産経新聞 平成19年11月15日(木)の記事
         

命の重み 伝えたい
犯罪や事故被害者遺族128人の「生きた証」


近江八幡であす開幕

 悪質な犯罪や交通事故に巻き込まれ、命を奪われた人たちの足跡を伝える「生命のメッセージ展」が16〜18の3日間、近江八幡市鷹飼町の県立男女共同参画センターで開かれる。遺族らにより、平成13年から全国で開催。同展実行委は「訪れた人には『命の重み』を感じてほしい」としている。入場無料。

 会場には、等身大の人の形をしたパネルを128人分用意。それぞれに、故人が元気だったころの写真や遺品の靴、遺族からのメッセージ、事故を伝える新聞記事などを掲示する。事件事故で奪われた一人ひとりの人生や、遺族との日常生活など「生きた証」が伝わる内容となっている。
 同展に平成17年5月から参加している田中とし子さん(52)=竜王町=は、同16年9月に、長男、幹弘さん=当時(23)=を交通事故で失った。初めて同展を見たとき「自分がいちばん不幸やと思っていたけど、同じ境遇の人がいる。少し救われた部分があり、ものすごい癒しをもらった」と感じた。以来、参加者として同展にかかわるようになったという。
 初めて幹弘さんのパネルと向かいあったとき、「なんでこんな場所に幹弘がいるんだろう。事故さえなかったら、平凡な幸せな日々を過ごせたのに」とくやしさと無念さがこみあげてきた。
 現在でもその思いは消えることはない。しかし、回を重ねるごとに「命の重みをもっと広く訴えたい。それが残された私の務めだと強く思うようになった」と田中さん。「当日、訪れた人といろいろ対話したい。多くの人に来てもらって、生きることや命について考えてもらえれば」と話している。



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