと思います。 全然関係ないのでしょうが、ドビュッシーの「1」「2」と相通じる気がしませんか。 (バレエもね、フランスで生まれたものなんですよ)