よくいただく質問Q&A


ここでは日頃、メールでよく頂く御質問に対して僕がお答えしている内容を広く皆さんにも知っていただくため、Q&A方式に編集してまとめています。この他にも何か疑問や御質問がございましたらお気軽にメールを送付して下さい。


Q.リクガメは人になつきますか?
Q.ギリシャリクガメって色々あるの?
Q.ホシガメっていろいろ種類があるの?
Q.ホシガメかケヅメを飼いたいのですが何か注意することは?
Q.ピンポン玉サイズのホシガメは危険?
Q.15cm前後で3万円弱のヒョウモンガメを見つけたのですが大丈夫でしょうか?また、ヒョウモンの相場はどのくらい?
Q.リクガメ・ベビーの雌雄の見分け方を教えて。
Q.ホシガメケージの床材は何が最適?
Q.リクガメの混育はOK?
Q.ヒョウモンガメを買いました。現状では明け方には15℃以下に気温が下がるのですが、やはり保温電球は必要でしょうか?パネルヒーターは設置済みです。
Q.保温電球の必要性は?バスキングランプと併用しなきゃいけないの?
Q.ホシガメの具体的な食性を教えて。
Q.ケヅメリクガメの甲羅は、図鑑とかで見ると平たくて黄土色というかアイボリーのような色なのに、僕のやショップのは濃い茶色をしています。なぜですか?トゥルーライトの照射が足りないのでしょうか?
Q.鼻汁をたらしている。鼻ちょうちんも・・・どうしよう?
Q.冬場の保温のために、夜間は発泡スチロールで囲い込むようにしました。早朝で26℃です。ところがその発泡スチロールをバタバタするたびにカメがビクビクしてなんだか可哀想です。ストレスになったり人嫌いになったりしないでしょうか?
Q.20cm級のケヅメリクガメが3万2千円で販売されているショップを発見しました。お買得でしょうか?また、ケヅメの飼育は難しいでしょうか?
Q.45cmのケヅメをショップで見かけました。飼ってみたいと思うのですが大変でしょうか?
Q.地中海リクガメを数種飼育しています。エサはもっぱら市販の葉野菜(小松菜・キャベツ・ほうれん草)を中心に人参やトマト、リンゴ等をたまにスライスして与えています。これで問題ないでしょうか?
Q.お店で「餌への栄養剤・カルシウムの添加は月1回で充分。日本の陸亀は贅沢すぎる。その証拠に肥満個体が多い」と聞きました。本当?
Q.バスキングランプって必要なの?レフ電球とどう違うの?あの価格の差に納得できません。
Q.あるショップで5cmぐらいのケヅメリクガメが売られていてとても可愛かったのですが、飼育環境が良くないせいか、背甲が柔らかいのです。かなり。このぐらいの幼体だと柔らかいものなんでしょうか?カメが可哀相なので出来れば買ってあげたいと思っているのですが。


Q.リクガメは人になつきますか?

A.
地中海リクガメ(ギリシャ・ホルス・ヘルマン)は特にその傾向が強いですね。個体差がありますがエサをあげようとすると小走りで走ってきますし、手で「おいでおいで」するだけでもヨチヨチ向かってくるほど馴れる個体もあります。もちろん「感情」は無いのでしょうが、そんな事はどうでもイイぐらい仕草が可愛くてたまりません。僕もリクガメを飼って初めて爬虫類を見直しました。

他にはケヅメリクガメも良くなつきますし状態の良い健全な個体ならヒョウモンガメやホシガメ、アルダブラゾウガメも人になつきます。特にケヅメリクガメはベビーから20cmぐらいまで育て上げると確実になつきます。手から直接、葉野菜やバナナ等を食べたり飼い主の行くところ行くところに付いてきたり(^-^)と、それはもうまるで犬のようで可愛いですよ。


Q.ギリシャリクガメって色々あるの?

A.
ギリシャリクガメには現在基亜種を含めて6亜種存在します。

・ムーアギリシャ    (西側):スペイン南〜モロッコ・アルジェリア
     〃      (東側):チュニジア〜リビア
・アナムールギリシャ     :トルコ南部沿岸
・トルコ(イベラ)ギリシャ   :トルコ〜カフカス山脈南部
・テレストリスギリシャ    :エジプト北部・リビア南部
・ニコルスキーギリシャ    :?(多分ロシア方面なんでしょうね)
・イランギリシャ       :?(多分イラン方面なんでしょう)

このうちムーアギリシャの「西」と「東」は近い将来亜種分類されるそうです。日本のリクガメ市場に出回っているギリシャリクガメの殆どはムーアギリシャの「東」かトルコギリシャで、その他はナカナカ入手出来ないのが現状です。日本での販売価格は季節によって異なりますが大体1万円〜3万8千円ぐらいです。参考までに、現地モロッコでは1頭1000円もしないそうです。


Q.ホシガメっていろいろ種類があるの?

A.
分類学上は2種類だけです。インドに棲息するインドホシガメ、スリランカに棲息するセイロンホシガメが、いわゆる「ホシガメ」と呼ばれているお馴染みの個体です。もう1種類はビルマに棲息する個体で、ビルマホシガメと呼ばれホシガメとは全く別モノとして分類されています。これらは皆、全体的な外観も、甲羅の星形模様だけをとっても明らかに異なっています。十年ぐらい前まで日本でよく見かけられたホシガメは、ここで言うところのセイロンホシガメだったようですが現在では殆どインドホシガメになっています。一時期インドでの養殖個体が需要に追いつかなくなってインド政府が輸出を停止したときに代わりに輸入されていたようですね。

ビルマホシガメは特に顕著なんですが、全てのホシガメは、最近になって野生個体が激減しており、非常に危険な状態にあります。今後、おそらくビルマホシガメを皮切りに厳重に保護されていくことになると思われます。いくらホシガメが年間数度にわたって産卵するといっても「養殖」はまだ軌道にのっている、とは言い難いものがあります。でも、是非成功させてこのカワイイ種を今後も入手出来る状態が続いてほしいですね。


Q.ホシガメかケヅメを飼いたいのですが何か注意することは?

A.
ホシガメかケヅメリクガメのベビーを飼いたいとのこと、どちらも可愛いですよね。もしホシガメをご購入されるのでしたら何よりもまずサイズを重要視して下さい。「ピンポン玉」サイズは決して奨められません。せめて甲長7〜8cmぐらいに成長している個体が無難と言えます。ピンポン玉サイズの個体は安くてカワイクて、つい手が出てしまうのですが、殆どの場合、成長することなく数カ月〜数年内に死んでしまいます。かなりの熟練と熱意が必要とされるのです。

ケヅメのベビーはホシガメほど神経質にならなくても大丈夫ですが、やはり、5cmを下まわるベビーとなると怖いです。どちらのリクガメにも言えることですが、ショップに数個体がいる場合は、最も体重が重く、元気で、人が持っても「もがく」ぐらいの元気がある個体を選んで下さい。その他の詳細なチェック項目はホームページに書いてありますので参考にして下さい。


Q.ピンポン玉サイズのホシガメは危険?

A.
ホシガメの4cm−5cm級の大きさのベビーは、いわゆる「ピンポン玉」と呼ばれるサイズで、非常に飼育の困難な個体と言われています。しかしながら、ショップではこのぐらいのサイズは良く見かけるし、購入するのには手頃で、カワイさも抜群なのでつい買ってしまう・・・という魅惑のサイズでもあります(^-^;)。ただ地中海リクガメ属の4cm−5cm級の幼体とホシガメのソレでは飼育難易度がケタ外れに異なり、ホシガメの方が難しいということを知っておいて下さい。これからホシガメを飼おうとなさっている方々に常々僕がアドバイスしているのは次のとおり。

「ホシガメは決して−ピンポン玉サイズ−は買わないでください。どんなに状態の良い個体でもダメです。最低でも鶏卵の2Lサイズ(甲長約7cm)以上の個体を選んでください。」

これは僕の経験上の見解と、有力な情報源から得た知識なのですが、日本で流通しているリクガメの搬送時における扱いはヒドイもので、神経質でストレスに弱いホシガメが受けるダメージは深刻です。特に注意が必要な危ない時期である「ピンポン玉サイズ」の個体は決定的なダメージを受けてしまいます。ですから往々にしてショップでのホシガメの状態は良くない場合が多く、たまに見かける元気な個体は、ほとんどショップの努力と熱意によって小康を得ているに過ぎないというのが事実です。

一見、元気にエサも食べるし水も飲むし、排泄も順調で健全そのもの・・・という風に見えていても、ある日突然エサを食べなくなってしまってそのまま衰弱死したり、なんの兆しもなく突然死んでしまったり・・・と、色んな報告がなされています。ピンポン玉サイズのホシガメが死亡するケースの多くの場合は、1ヶ月たっても半年たっても目立って成長することなく、ピンポン玉サイズのまま死ぬようです。経験者の誰もが、数日前まではあんなに元気だったのに・・・と言うのが常のようで、詳細にわたって調べた方の話によると「カルシウムの絶対的摂取不足」が原因だということです。

つまり、ホシガメの場合「養殖」が軌道にのったとは言い難い状態であること。母国インドでは少しでも早く出荷しようと生まれて間も無い個体やワイルド・キャッチしたものをサッサと輸出してしまっているということ。ホシガメに限らずリクガメの生息地は、必ず石灰岩地質をもつカルシウムの豊富な場所で、その天然の素晴らしい場所でどこまで成長し成し得たかが大きなキーポイントになるということ。ある程度成長した個体は、自分自身の体内でビタミンD3を生成し、有効紫外線UVBを浴びる事によってカルシウムと反応させ、効率良く甲羅の成長へとつなげる術を体得しているけれど、未熟な幼体はその術を知らないまま輸出され、強いストレスにさらされ、生まれ故郷とは環境がガラリと変わって、生息地に比べれば絶対的にカルシウム量の少ない環境で飼育される事になる訳で、食&排泄は順調にいっていても身体全体の構造的な無理が積み重なり、ある日突然ショック状態に陥る・・・というのが最も有力視されている「死」の原因だそうです。では、なぜ地中海リクガメたちは大丈夫なのか?答えは簡単。少なくともホシガメよりは神経質ではなく、ストレスにも強いからです。そこでいつものフレーズになるんです。

「ホシガメは決して−ピンポン玉サイズ−は買わないでください。どんなに状態の良い個体でもダメです。最低でも鶏卵の2Lサイズ(甲長約7cm)以上の個体を選んでください。」


Q.15cm前後で3万円弱のヒョウモンガメを見つけたのですが大丈夫でしょうか?また、ヒョウモンの相場はどのくらい?

A.
ヒョウモンガメの相場ですが、15cmで3万円弱はあまりにも安価すぎるような気がします。僕の知る限りにおいて近畿圏でのヒョウモンの相場は8cmぐらいのベビーで3万3千円〜6万円はします。6万円というのは年末の大阪のショップでの価格で、3万3千円というのは地元・和歌山の行きつけの店で現在(春)販売されている個体の価格です。この地元の店はかなり安価に設定されている店で、この3万3千円の個体は昨年からの持ち越し個体で10cmぐらいに成長しています。

そうこう考えていくとどうしても15cmで3万円弱という価格設定には相当無理があるような・・・ひょっとしたらワイルド・キャッチされた個体かも知れませんね。でも、もしその個体が健丈個体なら絶対に「買い」の個体だと思いますよ。ご購入の前には必ずB品個体でないかどうかだけは確認して下さい。B品個体に関しては、ホームページの「購入前のカメチェック!」で詳細にわたって説明しているので参考にして下さい。ショップで確認してもしB品個体であれば3万円弱という価格設定は妥当です。その場合の購入の是非は飼育される方のお考え次第なのでお任せするしかないのですが、エサ食いの悪い個体と甲羅から顔や手足を全く出そうとしない個体だけは購入を避けるのが賢明です。


Q.リクガメ・ベビーの雌雄の見分け方を教えて。

A.
ホシガメ・ベビーの雌雄の見分け方ですが、事実上「無理」としか言いようがありません(^-^;)。僕が「まる子」とか「ムガール」なんて呼んでいるのはあくまでも希望的観測です。リクガメ全般においてベビーの雌雄を見分けるのは困難だと言われています。

ところがスゴイ発見をしてしまいました。実はウチのホシガメ「まる子」は現在、理由があって単独飼育をしているんですが、鼻汁を出しているので点鼻薬で処方しています。勿論まる子にとっては拷問の時間のようなものなので、その最中に尿も漏らしますし、可哀想に脱糞もしてしまいます。で、その時、まる子の肛門から何やらピンク色の5mm程度のモノがピコピコ出たり入ったりしているのを発見してしまったのです。そう、ソレは間違いなく「雄の証(^-^;)」でした。つまり、行動パターンや性格、尾・肛門の形状から「雌」だと推測していたまる子が実はオスだったのです(^-^;)。そしてコレもまた行動や尾の形状などからオスだと思っていたのが成長の段階で次第にメスっぽくなってきて名前も先日「ひょーちゃん」から「ひよちゃん」に改名していたヒョウモンガメなんですが、温浴の最中にぬるま湯のシャワーをあてながら腹甲にへばりついた糞を洗い落とそうとしていた時、ソレは現れました(^-^;)。形状はまる子(まる男?)のソレとほぼ同じ。若干紫がかった色をしていました。やっぱり「ひょーちゃん」で良かったわけです(^-^;)。

ホシガメを繁殖させる際、交尾を誘発させる為に水をかけると聞いた事があります。今回のまる子(まる男)にしても、「ひょーちゃん」にしてもある意味では水をかけた様な状況下におかれています。地中海リクガメでは全く起こらなかった事が連続で発見出来たんです。ひょっとしたら分類学上のゲオケロン(発音は間違っているかも知れません)にはこういった習性があるのかも知れません。

まる子(まる男)のような拷問めいた方法だと後ろめたいですから、ひょーちゃんの時のような方法、つまり温浴の際にぬるま湯のシャワーをザァーっと浴びせながら腹甲をさする方法なら誰でも出来ると思いますから一度試してみる価値はあるかも知れません。但しその方法で全ての個体が反応するとは限りませんからね。分類学上のテスチュード(発音には自信無し)は勿論のこと、ホシガメであってでもです。うーんリクガメはなんて奥が深いんだろう。事実上「無理」としか言えない理由はココにあったんです。


Q.ホシガメケージの床材は何が最適?

A.
今は数年前に比べ「爬虫類専用マット」とかいうネーミングの凄い床材も販売されるようになって、随分選択肢も増えてきましたから「どれがイイ」と言いきるのは難しいですね。僕自身、すべての床材を試用したわけではありませんから・・・。ですからココでは、あくまで僕の家のホシガメのケージの床材の変遷をもとに選択基準のようなものを考えたいと思います。

最初、ホシガメケージには購入店で使用されていたハイドロボールという直径3−5mmぐらいのまん丸いセラミック玉の様な床材を使っていました。通気性と保温性に優れている、というのが長所で、愛用していたんですが以下の理由で本物の赤玉土(中粒)へと移行しました。

1.5−7cm前後の幼体にとって床材は非常に重要で、足をとられるような粒の丈きなモノはすすめられない、というのを専門書で読んだ。
2.甲長10cmを超えたウチのケヅメリクガメが、エサのバナナが付着した床材(ハイドロボール)を丸ごと食べてしまい、喉につまらせてしまって吐き出させるのに大変だったことがあった。
3.赤玉土よりも高価で、赤玉土ほど「ネイチャー」っぽくない(^-^;)。

ホシガメのべビーの場合アレを呑み込むということはまず考えられませんし「3」は好みの問題ですから、懸念されるとすれば「1」ですね。永年リクガメを飼っている人ほど床材は簡素なモノになっていったりするのはそれだけカメ自体が大きく成長しているわけで「口に入る危険性のある物は、ことごとく排除する」という考えがあるのだと思います。僕も自然な造り(ネイチャー系)が好きなので赤玉土を導入しているわけなんですが、赤玉土の優位性はひとえに「もし食べちゃっても腹の中で崩れてくれる」コレに尽きます。

中粒を選択したのは大粒だと足をとられて歩きにくそうなウチのまる子(ホシガメ)を目撃したからです。地中海リクガメ達はタフなので大粒でも平気で歩いています。以上のことから歩く様子を観察して今後の床材を検討されるのが賢明かと思われます。なお、現在ホシガメのまる子だけは別ケージで新聞紙を床材にして飼育しています。これは彼女が鼻炎にかかり、鼻汁を垂らすようになってから、乾燥した赤玉土の粉が付着して度々鼻孔を塞ぐようになったためです。幸い、点鼻薬やその他の薬品とともに湿らせて取り除くことが出来ていたのですが、生命の危険性を感じ、まる子だけを新聞紙が床材の実に簡素で清潔なケージに移したというわけです。状況にあわせて床材を変えていく事も必要かも知れません。


Q.リクガメの混育はOK?

A.
リクガメの混育についてなんですが・・・すっごく良く解りますよ(^-^;)、そのお気持ち。実際に僕も混育しているわけなんですが、やはりコレだけは飼育書などに書かれているとおりオススメ出来ません。どうしても上下関係が出来てしまうようなんです。

リクガメは他のカメが食べている餌を食べにいく性質(卑しいですね)をもっていて、自分の周りにいくら沢山のエサがあっても真向かい側で食べているカメのエサを横取りしに行ったりします。地中海リクガメは鈍感というか図々しいので、横取りした方もされた方も無心にエサを食べ続けてくれますが、ホシガメの様に神経質で繊細なカメの場合、横取りされた方は殆どの場合エサ食いを止めてしまいます。その結果「上」の立場にあるホシガメは成長を続けますが「下」の立場にあるホシガメの成長はストップしてしまうのです。

実はこれ、ウチのまる子とムガールの間で事実、起こっているんです。まる子とムガールは甲長も体重もほぼ同じの個体でした。ところが現在に至ってはムガールはまる子のひとまわり大きく成長し、体重もズッシリ重くなりました。逆にまる子は甲羅も体重もここ数カ月は実質ストップ状態です。ムガールは普段は臆病で顔もろくに出さないのですが、餌の時だけはすさまじい勢いで食べるヤツです。人に馴れているまる子は僕たちの給餌に気付いて早くにエサ場へやって来て食べ始めますが、その数分後には餌のニオイを嗅ぎつけたムガールがやってきてまる子の食事を妨害し、その途端にまる子は食べるのを止めてホットスポットへと向かいます。最近、あまりにもこのパターンが顕著になってきたので、つい先日まる子とムガールを別ケージで飼育し始めました。まる子には止まっていた成長を再開してもらうためにも栄養満点の食材を特別に与えていくつもりです。

以上のような理由から、もし、どうしても「他の種類も色々飼いたい」とお考えでしたら、別ケージで地中海リクガメ属を何種類か飼育される事をお奨めします。60cmX45cmX30cmの水槽でも2階建てにすればスペースは変わりません。スチールラックなどを利用して熱帯魚水槽等のように2段式で飼育されては如何でしょう?ほとんど実体験にもとずくアドバイスばかりで科学的・生態学的根拠が無いので説得力に欠けますが地中海リクガメならともかく、ケヅメやヒョウモン、特にホシガメの混育はお奨めすることは出来ません(僕はしているクセにごめんなさい)。


Q.ヒョウモンガメを買いました。現状では明け方には15℃以下に気温が下がるのですが、やはり保温電球は必要でしょうか?パネルヒーターは設置済みです。

A.
保温電球は是非とも設置してあげて欲しいです。下に各専門書などからの抜粋と僕なりの見解をミックスして書かせていただきますね。

●ヒョウモンガメ(棲息地:スーダン・エチオピア・南ア)
多湿に非常に弱いので日本の夏期には風通しの良い所で飼育しないと長生きしない。ヒョウモンガメは、好適温度が確実に30度を超えているのでケージ内を25℃前後にし、他に30〜35度位のホットスポットをつくって飼育する。ホットスポット以外の場所は通年25度を下回らないようにしたい。ホットスポットと、それ以外で、このぐらいの温度差を作れる広さのケージが必要となる。湿度に弱いのでケージ内に水場の設置はしない。また、乾燥に気を遣いすぎて脱水症状にならないよう、エサの葉野菜などを洗ったまま水を切らずに与えて水分の補給をさせてやる。

ちなみに僕の所の「ひよちゃん」や「コンゴ」といったヒョウモンガメの飼育ケージは冬には徹底的な保温対策をしています。ヒョウモンやケヅメといったアフリカ産のリクガメは、経験上、冷えには本当に弱いですからパネルヒーターだけではなく、是非、保温電球を設置してあげて下さい。明け方に15℃以下になるという環境はヒョウモンにとっては致命的です。元来の生息地では決して体験することのない温度ですからまず間違いなく鼻炎から風邪を併発することは必至です。カメには横隔膜がないので鼻汁や痰を能動的に出すことが出来ません。呼吸困難に端を発してストレス死や衰弱死に至ることだってあるのです。この場合、食欲は目立って減退しないので「大丈夫」と安心しきっていると突然死んでしまったりして非常に厄介です。また、内臓が弱って下痢・嘔吐を繰り返した末に衰弱死という例も過去にあります。

僕は一応「南国」と呼ばれる和歌山に住んでいますが、真冬には保温電球(60W)を4個増設(計5個)しても明け方20度前後まで下がる時もあり、今年は800Wの縦型電気ストーブの「力」を借りて越冬しました。是非、早急に保温電球を設置されるか、部屋全体を25度近くまで暖房されるかして御購入されたヒョウモンガメ君の長寿のために御尽力をお願いいたします。


Q.保温電球の必要性は?バスキングランプと併用しなきゃいけないの?

A.
ヒヨコ電球の必要性ですが、正直な所「夏」は差し当たり必要無いと思います。絶対必要なのは秋から冬、春にかけて。つまり夜間、バスキングランプを煌煌と灯すことなく保温することでカメに安眠を与えるためです。

保温電球の説明書には「周りの温度より10度上がる」と書かれていますし実際にもそんなものなので冬場でも役に立たないのでは?と思いがちになりますが、その「10度上がる」が大きいんです。気温が10度にまで下がる季節にヒヨコ電球1灯は有り得ません。60cm程度の小さいケージなら昼間はバスキングランプと保温電球1灯で適温は得られるでしょうが夜間は厳しいでしょう。ましてや、イケイケの広いケージになれば、どうしても3灯、4灯と増やしてあげる必要があります。そういう場合は夜間の適温は守られますが昼間(特に春先)はバスキングランプの熱パワーと相俟って軽く35度を超えることもありますから、空中サーモも必需品となります。

そしてもう1つ、保温電球の果たす役割りで忘れてはならないものが有ります。「除湿」効果です。春から梅雨にかけて、日本では日中の湿度が40%ぐらいでおさまっていても夜間から明け方にかけて80%近くまで上がる日がやってきます。そんな時に、その夜間の異様な多湿からカメたちを守ってくれるのが保温電球なんです。もちろんこの場合にも季節が季節ですから温度も上昇してしまいますので空中サーモによる制御が必要となります。春先はまだ湿度もそれほど高くなく、気温も温暖なのでウチの保温電球も空中サーモも昼間は実質「休眠状態」ですが、夜間は働いてくれてますよ。あなたの飼育環境で、1日を通して観察して、湿度と温度が一体どのように推移しているかを調べてみてから、必要性の有無を検討されるのが一番だと思います。

最後に保温電球とバスキングランプは、どちらか一方とは言わず、別物と考えて両方用意されるのがBESTです。上記のとおり日中はバスキングランプの力でホットスポットを形成し、夜、バスキングランプを消した後が「明るく点灯する事なく保温効果が得られる」保温電球の出番です。深夜から朝にかけての冷え込み対策は特に重要ですし、これらのアイテムは保温以外にも余計な湿気を飛ばしてくれるという大切な役割も果たしますので是非とも御検討下さい。


Q.ホシガメの具体的な食性を教えて。

A.
ホシガメは神経過敏で順応性に欠け、飼育が困難な種である事は周知の事です。特に食事は、ショップで与えられていたモノに大きく左右されます。葉野菜しか与えないショップで飼育・販売されていた個体は葉野菜を好み、人工飼料しか与えないショップで飼育・販売されていた個体は人工飼料を好みます。面倒なことに、その「好み」以外のエサを食べようとしてくれないのがホシガメの順応性に欠けるところです。

ウチのまる子はショップで「プリティ・ペッツ」という米国産の草食爬虫類専用人工飼料を与えられて飼育・販売されていました。今でこそ、キャベツやバナナ、キウイや
スモモを食べるようになりましたが、購入して数ヶ月間はプリティペッツ以外には見向きもしなかったのです。そこで僕はその人工飼料に似た香りをもつ食物から食べさせる努力を始めました。その飼料の香りは、強烈なフルーツの香りです。ありとあらゆるフルーツを食べさせて、その中で最も「食い」が良かったのが上にも書いたバナナ、キウイ、スモモだったんです。で、フルーツだけだとどうしても栄養が偏ってしまうので葉野菜を食べさせる必要がありました。これもありとあらゆる野菜を試してみましたが「食べた」と言えるほど食べてくれたのは「キャベツ」だけ。青みの濃い葉野菜は今でも嫌います。

ムガールは全くその逆で、葉野菜オンリーのショップで飼育・販売されていた個体なので果物やプリティペッツには見向きもしてくれませんでした。でもムガールは、まる子よりは順応性があるのか、まる子が美味そうに食べているのを見てすぐに果物・人工飼料にも慣れてくれました。実は今、ある理由で別ケージ・別メニューで飼育していますが、まる子に関しては、粉末総合ビタミン剤と炭酸カルシウム粉を吸い込ませたプリティペッツをメインに、バナナ、キウイ、トマト、キャベツを与えています。ムガールは何でもOKなので、地中海リクガメたちのエサと同じメニュー(大根の葉っぱ、小松菜、シャクシ菜、ほうれん草、キャベツ、レタス、トマト、リンゴのスライスなど)を日替わりで与えています。

プリティペッツは多くのリクガメにとってかなり嗜好性が高い人工飼料のようで、葉野菜・果実に直接ビタミンやカルシウムを振りかけると殆どエサを食べなくなってしまってう場合でも、この人工飼料に吸い込ませて与えればまず間違いなく食べてくれます。価格は高いですが栄養補助の為にも買って損は無いと思います。


Q.ケヅメリクガメの甲羅は、図鑑とかで見ると平たくて黄土色というかアイボリーのような色なのに、僕のやショップのは濃い茶色をしています。なぜですか?トゥルーライトの照射が足りないのでしょうか?

A.
事実は知っていたんですが深く考えた事がなかったので恥ずかしい。僕もここ数日で色々な方に尋ねまわりました(^_^;)。僕もケヅメはベビーから育てているので、成長と共にあらわれる、あの甲羅の隆起と色の変化には最初びっくりしていたのですがショップの20cm級のケヅメも同じ色・形だったので特に気にしていませんでした。でも今回、あらためて御質問を頂き、これはきちんとした答えを見つけなければ、と思い立った次第です(^_^;)。で、そうやって得られた情報なんですが(^_^;)・・・30cmを超えたあたりから色あせてくるということと、結構個体差があるということ、です(^_^;)。

ココから先は僕の見解なんですが、ケヅメの40cm前後の個体、たまにショップで見かけますよね?あの殆どは、日本国内で人手に掛かって成長したのではなく、十分成熟した個体を現地でワイルドキャッチしたものを輸入した個体だと思うんです。ですから、あの大きさに至るまでには中央アフリカの厳しい環境の中、成長を遂げてきたわけで、余分な栄養は摂取出来ていないと考えます。(テレビ番組で見たんですが野生のケヅメリクガメはサバンナみたいなところで半分枯れたような雑草をガシガシ食べていました)しかし、ことカルシウムに関しては土に含まれた石灰岩の粉と共に摂取する野生の方が恵まれています。その結果、甲羅の異様なまでの隆起は起きず、また、成長も必然的に緩やかになるので甲羅の年輪と年輪の間が広くなり、図鑑で見るようなケヅメリクガメになると思うんです。ところが人手に掛かって成長した場合、どうしても恵まれた食生活(その割にはカルシウム摂取は極めて少ない)のもと、狭いエリアの中で成熟していくので、甲羅全体の成長よりも甲羅1枚1枚の隆起の方が早くなり、密度の濃い、あの焦げ茶色の甲羅になると考えます。

有力な根拠としてはショップでベビーから40cm超級まで育てられたケヅメを一体知っているのですが、その個体は40cm超級であるにも関わらず、あの図鑑のようなアイボリーではなく、焦げ茶色のボコボコ甲羅だったのです。つまり、甲羅の色はトゥルーライト等照明の照射時間よりも食生活と飼育環境に大きく影響される・・・と、そういう結論に達しました(^_^;)。


Q.鼻汁をたらしている。鼻ちょうちんも・・・どうしよう?

A.
我が家のまる子も今なっています。鼻炎か感染症のどちらかです。鼻炎の原因は不適正な温湿度、床材の塵・ほこり、不衛生な環境、ビタミンAの不足などがあげられます。治療方法は上記の問題の解消の他に、市販されている人間用の点鼻薬を毎日鼻水を拭き取ってあげた後に処方するという方法が効果的です。スプレー式で細かい霧状の薬が噴出しますから、ホシガメ・ベビーの小さな鼻腔にも入ります。ホシガメはビックリしてしばらく頭を引っ込めていますが、点鼻薬が「呼び水」になっているのか、大量の鼻水をズルルルと出す場合があり、それをティッシュなどで完全に取り除いてあげるとスーピーと空気が通るようになります。それでも暫くの間だけなんですが・・・。

根気よく治療すると徐々に快方に向かっていきます。ちなみにビタミンAは、テトラ・ベルケ社のタートル・アイクリアーかタートル・アイ・リンスがお奨めです。感染症の場合は深刻です。詳細については「リンクページ」から「TORTOISE LAND」を訪れてみて下さい。非常に詳細にわたって症状および処方が解説されています。鼻炎にしても感染症にしても、もし爬虫類も扱う動物病院が近くにあるのでしたら行って治療してもらうのが最も早く完治・解決できる方法です。


Q.冬場の保温のために、夜間は発泡スチロールで囲い込むようにしました。早朝で26℃です。ところがその発泡スチロールをバタバタするたびにカメがビクビクしてなんだか可哀想です。ストレスになったり人嫌いになったりしないでしょうか?

A.
発泡スチロールを御使用になったのは正解ですね。断熱性に富んでいますから保温面で大いに役立ってくれると思います。早朝26℃は完璧ですよ。三寒四温といった気候になってくれば空中サーモも必要になるでしょうが今のところ(2月中旬)は大丈夫でしょう。「発泡スチロールバタバタ」によるストレスですが最初はビクビクするかも知れませんがそのうち慣れてくれると思いますよ。

最近ウチのカメ達を見ていて感じるんですが1日のうち最低10時間は人の気配がある「居間」のカメたちは皆どんどん人に馴れ親しんでくれるのですが、照明機具のON・OFF時と給餌の時にしか人の気配が無い「納戸」にいるカメたちはナカナカ人になついてくれません。購入時には人見知りしない人なつっこい子だったカメまでもが、最近、僕たちの気配にビクビクするようになってしまいました。(これはショックでした・・・)熱帯魚等でもそうですが、四六時中バタバタしてる方が早く「人」というものを認識して馴れてくれるような気がします。もちろん限度がありますが。


Q.20cm級のケヅメリクガメが3万2千円で販売されているショップを発見しました。お買得でしょうか?また、ケヅメの飼育は難しいでしょうか?

A.
20cm前後で32000円は激安です。まず間違いなくワイルドものでしょう。出来ればその個体が排泄する糞尿を確かめたいところですね。ケヅメは非常に丈夫なリクガメで購入時の個体の状態さえ良ければ何でも良く食べスクスクと育ってくれるのですが、内臓が弱く、「冷え」や「寄生虫」による衰弱が起こると「死」に至ることもあります。御覧になったそのケヅメの現在の「エサ喰い」がイイこと、それと下痢をしていない事、これが確認できれば「絶対買い」の個体です。

ケヅメは水を飲ませて飼育することも水無しで飼育することも可能です。水を飲ませて飼育している場合のケヅメ(健康体)の糞はちょうど人間のソレと似ていて、形はあるものの、指で押すと「ズニュゥ」という感じです(^_^;)。水を飲ませないで飼育していて健康なケヅメの糞は山羊やウサギのように手にしてもコロコロとしていて形崩れしません。これを参考に内臓器官の健全度をお確かめ下さい。

我が家のケヅメの話ですが「ネイル」と「エル」の2頭が居ます。「ネイル」は5cmぐらいから育てている個体で、約1年半の年月を経て現在18cmぐらいに成長しています。「エル」は購入の時点で既に25cmぐらいだったもので「ネイル」のお嫁さんにと3カ月前7万円で入手しました。飼育は前述のとおり、今の季節(冬)は特に「冷え」に気を付けて、深夜から早朝にかけてもケージ内は25℃を下回らないようにしなくてはなりません。僕は、地中海リクガメとホシガメは冷暖房完備の居間兼寝室で飼育しているのですが、ケヅメとヒョウモンは隣りの納戸で飼育しているので外気温の影響を相当受けてしまいます(5月の再編成でゴロッと入れ替わりました)。昼間はクロマルクス電球のバスキング効果で30℃を超える環境づくりも楽なんですが、深夜は、パネルヒーターと保温電球(60w)1個だと10度近くまで下がってしまうこともあるので保温電球60wを4個増設、そして更に800wの電気ストーブを炊いてようやく早朝25℃をキープしている次第です。

あと大変だとすれば、尿でしょうか。20cm近くのケヅメとなれば、糞は前述の通り「水無し」で飼育することで容易に処理できますが、尿と尿酸の量はハンパじゃないので床材は赤玉土などではなく、取り替えやすい新聞紙になってしまいます。我が家の場合、4枚に重ねた新聞紙を毎日2回ずつ交換しています。飼育難易度は決して難しい種ではないのですが、このぐらいの大きさともなると飼育が「大変」である事は覚悟しておいた方がいいですよ(^_^;)。


Q.45cmのケヅメをショップで見かけました。飼ってみたいと思うのですが大変でしょうか?

A.
45cmのケヅメリクガメ!!立派ですねぇ!!飼育難易度という点ではベビーよりも遙かに簡単だと思います。ただ、食事量と排便が半端ではなく凄いので覚悟が必要です。食事量は1日1回としても小松菜で3〜5束は軽く食べきってしまいます。排便に関しては水を飲ませない飼育方法をとれば大便の処理は比較的容易です(コロコロしてますから)。問題なのは小便の処理です。水を飲ませない飼育方法でも1日に2回〜3回、牛乳ビン2本分ぐらいの尿を排泄します。もちろん尿酸とともに。屋内飼育はかなり困難と言えるでしょう。屋外だと冬場には温室でも作っておかないと飼育は不可能ですから解りやすく表現すると「初心者にとって飼育は困難」ではないですが「誰にとっても飼育は大変」(^_^;)ということになります。


Q.地中海リクガメを数種飼育しています。エサはもっぱら市販の葉野菜(小松菜・キャベツ・ほうれん草)を中心に人参やトマト、リンゴ等をたまにスライスして与えています。これで問題ないでしょうか?

A.
エサに関しては現行のとおりで大丈夫だと思います。ただ、最近の市販の野菜は、品種改良を繰り返された弊害で驚くほど栄養素が少なくなってしまっています。栄養補助食品は何か与えられているでしょうか?特に炭酸カルシウムやビタミンA,D3などは人工飼育下で必ず添加してあげなければならない種類のものです。かの有名なトータス・トラスト社でも最近有効紫外線UVB照射環境下における体内のビタミンD3の活性化よりもただのレフ電球照射下におけるビタミンD3薬剤の経口投与の方が好結果が得られているとして、全てのリクガメ幼体に、ビタミンD3薬剤を添加したエサを与えているということです。僕の場合、プリティペッツというお湯でふやかせて与える人工飼料に、炭酸カルシウムや各種ビタミン剤を吸い込ませて1週間に1度ぐらいのペースで与えています。ある人の経験から生まれた知識によれば「カルシウムは、いくら与えても与えすぎる事は無い。吸収されなかった分は排泄されるので、出来得る限り毎日与えるべきである」ということです。


Q.お店で「餌への栄養剤・カルシウムの添加は月1回で充分。日本の陸亀は贅沢すぎる。その証拠に肥満個体が多い」と聞きました。本当?

A.
「日本のカメは贅沢」=「月1回のカルシウムで充分」という考え方にはビックリです。確かに日本ではリクガメは大切に飼育されるあまりに過食気味になり、肥満個体も少なくはありません。でもソレと栄養素は全くの別問題です。特にカルシウムに関する認識の甘さには愕然とします。種類に差異はありますが、多くの野生のリクガメは半分枯れかけたような雑草を大量に食んでいます。それと同時にその周りの土も大量に食べている事を忘れてはいけません。その土壌には「たっぷりのカルシウム」が含まれているのです。

つまり彼らは毎日、大量の雑草と共に大量のカルシウムを摂取している、ということになるわけです。地質学的なサイドから見ても石灰岩質の土壌がない土地・場所に一切のリクガメは生息していません。

ホシガメを長期飼育されているある方の考えによれば「たとえ過剰に摂取させたとしても、その余剰分は排泄されるのだから、与え足りないことはあっても与え過ぎることは有り得ない」というぐらいです。人工飼育下にリクガメをおくかぎり、自然界レベル以下の環境要因を1つでも減らしていく、というのが僕たちリクガメ飼育者の使命であり義務でもあります。

カルシウムを必要十分なだけ摂取させることは非常に困難で手間のかかる世話の1つですが、根気よく、愛情をもって工夫を凝らして与えてあげて下さい。ちなみにカルシウムを与える際、リクガメ全般に言えることですが「低リン」が大原則なので、「リン酸カルシウム」というモノではなく「炭酸カルシウム」や「乳酸カルシウム」を与えて下さい。


Q.バスキングランプって必要なの?レフ電球とどう違うの?あの価格の
  差に納得できません。

A.
バスキングランプと呼ばれる殆どの電球は、フルスペクトル電球とも言われ、通常のレフ球に比べて広い帯域の光線を照射する仕組みになっています。しかし、それがカメの甲羅形成に必要なビタミンD3を活性化させる有効紫外線UVBまで発しているか、というと疑問が多く、実際には殆ど発していないのが現状のようです。

では何故、レフ電球よりもバスキングランプが重宝されるのか?それは僕がホームページの中でも推奨している「クロマルクス電球」を例にとると分かり易いのですが遠赤外線−赤外線にかけての放射量が通常のレフ球よりも多く、リクガメを表面的に暖めるだけではなく身体の中からも暖める効果があります。その他にもデータに表れない何らかの違いが多く含まれているようで、リクガメだけではなくイグアナやカメレオンなどにもトゥルーライト&レフ球の時よりもトゥルーライト&クロマルクス電球の時の方が、食欲が旺盛になり健康的で長期飼育が可能となったという例がいくつもあげられています。

リクガメ自体まだまだ未知の部分が多い生物であると同時にリクガメと光の関係も経験論でしか述べられない所が沢山あります。最近、爬虫類専門機具メーカーでUVBの放射量に重点を置き、トゥルーライトのUVB放射量の数倍にした蛍光管を発売してその優位性を誇っていますが果たしてその「不自然な光」が本当にリクガメにとって良い結果をもたらすのかどうかは未だ分かりません。トゥルーライトのコンセプトは、あくまでも「自然光に近づける」ことですからトゥルーライトを何十本も設置するのが一番良いのかもしれません。お金がいくらあっても足りませんが・・・(^-^;)。

忘れてはならないのは、自然下のアルダブラゾウガメの死因の1つとして「紫外線の過照射による失明」が少なくないという事実があることですね。数値だけからでは判らないことがまだまだ残されています。それを解明していくのは機具メーカーでも専門ショップでもなく、僕たちリクガメの飼育者1人1人が「研究者」としての自覚と「飼い主」としての愛情を持って経験を積み重ね、その苦労と試行錯誤の中から生まれるものが本当の「リクガメ飼育法」であると考えています。


Q.あるショップで5cmぐらいのケヅメリクガメが売られていてとても可愛かったのですが、飼育環境が良くないせいか、背甲が柔らかいのです。かなり。このぐらいの幼体だと柔らかいものなんでしょうか?カメが可哀相なので出来れば買ってあげたいと思っているのですが。

A.
おすすめできません。可哀想ですが長くはないと思います。手遅れだと思います。ケヅメのベビーで5cmもあれば、背甲はシッカリしているのが普通です。腹甲も若干ペコペコするものの、ほぼ固まっているものです。

つまり、あなたが御覧になったケヅメベビーたちは間違いなく「ソフト・シェル」状態に陥っているということです。有効紫外線UVB不足による体内ビタミンD3の活性化がなされず甲羅の形成が遅れ、またカルシウム不足によって輪をかけて甲羅の軟化を引き起こしてしまっている状態です。背甲が軟化しているとなると「ほぼ末期的」だと僕は考えています。今から強制ビタミン給餌や紫外線灯などによるUVBの強制照射をしたところで、その治療過程でのストレスや副作用によって死に至る事は間違いないでしょう。

「可哀想だから買おう」という御気持ち、凄く良くわかります。僕も過去何度かそういう葛藤に苦しんだ事がありますから。でも、かつて誰かが言ってました。「ショップのヒドイ環境で死にそうになっている亀を救わんが為に購入し、その子が死んでしまった時の悲しみは、その子をそういう状態に陥れたショップの人間にではなく自分だけに降りかかる。この場合、ショップは全く学習することなく同じ過ちを犯し続けることになり、私の望んでいることとは本末転倒になってしまう」と。最近、僕もこの考え方に賛同しています。心情的に困難でしょうがどこか違うお店での購入を御検討される事をお奨めします。


   
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