(A) 規定変更の目標
2006年技術規定(テクニカルレギュレーション)は安全性を向上させるために性能を抑えるとともに,中期的な目標として,コストと性能アップの上昇を制限するために作成されました。次の項目での説明が技術規定の主な変更点です。
(B) 技術規定の主な変更点
5.1.2 エンジン排気量は2400 cc以下とする。
5.1.4 すべてのエンジンは90度V8形式とし,各シリンダーの断面は円形でなければならない。
5.1.5 エンジンの排気バルブと吸気バルブは各シリンダーごとに2つとする。また,ピストン式ポペット・バルブのみ許される。 さらに,可動するバルブ本体とエンジン側の接点は円形でなければならない。
5.4.1 シリンダーのボア直径は98 mm以下とする。
5.4.2 シリンダー・スペーシングは106.5 mm(+/- 0.2 mm)とする。
5.4.3 クランクシャフトの中心線は基準面の上方58 mm以下にあってはならない。
5.5.1 エンジンの最低総重量は95 kg以上とする。
5.5.2 エンジンの重心は基準面の上方165 mm以下にあってはならない。
5.6.1 バリアブル・ジオメトリー・インレット・システムは禁止。
5.6.2 バリアブル・ジオメトリー・エキゾースト・システムは禁止。
5.6.3 バリアブル・バルブ・タイミングとバリアブル・バルブ・リフト・システムは禁止。
5.7.1 インジェクターへ供給される燃圧は100 bar以下とする。インジェクターへの燃料供給を直接計測するセンサーを装 備し,そのデータはFIAのデータロガーに記録されなければならない。また,この規定では特定素材の使用とその合 成についても定める。
例えば:
・ ピストンはアルミニウムベースの合金から製作しなければならない。
・ クランクシャフトは鉄ベースの合金かつ,シングルピースの素材から製作しなければならない。
・ クランクケースとシリンダーヘッドはアルミニウムベースの合金から製作しなければならない。
・ マグネシウムベースの合金,MMC(メタル マトリックス コンポジット),インターメタリック素材と5%以上のベリリウ ム,イリジウム,レニウムを含む合金の使用は禁止。
(C) V10エンジンに対する規制
3.0リットルV10エンジンの馬力は900馬力を超えており,2.4リットルV8エンジンの馬力はおよそ750馬力であると考えられています。トロ・ロッソのみが今年V10エンジンを使用していますが,このエンジンに対する規制は次のように定義されています。
150馬力の差を改善するために,V10エンジンのエンジン回転数を16,700 rpmまでに制限し,レストリクターについては77 mm以下にする。
Rd.1の時点ではトルクの面で圧倒的にV10が有利とされています。しかし,長期的に見ればV8は開発されるのに対してV10の開発は頭打ち状態であるだけでなく,シャーシ面においてラジエターの小型が図れないなど空力の面で問題があることは否めません。
1つグランプリを終了してみないと何ともいえないと思いますが,いろいろと波紋を呼びそうなルールであることには変わりなさそうです…
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