顕微鏡開発の歴史

 

1665年ロバート・フックは当時50倍程度だった顕微鏡を独自に改良して解像度を上げ、生物学の大発見の一つといわれるセル(細胞)の発見 、生物は細胞で出来ていることを見つけたのです。

19世紀後半、高性能化する顕微鏡により微生物の発見、結核菌、ペスト菌、破傷風菌、コレラ菌などが発見され、治療法や予防法が確立されました。 しかし、光を当てて見る光学式の顕微鏡には限界があり、1000分の1ミリより小さなものを見ることは困難になります。

1939年ドイツ・ベルリン工科大学のエルンスト・ルスカは電子線を当てて見る電子顕微鏡を開発したことにより飛躍的に解像度があがり、ミクロの世界への扉が開かれました。そして、大腸菌に寄生するウイルスの姿を写真に撮ることに成功しました。

進歩する顕微鏡により、水の分子が液体から気体そして液体へ、塩化カリウムの結晶が生成する過程などが連続的に見ることもできるようになりました。さらに超高圧電子顕微鏡が開発され、橋本初次郎教授により、ついに原子の姿があきらかになりました。

1971年2月、物理学者ローラとビニッヒによりレンズを必要としない原子だけをみるための走査トンネル顕微鏡の発明により、原子の姿を見るだけでなく原子1個1個を動 かすことができるようになりました。

1990年4月ドナルド・アイブラーは35個のキセノン原子を移動して世界で最初の原子文字 をつくりました。"IBM”の文字ひとつの大きさは実に5ナノメートル。日本の細木茂行氏は硫黄の原子をはじき飛ばしてひと文字2ナノメートルの文字列"PEACE '91"を完成させました。