特集:よくいただく質問Q&A『ホシガメ編』
いっきなりの特集です(^-^;)。今回は最近どんどん増えてきたホシガメ飼育者の方々から頂いた御質問にお答えした回答集です。「よくいただく質問Q&A」本編にも掲載していないQ&Aもありますので、ホシガメを飼育されているリクガメ初心者の方々にとっては少しはお役に立てるんじゃないかと思います。また、この他にも何か疑問や御質問がございましたらお気軽にメールを送付して下さい。
●ホシガメっていろいろ種類があるの?
●ピンポン玉サイズのホシガメは危険?
●ホシガメの背甲模様の差異に優劣は?
●ホシガメケージの床材
●ホシガメの好適温湿度
●パネルヒーターとバスキングランプの位置関係
●保温電球の必要性は?バスキングランプと併用しなきゃいけないの?
●ホシガメに水飲み場は必要?
●ホシガメの元気が無く好き嫌いが多くて小食で眠ってばかり
●ホシガメの具体的な食性
●ホシガメの不定期な排泄はひょっとして床材を食べてしまったから?
●尿酸の中に寄生虫?糞もゆるめ。
●鼻汁をたらしている。鼻ちょうちんも・・・
●ホシガメ・ベビーの雌雄の見分け方
●ホシガメの混育
●ショップで「餌への栄養剤・カルシウムの添加は月1回で充分。日本の
カメは贅沢すぎる。その証拠に肥満個体が多い」と聞きました。本当?
●ホシガメっていろいろ種類があるの?
分類学上は2種類だけです。インドに棲息するインドホシガメ、スリラン
カに棲息するセイロンホシガメが、いわゆる「ホシガメ」と呼ばれている
お馴染みの個体です。もう1種類はビルマに棲息する個体で、ビルマホシ
ガメと呼ばれホシガメとは全く別モノとして分類されています。これらは
皆、全体的な外観も、甲羅の星形模様だけをとっても明らかに異なってい
ます。十年ぐらい前まで日本でよく見かけられたホシガメは、ここで言う
ところのセイロンホシガメだったようですが現在では殆どインドホシガメ
になっています。一時期インドでの養殖個体が需要に追いつかなくなって
インド政府が輸出を停止したときに代わりに輸入されていたようですね。
ビルマホシガメは特に顕著なんですが、全てのホシガメは、最近になって
野生個体が激減しており、非常に危険な状態にあります。今後、おそらく
ビルマホシガメを皮切りに厳重に保護されていくことになると思われます。
いくらホシガメが年間数度にわたって産卵するといっても「養殖」はまだ
軌道にのっている、とは言い難いものがあります。でも、是非成功させて
このカワイイ種を今後も入手出来る状態が続いてほしいですね。
●ピンポン玉サイズのホシガメは危険?
ホシガメの4cm−5cm級の大きさのベビーは、いわゆる「ピンポン玉」
と呼ばれるサイズで、非常に飼育の困難な個体と言われています。しかし
ながら、ショップではこのぐらいのサイズは良く見かけるし、購入するの
には手頃で、カワイさも抜群なのでつい買ってしまう・・・という魅惑の
サイズでもあります(^-^;)。ただ地中海リクガメ属の4cm−5cm級の
幼体とホシガメのソレでは飼育難易度がケタ外れに異なり、ホシガメの方
が難しいということを知っておいて下さい。これからホシガメを飼おうと
なさっている方々に常々僕がアドバイスしているのは次のとおり。
「ホシガメは決して−ピンポン玉サイズ−は買わないでください。どんな
に状態の良い個体でもダメです。最低でも鶏卵の2Lサイズ(甲長約7
cm)以上の個体を選んでください。」
これは僕の経験上の見解と、有力な情報源から得た知識なのですが、日本
で流通しているリクガメの搬送時における扱いはヒドイもので、神経質で
ストレスに弱いホシガメが受けるダメージは深刻です。特に注意が必要な
危ない時期である「ピンポン玉サイズ」の個体は決定的なダメージを受け
てしまいます。ですから往々にしてショップでのホシガメの状態は良くな
い場合が多く、たまに見かける元気な個体は、ほとんどショップの努力と
熱意によって小康を得ているに過ぎないというのが事実です。一見、元気
にエサも食べるし水も飲むし、排泄も順調で健全そのもの・・・という風
に見えていても、ある日突然エサを食べなくなってしまってそのまま衰弱
死したり、なんの兆しもなく突然死んでしまったり・・・と、色んな報告
がなされています。ピンポン玉サイズのホシガメが死亡するケースの多く
の場合は、1ヶ月たっても半年たっても目立って成長することなく、ピン
ポン玉サイズのまま死ぬようです。経験者の誰もが、数日前まではあんな
に元気だったのに・・・と言うのが常のようで、詳細にわたって調べた方
の話によると「カルシウムの絶対的摂取不足」が原因だということです。
つまり、ホシガメの場合「養殖」が軌道にのっていませんから市場で流通
している個体のほとんどがワイルド・キャッチされたものであるという事。
ホシガメに限らずリクガメの生息地は、必ず石灰岩地質をもつカルシウム
の豊富な場所で、その天然の素晴らしい場所でどこまで成長し成し得たか
が大きなキーポイントになるということ。ある程度成長した個体は、自分
自身の体内でビタミンD3を生成し、有効紫外線UVBを浴びる事によっ
てカルシウムと反応させ、効率良く甲羅の成長へとつなげる術を体得して
いるけれど、未熟な幼体はその術を知らないまま輸出され、強いストレス
にさらされ、生まれ故郷とは環境がガラリと変わって、生息地に比べれば
絶対的にカルシウム量の少ない環境で飼育される事になる訳で、食&排泄
は順調にいっていても身体全体の構造的な無理が積み重なり、ある日突然
ショック状態に陥る・・・というのが最も有力視されている「死」の原因
だそうです。では、なぜ地中海リクガメたちは大丈夫なのか?答えは簡単。
少なくともホシガメよりは神経質ではなく、ストレスにも強いからです。
そこでいつものフレーズになるんです。
「ホシガメは決して−ピンポン玉サイズ−は買わないでください。どんな
に状態の良い個体でもダメです。最低でも鶏卵の2Lサイズ(甲長約7
cm)以上の個体を選んでください。」
●ホシガメの背甲模様の差異に優劣は?
模様の差異によって個体の優劣は無いです。ただ、それがたまたまインド
ホシガメではなく、セイロン産ホシガメやビルマホシガメだったりすると
価格的な差異は生じます。特に希少なビルマホシガメだとインドホシガメ
の数倍はしますから、万が一ショップが見落としていたり、卸しの段階で
間違って流通した場合なんかは超ラッキーと言えます(^-^;)。でもそんな
ことは殆どありませんから、模様は飼育される方、つまり貴方が最も気に
入った模様が最も優れた個体と言えるのではないでしょうか。ただ、模様
よりも「体調・状態」が優先事項であることには違いありませんから先ず
状態の良い個体を選抜し、その中から好きな模様の個体を購入するという
順序になりますね。
●ホシガメケージの床材
今は数年前に比べ「爬虫類専用マット」とかいうネーミングの凄い床材も
販売されるようになって、随分選択肢も増えてきましたから「どれがイイ」
と言いきるのは難しいですね。僕自身、すべての床材を試用したわけでは
ありませんから・・・。ですからココでは、あくまで僕の家のホシガメの
ケージの床材の変遷をもとに選択基準のようなものを考えたいと思います。
最初、ホシガメケージには購入店で使用されていたハイドロボールという
直径3−5mmぐらいのまん丸いセラミック玉の様な床材を使っていました。
通気性と保温性に優れている、というのが長所で、愛用していたんですが
以下の理由で本物の赤玉土(中粒)へと移行しました。
1.5−7cm前後の幼体にとって床材は非常に重要で、足をとられるよう
な粒の丈きなモノはすすめられない、というのを専門書で読んだ。
2.甲長10cmを超えたウチのケヅメリクガメが、エサのバナナが付着し
た床材(ハイドロボール)を丸ごと食べてしまい、喉につまらせてし
まって吐き出させるのに大変だったことがあった。
3.赤玉土よりも高価で、赤玉土ほど「ネイチャー」っぽくない(^-^;)。
ホシガメのべビーの場合アレを呑み込むということはまず考えられません
し「3」は好みの問題ですから、懸念されるとすれば「1」ですね。永年
リクガメを飼っている人ほど床材は簡素なモノになっていったりするのは
それだけカメ自体が大きく成長しているわけで「口に入る危険性のある物
は、ことごとく排除する」という考えがあるのだと思います。僕も自然な
造り(ネイチャー系)が好きなので赤玉土を導入しているわけなんですが、
赤玉土の優位性はひとえに「もし食べちゃっても腹の中で崩れてくれる」
コレに尽きます。中粒を選択したのは大粒だと足をとられて歩きにくそう
なウチのまる子(ホシガメ)を目撃したからです。地中海リクガメ達はタフ
なので大粒でも平気で歩いています。以上のことから歩く様子を観察して
今後の床材を検討されるのが賢明かと思われます。なお、現在ホシガメの
まる子だけは別ケージで新聞紙を床材にして飼育しています。これは彼女
が鼻炎にかかり、鼻汁を垂らすようになってから、乾燥した赤玉土の粉が
付着して度々鼻孔を塞ぐようになったためです。幸い、点鼻薬やその他の
薬品とともに湿らせて取り除くことが出来ていたのですが、生命の危険性
を感じ、まる子だけを新聞紙が床材の実に簡素で清潔なケージに移したと
いうわけです。状況にあわせて床材を変えていく事も必要かも知れません。
●ホシガメの好適温湿度
地中海リクガメと比べて、アフリカ産のヒョウモン・ケヅメやインド産の
ホシガメたちは内臓が虚弱で、低温度に対する抵抗力が劣ります。なには
ともあれ「ホシガメ=高温飼育」は鉄則なのです。1年365日24時間
25度を下回る場所が出来ないように注意が必要です。本来は28度前後
が基本で、ホットスポットは35度前後が最良です。因みに僕のホシガメ
ケージの場合、ホームページを見て頂ければお分かりになると思うのです
が、あの設備で、
・ホットスポット :日中/35度前後・明け方/28度前後
・ホットスポット以外:日中/30度前後・明け方/25度前後
となっています。湿度はホットスポットでは20%前後(低すぎます)、
それ以外の場所(エサ場・水場)では40%前後になっています。60%
前後ぐらいがホシガメにとって適正湿度だと思うのですが、梅雨に入った
時が心配なので、それ以上にならないようにだけ注意して下さい。
●パネルヒーターとバスキングランプの位置関係
これは僕も悩みのタネです。ケージ内にはホット・スポツトを中心とする
比較的高温な場所(30−35度)と25度前後の比較的涼しい場所を作っ
てあげて、カメ自身に自分の「移動」による体温調設が可能になるような
つくりになっていなければなりません。ホシガメのベビーなら60cm水槽
をケージに使う方が多いと思います。その場合は僕のホシガメケージの様
にパネルヒーターの約半分にバスキングランプの直射が当たる位の位置が
べストだと思います。勿論、バスキングランプかパネルヒーターのどちら
かは、暑くなりすぎないように空中サーモで制御します。そうすれば60
cmケージの中のホットスポットの対面にあたる場所がちょうど2−3度低
めの環境になって理想的です。もし60cm以下のケージをお使いになって
いる場合は、カメに暑さからの逃げ場所を確保する為にもパネルヒーター
とバスキングランプの照射位置は重ねてしまうぐらいにした方が無難だと
思います。要はケージ内には暑い所・暖かい所・若干涼しい所、が必要だ
ということになりますね。温湿度計を2個以上設置して適温かどうか観て
あげて下さい。
●保温電球の必要性は?バスキングランプと併用しなきゃいけないの?
ヒヨコ電球の必要性ですが、正直な所「夏」は差し当たり必要無いと思い
ます。絶対必要なのは秋から冬、春にかけて。つまり夜間、バスキングラ
ンプを明々と灯すことなく保温することでカメに安眠を与えるためです。
保温電球の説明書には「周りの温度より10度上がる」と書かれています
し実際にもそんなものなので冬場でも役に立たないのでは?と思いがちに
なりますが、その「10度上がる」が大きいんです。気温が10度にまで
下がる季節にヒヨコ電球1灯は有り得ません。60cm程度の小さいケージ
なら昼間はバスキングランプと保温電球1灯で適温は得られるでしょうが
夜間は厳しいでしょう。ましてや、イケイケの広いケージになれば、どう
しても3灯、4灯と増やしてあげる必要があります。そういう場合は夜間
の適温は守られますが昼間(特に春先)はバスキングランプの熱パワーと
相俟って軽く35度を超えることもありますから、空中サーモも必需品と
なります。そしてもう1つ、保温電球の果たす役割りで忘れてはならない
ものが有ります。「除湿」効果です。春から梅雨にかけて、日本では日中
の湿度が40%ぐらいでおさまっていても夜間から明け方にかけて80%
近くまで上がる日がやってきます。そんな時に、その夜間の異様な多湿か
らカメたちを守ってくれるのが保温電球なんです。もちろんこの場合にも
季節が季節ですから温度も上昇してしまいますので空中サーモによる制御
が必要となります。春先はまだ湿度もそれほど高くなく、気温も温暖なの
でウチの保温電球も空中サーモも昼間は実質「休眠状態」ですが、夜間は
働いてくれてますよ。あなたの飼育環境で、1日を通して観察して、湿度
と温度が一体どのように推移しているかを調べてみてから、必要性の有無
を検討されるのが一番だと思います。最後に保温電球とバスキングランプ
は、どちらか一方とは言わず、別物と考えて両方用意されるのがBEST
です。上記のとおり日中はバスキングランプの力でホットスポットを形成
し、夜、バスキングランプを消した後が「明るく点灯する事なく保温効果
が得られる」保温電球の出番です。深夜から朝にかけての冷え込み対策は
特に重要ですし、これらのアイテムは保温以外にも余計な湿気を飛ばして
くれるという大切な役割も果たしますので是非とも御検討下さい。
●ホシガメに水飲み場は必要?
あった方がいいです。これも個体差があって、全く飲まない個体もいれば
ガブガブ飲む個体もいます。ウチではまる子は飲んでいる姿を見たことが
ありません。ムガールは1日1回水を換えた時に必ず飲みにやってきます。
飼育書ではホシガメの項で水場を設置するように記されているので基本的
には「飲む」カメだと思いますので設置してあげるのが賢明だと思います。
以前、僕の不注意でケージ内の全体温度が35度を上回ったことがあった
のですが、その時ホシガメたちは皆、水飲み場に浸かって涼をとっていま
した。こんな不測の事態にでも役に立ちましたから(^-^;)、是非設置して
あげて下さい。あくまでもケージ内がムレないよう気を付けるのが大前提
ですが。
●ホシガメは元気が無く好き嫌いが多くて小食で眠ってばかり
「元気が無い」というのは、1日を通じてどのような行動をしていること
を指していのか具体的にわかりらないと判断が難しいのですが、ホシガメ
は基本的に他のリクガメに比べて行動が活発ではなく、食事以外の時間帯
はほとんどホットスポットで寝ていることが常です。ですからホシガメの
健康度を見るのは難しくて「餌食い」と「糞尿」から観てとることが重要
になります。もっとも重要で、飼い主から見ても安心できるバロメーター
は「餌食い」ですが、与えるエサは出来るかぎり日替わりメニューにして
あげて下さい。何体か飼っているとよく解るのですが、非常に個体差が大
きく、極端にキャベツが好きな個体もいれば、大根葉に異常に執着のある
個体なんかもいます。日々、色んなメニューの食事を与えて、その個体の
好物を探してあげて下さい。で、そればかりあげたいのは山々なんですが
栄養のバランスを考えて、薄切りしたリンゴやバナナ、トマトやカボチャ、
ブロッコリー等も与えます。そして「ここ2,3日エサ食いが悪いなぁ」
という時に先ほど見つけだした「好物」を与えるようにするのがベストの
方法です。眠ってばかりというのはリクガメ全般に言えるのではないでし
ょうか。ホシガメの動きは地中海リクガメなどに比べて活発ではないので
特にそう思えるのかも知れません。寝相を観察してみてください。これも
リクガメ全般に言えることなのですが、もし四肢を卍型に伸ばして眠って
いる場合は、そのリクガメにとって好適環境の中で本当にリラックスして
眠っている証拠です。現在の環境に対して何らかのストレスを感じていた
り、体調を崩しているときなどは四肢を引っ込め頭も深く引っ込めたまま
眠っている場合が多いです。寝相を見るだけでリクガメの健全度をはかる
バロメーターの1つになるわけですから是非御覧になってみて下さい。
●ホシガメの具体的な食性
ホシガメは神経過敏で順応性に欠け、飼育が困難な種である事は周知の事
です。特に食事は、ショップで与えられていたモノに大きく左右されます。
葉野菜しか与えないショップで飼育・販売されていた個体は葉野菜を好み、
人工飼料しか与えないショップで飼育・販売されていた個体は人工飼料を
好みます。面倒なことに、その「好み」以外のエサを食べようとしてくれ
ないのがホシガメの順応性に欠けるところです。ウチのまる子はショップ
で「プリティ・ペッツ」という米国産の草食爬虫類専用人工飼料を与えら
れて飼育・販売されていました。今でこそ、キャベツやバナナ、キウイや
スモモを食べるようになりましたが、購入して数ヶ月間はプリティペッツ
以外には見向きもしなかったのです。そこで僕はその人工飼料に似た香り
をもつ食物から食べさせる努力を始めました。その飼料の香りは、強烈な
フルーツの香りです。ありとあらゆるフルーツを食べさせて、その中で最
も「食い」が良かったのが上にも書いたバナナ、キウイ、スモモだったん
です。で、フルーツだけだとどうしても栄養が偏ってしまうので葉野菜を
食べさせる必要がありました。これもありとあらゆる野菜を試してみまし
たが「食べた」と言えるほど食べてくれたのは「キャベツ」だけ。青みの
濃い葉野菜は今でも嫌います。ムガールは全くその逆で、葉野菜オンリー
のショップで飼育・販売されていた個体なので果物やプリティペッツには
見向きもしてくれませんでした。でもムガールは、まる子よりは順応性が
あるのか、まる子が美味そうに食べているのを見てすぐに果物・人工飼料
にも慣れてくれました。実は今、ある理由で別ケージ・別メニューで飼育
していますが、まる子に関しては、粉末総合ビタミン剤と炭酸カルシウム
粉を吸い込ませたプリティペッツをメインに、バナナ、キウイ、トマト、
キャベツを与えています。ムガールは何でもOKなので、地中海リクガメ
たちのエサと同じメニュー(大根の葉っぱ、小松菜、シャクシ菜、ほうれ
ん草、キャベツ、レタス、トマト、リンゴのスライスなど)を日替わりで
与えています。プリティペッツは多くのリクガメにとってかなり嗜好性が
高い人工飼料のようで、葉野菜・果実に直接ビタミンやカルシウムを振り
かけると殆どエサを食べなくなってしまってう場合でも、この人工飼料に
吸い込ませて与えればまず間違いなく食べてくれます。価格は高いですが
栄養補助の為にも買って損は無いと思います。
●ホシガメの不定期な排泄はひょっとして床材を食べてしまったから?
ホシガメは神経過敏で順応性に欠けるところがありますが賢いカメなので
床材を誤食することはまず無いと思います。餌を食べ、また温浴時の排便
も順調なら問題ないでしょう。僕の知っている方で、温浴をしても、何を
しても排便せず、10日間もの間、便秘に苦しんでいるホシガメの肛門を
温水と指で刺激して、30分の苦闘の末、「尿酸の塊」と共に大量の糞を
排泄させたという話を聞いた事があります。つまり尿酸が固形化して肛門
を塞いでいた訳です。コレはちょっと怖いですね。温浴すれば排便する分
においては、多少通常排便が不定期でも心配する必要は無いと思います。
●尿酸の中に寄生虫?糞もゆるめ。
リクガメは温浴中や緊張状態におかれたときなどによく排泄します。温浴
中に排泄する白い粉のようなものは「尿酸」というものでリクガメ特有の
排泄物です。この尿酸は、クリーム状の時もあればザラついた粉状の時も
ゼリー状の時もあり、また色も、白かったりクリーム色だったりヒドイ時
には褐色だったりするときもあります。糞と同じく、不要物を体外に出す
仕組みになっているのですが、最も健康状態の良いときの尿酸は「白く」
て「クリーム状」です。「粉っぽい」時は身体のどこかに不調を訴えてい
るのですが、それが「何処なのか」までは現在のところ知る方法はありま
せん。ウチのリクガメたち(特にケヅメ)も良く粉っぽい尿酸を出します
が、いつの間にか治っていたりするので、多くの場合「精神的ストレス」
や「冷え等による内臓機能の低下」が原因だと思われます。通常「寄生虫」
は、尿・尿酸にではなく、糞に含まれています。線虫や蟯虫がその最たる
モノですが、3mmぐらいの細い糸のような小さな虫で、僕が初めて飼育
したホルスフィールドリクガメは糞に線虫が確認出来たので、テトラ社の
「Rid Worm」という駆虫剤を服用させて駆虫治療しました。個体
の体重に対して何滴というような用量が記されているので、そのとおりに
1週間に1度、3回ほど処方したら治りました。ただ、この薬品は爬虫類
専門ショップで販売されているものなんですが、なかなか置いている店が
無かったり、処方が英語のみでしか書かれていなかったりして、なにかと
厄介なシロモノなので(^-^;)、もし近くに爬虫類を看てくれる動物病院が
ありましたら、そちらで治療してもらうのがベストだと思います。ただ、
上にも書きましたが、「尿・尿酸」の中に寄生虫、というのは初耳です。
ひょっとしたらその物体はゼラチン状の尿酸が温水中で分離してユラユラ
と揺らめいていただけかも知れません。実際に見ていないのではっきりと
言い切れないところが辛いんですが。
ゆるめの糞を排泄するのは、まず間違いなく「温度」の問題だと考えます。
ケージ内温度(特に明け方の冷え込み)に注意して下さい。あと、ゆるめ
の糞が排泄される要因となりうるのは、エサとして果実等を与えた翌々日
あたりとか、珍しく水をがぶ飲みした翌日などにも見られます。もちろん
寄生虫がいる時もなる場合があるんですが・・・。上記の要因がなくても
ゆるめの便が続くようなら寄生虫を考えなければならないでしょう。
●鼻汁をたらしている。鼻ちょうちんも・・・
我が家のまる子も今なっています。鼻炎か感染症のどちらかです。鼻炎の
原因は不適正な温湿度、床材の塵・ほこり、不衛生な環境、ビタミンAの
不足などがあげられます。治療方法は上記の問題の解消の他に、市販され
ている人間用の点鼻薬を毎日鼻水を拭き取ってあげた後に処方するという
方法が効果的です。スプレー式で細かい霧状の薬が噴出しますから、ホシ
ガメ・ベビーの小さな鼻腔にも入ります。ホシガメはビックリしてしばら
く頭を引っ込めていますが、点鼻薬が「呼び水」になっているのか、大量
の鼻水をズルルルと出す場合があり、それをティッシュなどで完全に取り
除いてあげるとスーピーと空気が通るようになります。それでも暫くの間
だけなんですが・・・。根気よく治療すると徐々に快方に向かっていきま
す。ちなみにビタミンAは、テトラ・ベルケ社のタートル・アイクリアー
かタートル・アイ・リンスがお奨めです。感染症の場合は深刻です。詳細
については「リンクページ」から「TORTOISE LAND」を訪れてみて下さい。
非常に詳細にわたって症状および処方が解説されています。鼻炎にしても
感染症にしても、もし爬虫類も扱う動物病院が近くにあるのでしたら行っ
て治療してもらうのが最も早く完治・解決できる方法です。
●ホシガメ・ベビーの雌雄の見分け方
ホシガメ・ベビーの雌雄の見分け方ですが、事実上「無理」としか言いよ
うがありません(^-^;)。僕が「まる子」とか「ムガール」なんて呼んでい
るのはあくまでも希望的観測です。リクガメ全般においてベビーの雌雄を
見分けるのは困難だと言われています。ところがスゴイ発見をしてしまい
ました。実はウチのホシガメ「まる子」は現在、理由があって単独飼育を
しているんですが、鼻汁を出しているので点鼻薬で処方しています。勿論
まる子にとっては拷問の時間のようなものなので、その最中に尿も漏らし
ますし、可哀想に脱糞もしてしまいます。で、その時、まる子の肛門から
何やらピンク色の5mm程度のモノがピコピコ出たり入ったりしているの
を発見してしまったのです。そう、ソレは間違いなく「雄の証(^-^;)」で
した。つまり、行動パターンや性格、尾・肛門の形状から「雌」だと推測
していたまる子が実はオスだったのです(^-^;)。そしてコレもまた行動や
尾の形状などからオスだと思っていたのが成長の段階で次第にメスっぽく
なってきて名前も先日「ひょーちゃん」から「ひよちゃん」に改名してい
たヒョウモンガメなんですが、温浴の最中にぬるま湯のシャワーをあてな
がら腹甲にへばりついた糞を洗い落とそうとしていた時、ソレは現れまし
た(^-^;)。形状はまる子(まる男?)のソレとほぼ同じ。若干紫がかった
色をしていました。やっぱり「ひょーちゃん」で良かったわけです(^-^;)。
ホシガメを繁殖させる際、交尾を誘発させる為に水をかけると聞いた事が
あります。今回のまる子(まる男)にしても、「ひょーちゃん」にしても
ある意味では水をかけた様な状況下におかれています。地中海リクガメで
は全く起こらなかった事が連続で発見出来たんです。ひょっとしたら分類
学上のゲオケロン(発音は間違っているかも知れません)にはこういった
習性があるのかも知れません。まる子(まる男)のような拷問めいた方法
だと後ろめたいですから、ひょーちゃんの時のような方法、つまり温浴の
際にぬるま湯のシャワーをザァーっと浴びせながら腹甲をさする方法なら
誰でも出来ると思いますから一度試してみる価値はあるかも知れません。
但しその方法で全ての個体が反応するとは限りませんからね。分類学上の
テスチュード(発音には自信無し)は勿論のこと、ホシガメであってでも
です。うーんリクガメはなんて奥が深いんだろう。事実上「無理」としか
言えない理由はココにあったんです。
●ホシガメの混育
ホシガメの混育についてなんですが・・・すっごく良く解りますよ(^-^;)、
そのお気持ち。実際に僕も混育しているわけなんですが、やはりコレだけ
は飼育書などに書かれているとおりオススメ出来ません。どうしても上下
関係が出来てしまうようなんです。リクガメは他のカメが食べている餌を
食べにいく性質(卑しいですね)をもっていて、自分の周りにいくら沢山
のエサがあっても真向かい側で食べているカメのエサを横取りしに行った
りします。地中海リクガメは鈍感というか図々しいので、横取りした方も
された方も無心にエサを食べ続けてくれますが、ホシガメの様に神経質で
繊細なカメの場合、横取りされた方は殆どの場合エサ食いを止めてしまい
ます。その結果「上」の立場にあるホシガメは成長を続けますが「下」の
立場にあるホシガメの成長はストップしてしまうのです。実はこれ、ウチ
のまる子とムガールの間で事実、起こっているんです。まる子とムガール
は甲長も体重もほぼ同じの個体でした。ところが現在に至ってはムガール
はまる子のひとまわり大きく成長し、体重もズッシリ重くなりました。逆
にまる子は甲羅も体重もここ数カ月は実質ストップ状態です。ムガールは
普段は臆病で顔もろくに出さないのですが、餌の時だけはすさまじい勢い
で食べるヤツです。人に馴れているまる子は僕たちの給餌に気付いて早く
にエサ場へやって来て食べ始めますが、その数分後には餌のニオイを嗅ぎ
つけたムガールがやってきてまる子の食事を妨害し、その途端にまる子は
食べるのを止めてホットスポットへと向かいます。最近、あまりにもこの
パターンが顕著になってきたので、つい先日まる子とムガールを別ケージ
で飼育し始めました。まる子には止まっていた成長を再開してもらうため
にも栄養満点の食材を特別に与えていくつもりです。
以上のような理由から、もし、どうしても「他の種類も色々飼いたい」と
お考えでしたら、別ケージで地中海リクガメ属を何種類か飼育される事を
お奨めします。60cmX45cmX30cmの水槽でも2階建てにすれ
ばスペースは変わりません。スチールラックなどを利用して熱帯魚水槽等
のように2段式で飼育されては如何でしょう?ほとんど実体験にもとずく
アドバイスばかりで科学的・生態学的根拠が無いので説得力に欠けますが
ホシガメだけは混育をお奨めすることは出来ません。
●ショップで「餌への栄養剤・カルシウムの添加は月1回で充分。日本の
カメは贅沢すぎる。その証拠に肥満個体が多い」と聞きました。本当?
「日本のカメは贅沢」=「月1回のカルシウムで充分」という考え方には
ビックリです。確かに日本ではリクガメは大切に飼育されるあまりに過食
気味になり、肥満個体も少なくはありません。でもソレと栄養素は全くの
別問題です。特にカルシウムに関する認識の甘さには愕然とします。種類
に差異はありますが、多くの野生のリクガメは半分枯れかけたような雑草
を大量に食んでいます。それと同時にその周りの土も大量に食べている事
を忘れてはいけません。その土壌には「たっぷりのカルシウム」が含まれ
ているのです。つまり彼らは毎日、大量の雑草と共に大量のカルシウムを
摂取している、ということになるわけです。地質学的なサイドから見ても
石灰岩質の土壌がない土地・場所に一切のリクガメは生息していません。
ホシガメを長期飼育されているある方の考えによれば「たとえ過剰に摂取
させたとしても、その余剰分は排泄されるのだから、与え足りないことは
あっても与え過ぎることは有り得ない」というぐらいです。人工飼育下に
リクガメをおくかぎり、自然界レベル以下の環境要因を1つでも減らして
いく、というのが僕たちリクガメ飼育者の使命であり義務でもあります。
カルシウムを必要十分なだけ摂取させることは非常に困難で手間のかかる
世話の1つですが、根気よく、愛情をもって工夫を凝らして与えてあげて
下さい。ちなみにカルシウムを与える際、リクガメ全般に言えることです
が「低リン」が大原則なので、「リン酸カルシウム」というモノではなく
「炭酸カルシウム」や「乳酸カルシウム」を与えて下さい。