朝日新聞 平成19年10月25日(木)の記事
        

銀幕に願う飲酒運転撲滅
「0からの風」 県内で初上映


 飲酒運転の乗用車にはねられ、一人息子を失った神奈川県座間市の鈴木共子さん(58)をモデルにした映画 「0(ゼロ)からの風」 の上映会が20日、近江八幡市鷹飼町の県立男女共同参画センターで開かれた。鈴木さんが代表を務める 「生命のメッセージ展」 が、来月18日から同センターで開かれるのにあわせ、県内で初上映された。
 鈴木さんの長男零さん(当時19)は、早稲田大学に入学して間もない00年4月、友人と自宅近くの歩道を歩いていたところを車にはねられ、死亡した。運転手は無免許、飲酒運転で、業務上過失致死などの罪に問われ、懲役5年6ヶ月の判決を受けた。
 鈴木さんは他の交通事故の被害者とともに、道交法の厳罰化を求める署名活動を展開。約2年間で約37万人分の署名を集めたことなどが、01年の 「危険運転致死傷罪」 成立を後押しした。鈴木さんは命の大切さを訴える 「生命のメッセージ展」 の代表を務め、交通事故被害者の遺品などを紹介しているほか、零さんの人生を代わりに生きようと早稲田大学に入学し、卒業した。
 映画は、テレビのニュース番組で鈴木さんの大学入学を知った塩屋俊監督(51)が、女優の田中好子さんに主演を依頼して、昨年秋から制作を始め、今春に完成した。塩屋監督は 「子どもに対する親の愛情の深さを映画を通じて感じてもらい、飲酒運転や犯罪の犠牲者が少しでも減るように貢献できれば」 と話した。27、28日に三重県鈴鹿市でも上映会がある。
映画に関する問い合わせはウィル・ドゥ (03・5919・1219) へ。



報道へ     トップ