最近のこと(1997/4)
午後1時。僕たち夫婦は地方ラジオ局「WBS和歌山放送」の
第3スタジオにいました。昼の人気番組「あまから編集局」に
生出演するために・・・。
さかのぼること3日前、行きつけの小動物専門ショップのカメ
担当のお兄さんから会社に電話が入り「和歌山放送から問い合
わせがあって、和歌山で変わったペットを飼育してしている方
をご紹介下さい」との質問に「あぁ、だったら平川さんがイイ
ですよ」という返事をされて、その連絡を受けた翌日に和歌山
放送から電話が入り「本来なら私どもが取材に伺うべきなんで
すが、那賀町ですと局に電波を飛ばしきれないので大変申し訳
ないのですがスタジオまでカメさんをお持ち頂けませんか?」
ということになったのです。
和歌山放送といえば僕の高校時代の青春の半分以上を費やした
思い出深い放送局です。「谷村新司の青春キャンパス」という
文化放送系列(だったかな??)の番組で、系列地方局が地元
の高校生有志を募り、「キャンパス・スタッフ」として地域の
情報を収集しては発表し、1年に1回ぐらいの割合で、番組の
もう1人のパーソナリティ「ばんばひろふみ」が地方局に訪れ
ては各地方のキャンパス・スタッフの仕事の成果を見る・・・
といった仕組みで、その「キャンパス・スタッフ」を約1年間。
もちろん例外なく和歌山放送にもバンバンは訪れ、彼を前にし
て収集した情報を発表したときはスッゴク緊張しました。顔に
圧倒されるとかそういうのではなくて(^-^;)、当時17歳だっ
た僕は本当に感動したんです。
また、月−金の20時から22時という2時間枠でオン・エア
されていた当時の和歌山放送では随一の人気生放送番組(^-^;)
「ILoveWakayama」でも1度ハガキが読まれると
嬉しくてハマっちゃうんですね。毎日5通から10通のハガキ
を学校で書いては下校時に郵便局へ投函する・・・という1年
を過ごしました(^-^;)。おかげで番組内では「超常連」と呼ば
れ、何度か番組に出演させてもらったり最新映画の取材の同行
なんかもさせてもらったり、また他のリスナーたちとも番組外
でも仲良くなって遊んだりパーソナリティの方やディレクター
さんと一緒に食事に行ったり・・・実に充実した1年間でした。
あれから12年・・・もう12年たつんですねぇ・・・(T-T)。
今回の出演依頼の電話をよこしてくれたのは、番組「あまから
編集局」の「秘書」役を務められている「いまきみさこ」さん
でした。実は僕、高校を卒業してから4年前まで東京にいた事
もあり、正直なところ12年間全く和歌山放送(以下WBS)
を聞いていませんでした。3年ほど前に家内を連れて、高校生
の時にお世話になったアナウンサーに挨拶をしに行ったぐらい
で、実生活の中でAM放送を聴くこと自体しなくなっていたん
です。そんな僕が果たして真っ昼間から生出演していいものだ
ろうか?番組の主旨や雰囲気を掴まないまま喋って迷惑をかけ
たりしないだろうか?などと不安は頭をぐるぐる駆け巡りまし
たが出演日が木曜日(会社の定休日)だったことと、懐かしさ
で胸がいっぱいだったこともあって快諾。
家内に「そうなった」と話すと「え゛ぇぇぇー・・・私、緊張
して何も喋れないよぉ・・・」なんて言いましたが、「大丈夫
大丈夫!僕、馴れてるから」と言って安心させ、その後2日間
全く眠れないほど緊張してしまったのはこの僕です(^-^;)。
で、いよいよ出演当日。完全徹夜2日間明けの僕の頭は朦朧と
していて、それがまた余計に不安を駆り立てて緊張は度を増す
ばかり。前日から用意しておいたコンテナに新聞を敷いて2段
に重ね、最も人に馴れている「エル」「アテナ」「リッキー」
の3頭を入れて準備完了。勿論トイレットペーパーとビニール
袋も忘れていません(^-^;)。外は快晴で体感気温は温かいもの
の、気象台が発表した最高気温は18度だったので念のために
バスキングランプも持参。家の玄関先でナント大量のタンポポ
を発見!!10束ほど引きちぎってあらかじめ用意しておいた
キャベツと共に持って行くことにしました。いざ、WBSへ!!
13時から始まる番組で、僕たちの「入り」は13:30頃と
言われていたのですが、13時ちょっと前に到着。コンテナを
かかえて家内と共にロビーの受付へ・・・「すみません、今日
昼の番組に出る予定の平川ですが・・」すると受付のお姉さん、
「あっ、カメ・・・すごい・・・」と小声を漏らしながら内線
をかけくださり、十数秒後にはADさんっぽい人がやって来て
「あっ、どうも御苦労様です!こちらになりますのでとうぞ!」
と案内されるがままに懐かしの第3スタジオへと入室しました。
ディレクターは「うんの」さん(実はこの方とも高校生時代に
知り合っています)。番組は始まったばかりという感じで空気
はピリピリしていました。持参のクロマルクス電球も点灯させ
てもらい、約30分間の「待ち」。お茶を出して頂き、暫くし
て「ハイ、入って下さい」と、うんのディレクターの指示が。
番組のパーソナリティーは「編集局長」役「おだがわかずひこ」
アナウンサーと、「秘書」役の「いまきみさこ」さんのお2人。
CM中に入ったので軽く挨拶をかわしていよいよ出番!!
CMが終わり、おだがわさんが語り始めます。
「・・・というわけで今週のテーマは和歌山のペット事情とい
うことで、珍ペットをお飼いになっている方を御紹介している
わけですが、本日、実はスタジオに!大変なゲストをお迎えし
ておりまして!スタジオ内はもう既に動物園状態といいますか、
一種独特な雰囲気が漂っております(笑)!えー、まずはその
ペット君をお持ちいただいた飼い主の方を御紹介いたしましょ
う。那賀郡からお越しの・・・・」僕たちの紹介が続く中、僕
も家内も頭の中はカメたちが粗相をしないか心配で心配で特に
エルなんかがしてしまうと尿だと牛乳瓶3本分ぐらい、糞だと
小型犬並のモノを5本ぐらいはしますから大変です。いよいよ
カメたちの紹介ということで直接デスクの上に置くよう促さ
れたときなんかはもう神様に祈る思いでした(^-^;)。
出番の直前までクロマルクス電球で温めてあげてはいたものの
やはり気温は温暖と言うほどではなく、エルはすっかり甲羅に
引っ込んでしまっている状態。アテナ&リッキーは、恐る恐る
四肢を出してキョロキョロしながら歩き始めました。
「これはカメだということは素人目にも解るんですが、明らか
に良く目にするカメとは異なりますよね?これは、どういった
カメなんですか?」という質問から始まり、生息地のこと、価
格のこと、なぜリクガメなのか?など、色々尋ねられましたが
なんとか舌も縺れることなく答えることが出来ました(^-^;)。
おだがわさんと僕が問答している間にも、家内といまきさんは
朝づみのタンポポを与えて大はしゃぎ。そうです。タンポポの
野草臭が昼飯抜きのカメたちにはたまらなかったのかガツガツ
食べてくれたのです。その仕草の可愛さ・新鮮さがウケ、これ
でまたスタジオ内は大賑わい。5分程度の出演予定だったのが
うんのディレクターの御厚意で延長していただき、のべ20分
ほど出演させていただきました。良かったぁぁ・・・何が一番
良かったって、デスクの上でどの子も一切粗相をしなかった事
が良かった!!(^-^;)
密室から解き放たれ、ディレクターズルームに戻った僕たちが
目にしたもの!それは約8cmのアテナの軟便でした(^-^;)。
ふぅぅ・・・ぎりぎりセーフ!アテナ、良く我慢した!偉い!
その後、うんのディレクターと積もる話をさせていただき、又
CMの時間を利用してパーソナリティーのお2人と記念撮影さ
せて頂いたりしたあと、ナント交通費まで頂いてしまいました。
お礼とお別れをしたあと、カメたちを入れたコンテナをもって
玄関ロビーに向かうと、そこには受付のお姉さんたちが待ちか
まえていました(先ほどから「お姉さん」という表現をしてい
ますが、僕より全然若い女性の方々です。「お姉さん」と言う
のが一番表現し易かっただけで他意はありません)。コンテナ
を床におろして「エル」を見ると同時に彼女たちは目を丸くし
て階上のスタッフにも内線をかけ、数分後にはコンテナを中心
に黒山の人だかり(という程ではないですが)が・・・。
最初のうちは恐る恐るリッキー、アテナといった小型のカメを
興味津々で見ていた彼女達でしたが、やはり最終的に一番人気
となったのは「エル」でした。お姉さん達はしきりに首の根元
や後ろ足の付け根などの柔らかい部分を触っては「ねぇねぇ!
ココやわらかいーすごく柔らかいー!!」「目がかわいいー!
エル!コッチおいで!コッチおいで!!」と、リッキー達には
目もくれずに(^-^;)可愛がってくれました。アテナはここでも
脱糞1回(^-^;)。かまってもらえなかったもんだから妬いたん
でしょうか(^-^;)。リッキー、エルは最後まで実にお行儀良く
してくれて本当に助かりました。
ラジオに出演してリクガメの話が出来ただけでも十分満足だっ
たんですが、もう至れり尽くせりの1日でスゴク充実した日と
なりました。ご苦労様、エル、アテナ、リッキー(^-^)。