CO2の地下封入

火力発電所などが大量に排出する二酸化炭素を地上に漏れ出す恐れのない岩盤下の地層に高圧で送り込み、地下水に溶かす実験を財団法人・地球環境産業技術研究機構(RITE)ご行っています。
新潟県の帝国石油天然ガス田に、約1ヘクタールの実験施設がある。高さ18メートルのタンクには、タンクローリーで運び込まれた液体のCO2を90トン溜められている。これを加熱気化させ、約70気圧の圧力をかけて地下1100メートルの帯水層(地下水が溜まった地層)に送り込む。1日20トンずつ、1年半で計1万トン注入する計画。
気体のCO2が帯水層中の地下水を追い出して、直径200メートル、厚さ5−10メートルの層になる。CO2の層は周辺から少しずつ数千年かけて地下水に溶け込む。
帯水層の上には厚さ約100メートルの岩盤があり、気体にせよ液体にせよ通さないので、CO2が逃げ出す恐れは殆どない。気体のCO2が地中でどう広がり、移動するかなどを、観測用の3本の井戸で調べる。
RITEによると、CO2の地下封入実験はノルウェー、カナダに続いて3番目で今回の研究は5年がかりで、15−20年ごろお実用化をめざす。火力発電所や製鉄所から排出される
CO2を貯蔵し、適地に輸送して毎年100万トン単位で注入するのが目標。

RITEでは、CO2を深海に処分する技術も研究している。液体のCO2を船から深さ2千メートル前後に放出して溶かす、深さ3千メートル以上の高圧化の海底に液体のまま沈殿させるといった方法だ。

2003/9/6付け朝日新聞から転載