毎日新聞 平成19年9月16日(月)の記事
         

映画:実話に基づく「0からの風」、県内初の一般公開−−来月、近江八幡で/滋賀

 飲酒、無車検、速度超過−−。無謀な運転の車に一人息子を奪われた母親が、悪質運転の厳罰化を求めて闘った実話に基づく映画「0(ゼロ)からの風」(日本語字幕版)が10月、近江八幡市で上映される。

 モデルとなったのは、神奈川県座間市の造形作家、鈴木共子さん。95年に夫をガンで亡くし、2人で暮らしていた長男零さんを00年4月、突然の事故で奪われた。零さんは早稲田大に入学したばかり。19歳だった。

 悪質な加害者に適用されるのは、最高刑が懲役5年の業務上過失致死罪だけ。鈴木さんはその事実に憤り、全国の交通事故の遺族らと37万筆を超える署名を国に提出し、最高刑が懲役20年の危険運転致死傷罪を成立させるきっかけを作った。

 塩屋俊監督は03年、ニュース番組で鈴木さんの活動を知り、「作らなければならない映画だ」との思いから、製作を企画。4年間密着し、鈴木さんが発案した、犯罪や事故の犠牲者を等身大パネルで表現する「生命のメッセージ展」にも何度も足を運んだという。

 県内での一般公開は初めてで、10月20日午前10時▽午後2時▽午後5時の3回、近江八幡市鷹飼町の県立男女共同参画センターで上映。チケットは1000円。当日は、塩屋監督の舞台あいさつを予定している。

 映画の収益は11月16〜18日、同センターで開かれる同展の運営資金などに寄付される。

 問い合わせは実行委の田中さん(0748・58・0373、ファクスも)。  【近藤希実】



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