日常の世話


日常の世話に関しては、理想を言えばキリがないので我が家の場合を例に挙げて説明します。
(諸条件:夫婦共働き。朝7時半出勤/夜9時帰宅。2人暮らし。休日不定期。)

1日の流れ

まずは1日の流れを簡単に書いておきます。我が家のリクガメにとっての朝は午後9時となっています。実際の時間とズラすことで彼らの生態時間とかけ離れた状態での生活は決して良いことではないのですが、何らかの変化に気づいてあげられたり咄嗟のケアなどは、たとえ夜中であってもこの時間帯でしかないので様子を見ながらではありますが現在は実験的にこういう飼育体制をとっています。

※日中の最高気温が25度以上または最低気温が20度以上の時は、保温電球は常時消灯します。

21:00
帰宅すると同時に全リクガメケージのトゥルーライト・バスキングランプ・レフ電球を点灯します。(カメにとっての「朝」になります)
21:15
全リクガメケージにエサを分配します。可能な限り、日替わりメニューにしています。最近のパターンは、小松菜・大根葉・ほうれん草・キャベツ・モロヘイヤ・サラダ菜・ブロッコリー・レタス・リンゴ・バナナ・栄養剤添加人工飼料といったものをローテーションさせています。カメによって好き嫌いがありますが、特別待遇はしていません。ただし体調がすぐれなかったりエサ喰いが悪いときなどは迷わず好物を与えます。
21:45
食事をとりながら、カメ達の様子を観察します。あえてエサ場まで連れていってやることはしていません。自然に目覚めて、ホットスポットで暖を取り、彼らの身体が好適温度に達してエサ場に向かう様子でカメの健康状態を観るのです。
22:00
この頃になると既にホシガメ以外は大体エサ場とホットスポットを行き来しています。ケヅメリクガメなんかは暖もろくに取らずにガツガツとすさまじい食欲で短時間で食べきってしまいます。
23:00
ほぼ食事を終えた地中海リクガメ御一行様(ホルスフィールドリクガメ・ムーアギリシャリクガメ)は、ケージ内を闊歩しています。ホシガメは上品に食事をとっているか、ホットスポットで休んでいます。ケヅメリクガメとヒョウモンリクガメも、ホットスポットで手足を伸ばしきって身体中で光と熱を受けとめています。
00:00
家内は就寝。僕はゲームやら深夜番組やら、いい歳して若い頃と同様に趣味の時間を楽しんでいます。リクガメたちにとっては最高の活動時間となり、ケヅメリクガメのケージに甲羅をぶつける音は家のどこにいても感じる(音は聞こえなくても響く)ことが出来ます(笑)。ふとホシガメケージに目をやると、いまだマイペースで葉野菜を食べるホシガメの姿を見ることが出来ます。
01:30
リクガメの様子(活動の様子や糞・尿酸の様子)を確認してから就寝。えっ?4時間半しか寝てないの?と思われた方、たしかに…最近そういう日も珍しくないです(笑)。ヒトは90分インターバル(1時間半、3時間、4時間半、6時間という区切り方)で寝ると効率よく睡眠が取れるといいますが、僕はそれを地でいってます。いまのところイケてるようです(笑)。
06:00
起床。軽めに食事を与えます。彼らにとっての夕食にあたります。大体、朝食と同じメニューです。ホシガメ以外はザザッとエサ場に集まり、ケヅメ&ヒョウモンは、やはり20分ほどで平らげてしまいます。この後自分たちも軽く朝食をとって朝の段取りをします。
07:30
出勤。トゥルーライト、バスキングランプ、レフ球を消灯します。彼らにとっての「夜」となります。カメROOMは雨戸も遮光カーテンも閉じているので完全な闇を作ることが出来ます。保温電球とパネルヒーターのみが稼働しているこの時のケージ内の温度は、ホットスポットで30℃〜35℃。それ以外で20℃〜25℃(季節によって多少異なります)となっています。(ホシガメケージとヒョウモンケージだけは25℃以下の場所は作っていません。)

とまぁ、こういう1日の連続です。

温浴

温浴は現在、週1回ぐらいのペースで(彼らにとっての)朝御飯前に実施します。御飯前の温浴は、すごい量の脱糞の後の食事になるのと、身体が充分暖まっているので代謝が良くなっており、非常に食欲を増している状態での食事になるので、カメにとって健康上、非常に良い結果をもたらします。ホントは毎日励行すべきなんでしょうが、総勢7頭の大所帯ともなると脱糞量も半端じゃなくて、なかなか「やるゾ」という気にならなくて・・・ダメですね、こんなんじゃ。反省・・・。皆さんは最低でも2〜3日に1度は温浴させてあげてください。温度は35℃前後がベストです。冬場だとすぐ冷めてしまうので、ちょっとだけ熱めにしておいてもイイでしょう。と言っても40℃ぐらいですよ。くれぐれもカメ達の様子をよ〜く観て、事故につながらないよう注意して下さい。前にも述べましたが、この温浴のお湯の中に栄養剤(ビタミン剤)を入れておけば、飲んでくれる場合があります。エサにつけると食べなくなってしまうカメたちにはこの方法がイイでしょう。

☆「温浴」とは何か?・・・温浴は、なぜかリクガメの世界に足を踏み入れると、どこからともなく耳に入ってくる暗黙の世話(^-^;)のようで説明が難しいのですが・・・あくまでも僕の見解として語らせていただきます。みなさんも御存知のとおり、多くのリクガメは多湿に弱く、日本の梅雨などにはムラさないよう気を配らなければならない、などとよく言われます。さらに自然界においても「温浴」のような現象は起こり得ないわけですから日常の世話の中にそんな不自然な世話を組み入れることは不思議に思えますよね。ところが自然界でのリクガメ・ベビー達は、もちろん、この世に生を受けた全ての個体が成体になるまで生き延びることが出来るわけではなく、多くは内臓疾患や栄養失調、寄生虫および外敵からの干渉などの原因で死んでしまいます。本来彼らが生きるべきフィールドである自然界においてでも多くの要因によって死に至ることが有るわけですから、人工飼育下では自然に近づける努力(トゥルーライト,保温電球,炭酸カルシウム粉の投与など)以上に更なるケアをもって死の原因たりうる事象を回避していくよう努めなければなりません。それがビタミン剤の投与であったり温浴だと思うのです。7−8cmぐらいのある程度成長したベビー個体に関しては、排泄は通常問題なくすると思うのですが、さらに小さい幼体や他の神経質なリクガメなどの場合、輸出入および流通の搬送時におけるストレス、人工飼育の環境変化によるストレス、日々少しずつ積もらせていくストレスなどが原因で内臓が失調する場合があります。この際には1週間以上も便がなかったり最悪の場合、そのまま拒食症になって死んでしまうことすらあります。時にこれは、個体差によって、超幼体でなくとも、また、さほど神経質ではないリクガメであっても起こりうることで、そういったリクガメを心身ともに緊張を解きほぐし排便を促す目的で温浴という世話を行う訳です。多湿を嫌う多くのリクガメたちですが、生活環境下における継続的な多湿には弱いですが、温浴のように10分程度のものであれば何ら悪影響は及ぼしません。ただ、温浴の後の拭き取りはある程度丁寧にしてあげたほうがいいかもしれませんね。排便をした後の食欲にも目を見張るものが有ります。通常排便をさせているだけの時の彼らの食事量と、温浴を実施して大量の排便・排尿をした後の彼らの食事量とでは大きく開きが有り、温浴後の食欲の方が明らかに勝ります。ですから食が鈍った個体に食欲を取り戻させる意味を込めて温浴させるということも、ままあるわけです。具体的な温浴方法ですが、洗面器かなにか、ある程度の深みのある器に、ちょうどカメの背甲が浸かりきるか浸かりきらないかぐらい(カメが首を伸ばせば呼吸できる程度)の深さになるよう35度から40度のぬるま湯を入れ、そこにカメをソッと放します。臆病なカメだとしばらく頭も四肢も引っ込めたままですが1,2分もすれば徐々に頭を伸ばし始めて呼吸をします。元気なカメだと温浴を嫌う様な仕草をしますが、次第に慣れてくるものなので問題ありません。温浴好きなカメなんかだと四肢を伸ばしきって見るからにリラックスした様子で、日頃欠乏しがちな水をクイッ、クイッ、と飲む様子が伺えます。しばらくすると(5分から10分ぐらい)90%程度の確率で、尿・尿酸・糞を排泄(何度かに分けて排泄する場合も有ります)し、動き回り始めます。カメの甲羅には目に見えないほどの小さな穴がたくさん空いていて、そこから熱を効率よく吸収できるような仕組みになっているので、この温浴時にはそういった事も鑑みて甲羅の汚れを綺麗に落としてあげるようにします。それが終わったら温水の中から取り上げて、ティッシュ等で甲羅、皮膚を丁寧に拭いてあげて、ケージのホットスポットへと放します。しばらくの間ホットスポットで身体を温めたカメは次にエサ場へと向かい、凄まじい勢いで食事にありつきます。この温浴時に自分の浸かっている水を飲むカメの習性を活かして、温水にビタミンやカルシウムを梳き入れておく人も多いです。

飲み水の世話

現在飼育しているリクガメで水を必要とするカメはホシガメぐらいだと思いますが、一応、地中海リクガメケージにも設置しています。彼らは殆ど水は飲みません(週に1回〜2回ぐらい)が、脱糞を促すために浸かることがあります。湿度に問題が出ないだけの広いケージで飼育する場合は用意しておいてあげるとイイでしょう。ケヅメ&ヒョウモンは、設置すれば飲み、設置しなければしないで平気、という輩です。以前は設置していたのですが、その時の尿の量のすさまじさと、おぞましいほどの軟便によるケージ内の汚染にまいってしまい、今では設置していません。そのかわり、水分補給が充分に出来るレタス等を数日毎に必ず与え、脱水症状にならないよう気を配っています。

栄養面での世話

温浴のところでも述べましたが、栄養剤の添加を時折しています。主なものとして「各種ビタミン」「カルシウム」がありますが、甲羅や皮膚を保護する「保護クリーム」も重宝します。

『各種ビタミン』リクガメが特に必要とするビタミンはAとD3です。Aはカメの鼻腔内粘膜や、眼瞼の粘膜などを保護する効能があります。D3は、カルシウム及び紫外線と反応して、甲羅の形成に不可欠です。テトラ社から発売されている粉末タイプとリキッドタイプが有名ですが、粉末タイプは、説明書どおりに葉野菜にまぶして与えると、殆どのカメが見向きもしなくなってしまい、栄養剤どころか食事まで取らないというダブルパンチに遭ってしまいました。温浴の際にお湯に溶かし込むというパターンで利用するのがイイようです。飲むか飲まないかは時の運です。リキッドタイプは、キャップがスポイトになっていて、適量が一目瞭然で使いやすいです。やはりビタミン臭はヒドク、温浴のお湯に垂らすのが普通でしょう。説明書には飲み水に入れて使用すると書かれています。しかし皆さん、聞いて下さい!僕は完璧な手段を発見しました!!実は現在飼育しているカメ達の中で、ホシガメとケヅメリクガメ2頭のうち1頭は、大阪のとあるショップで購入したのですが、そのショップでは日々の基本飼料が 人工飼料なんです。アメリカはミネソタ州にある会社が製造している飼料で商品名は「プリティペッツ」。一見したところ、ドッグフードのような形状なんですが、香りは鮮烈な果実の香り。そのまま与えるのではなく、お湯でふやかせて柔らかくした後に与えるタイプです。非常に嗜好性が高くて、普段、葉野菜しか食べない種でも大概食べるようになります。ウチのヒョウモンリクガメだけが、全く見向きもしなかったのですが、最近ようやく少しずつ食べるようになりました。もうお解りになりましたか?そうです。そのふやかす為のお湯の中にビタミン剤を投与するのです。プリティペッツはビタミン剤が含まれたお湯をたっぷり吸い込んで大きくなり、しかも鮮烈な果実の香りでビタミン臭は抑えられているので、カメ達は何も気づかずモリモリ食べてくれるわけです。このおかげで、僕はビタミン剤の強制経口投与することなくビタミン補給に成功しています。ちなみにこの「プリティペッツ」は高いです。換算するとコシヒカリより高いです。1300g袋で5000円近くしました。キツイです。でもまぁ、毎日与えるわけではないので、減っていくペースも遅いですから、こんなもんかな・・・ と諦めています(^_^;)。

『カルシウム』これが大変です。ビタミンより大変。でもカメにとっては絶対不可欠の栄養素です。自然界でのリクガメは餌の植物を食べるのと一緒に付着した土も食べており、その土の中に含まれるカルシウムを補給源としています。ですからカメの棲息する地域には必ずと言っていいほど石灰岩質が多く含まれる土壌があります。では、飼育下のリクガメにはどうやって補給すればいいのか?一般的に良く言われるのが、卵の殻を砕いて葉野菜にまぶすという方法。やってみました。大変です。卵の殻の内側の薄い膜は蛋白質なので取らなければなりません。(リクガメは低蛋白・低脂肪・高カルシウム・低リンが基本)殻は吸収されやすいように粉末状になるまで粉々に粉砕しなければなりません。それを振りかけた葉野菜を与えます。殆ど食べ残してしまいます(;_;)。次に挙げられるのはテトラ社が発売しているカルシウム補給剤(粉末)。しかしこれも、振りかけると食べ残し、プリティペッツに混ぜようにも全く水には溶けないので、どうしようもありません。なにより、このテトラ社のカルシウム補給剤の主 成分はリン酸カルシウムといって、リクガメには決して良くはない「リン」が多く含まれているので、選択肢からハズした方がいいでしょう。で、現在僕はどうやっているかというと、行きつけのショップで販売されているヨーロッパ製の超高級カルシウム補給剤(^_^;)を使用しています。価格はナント1缶2200円。ここに含まれているカルシウムは炭酸カルシウムでカルシウム:リンの比率は1.5:1。各種ビタミンも含まれていて非常に便利ですが一昔前ならコレでベストだったリン:カルシウム比率、今では色んなメーカーから2.5:1のものや3:1のものも販売されているようで、そんな中で最近使い始めたのが草食爬虫類用カルシウム添加剤スプレータイプ「イグアナカルシウム」です。与える葉野菜にシュッシュッと吹き付けるだけで良いので大変便利です。尚、卵の殻も天然の炭酸カルシウムなので細かく砕いて与えているベテラン飼育者も少なくありません。ちなみに前述の粉末カルシウムは、ある程度お湯に馴染む(やはり溶けません)ので「プリティペッツ」作戦で食べさせることが出来ます。最後にメーカー名と正式名称を書いておきます。

『保護クリーム』シェルクリームと呼ばれているもので、テトラ社から発売されています。触ってみるとハンドクリームみたいな感触で、カメの甲羅・頭・首筋・手足に塗ってあげることによって、甲羅は強く美しくなり、その他は乾燥による肌荒れを無くす効能があります。ところが最近「リクガメの甲羅にある熱吸収を効率よくする為の微細な穴を塞いでしまうので甲羅に塗るのは最良の方法とは言えない」という考え方があります。そこで思ったのですが、シェルクリームが肌荒れに良い効果をもたらすことは経験で確認しています。ですから、あくまで「スキンケア」として使用する分には非常に有効ではないかと考えます。皆さんは如何でしょう?尚、我が家では1〜2カ月に1度ぐらい、温浴の後に塗ってあげています。見違えるような美しい姿になりますよ。それが自然か不自然かは別問題として・・・


文章内に出てきた飼料・栄養剤などの詳細データ


プリティペッツ  正式商品名「PrettyPets - LARGE TORTOISE FOOD -」
         製造会社名「PrettyBird International,Inc.U.S.A」
         購入時価格 1300g 4000円

粉末ビタミン剤  正式商品名「Vitalife」読み:バイタライフ
         製造会社名「ドイツ・テトラベルケ社」
         販売会社名「ワーナーランバート株式会社」
         購入時価格 50g 1100円

液体ビタミン剤  正式商品名「Reptosol」読み:レプチゾル
         製造会社名「ドイツ・テトラベルケ社」
         販売会社名「ワーナーランバート株式会社」
         購入時価格 50ml 1100円

液体ビタミンA  正式商品名「TurtleEyeClear」読み:タートルアイクリア
         製造会社名「ドイツ・テトラベルケ社」
         販売会社名「ワーナーランバート株式会社」
         購入時価格 50ml 1100円

リン酸カルシウム 正式商品名「Reptical」読み:レプチカル
         製造会社名「ドイツ・テトラベルケ社」
         販売会社名「ワーナーランバート株式会社」
         購入時価格 60g 1100円

炭酸カルシウム  正式商品名「Rep-Cal ULTRAFINE」
         製造会社名「Rep-Cal Research Labs,Los Gatos,CA」
         購入時価格 116g 2200円

草食爬虫類用   正式商品名「IGUANA CALCIUM」
 カルシウム   製造会社名「ESU」
(スプレー式)  購入時価格 240ml 2000円  

シェルクリーム  正式商品名「Vitashell」読み:バイタシェル
         製造会社名「アメリカ・テトラベルケ社」
         販売会社名「ワーナーランバート株式会社」
         購入時価格 56g 1100円


        
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