(A) ピットストップとは…
車を組み立てたり,車のセッティングを調整したり、燃料を補給したりするための場所をピットと呼んでいます。
レース中,各チームは2台の車を自由にピットストップさせることができます。ピットストップでは,燃料補給,タイヤ交換,フロントウイングの交換・調節,タイヤの内圧調整などさまざまなことを行うことができます。ピット作業時間はレースの順位を大きく変えるポイントなので,各チームはいつピットストップさせるかを戦況に応じて決めています。
ピットまでのコースをピットレーンと呼び,タイヤ交換作業する人々をピットクルーないしメカニックと呼んでいます。今年はタイヤ交換が復活するので,タイヤ担当のメカニックは一昨年同様,0.1秒を争うタイヤの卓越した扱い方を要求されます。
(B) ピットストップでのロスタイム
また,ピットレーンでの制限速度はピットレーンの幅の狭いサンマリノGP,モナコGP,フランスGP,ベルギーGPを除いて,100 km/hです。ピットストップでのロスタイムとは,ピットインすることによってかかる「ピット作業時間(静止時間)+ピットレーンの走行時間」をいいます。各GPでのピットレーンの走行時間を次にまとめます。
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
|
R | Grand Prix | ピットレーンの走行時間 |
R | Grand Prix | ピットレーンの走行時間 |
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
|
1 | Bahrain | 19.3 sec |
2 | Malaysia | 17.2 sec |
3 | Australia | 16.8 sec |
4 | San Marino | 12.6 sec |
5 | Europe | 15.5 sec |
6 | Spain | 15.5 sec |
7 | Monaco | 15.1 sec |
8 | Great Britain | 15.8 sec |
9 | Canada | 12.8 sec |
10 | USA | 16.8 sec |
11 | France | 11.8 sec |
12 | Germany | 13.0 sec |
13 | Hungary | 14.6 sec |
14 | Turkey | 13.5 sec |
15 | Italy | 19.0 sec |
16 | China | 17.0 sec |
17 | Japan | 14.2 sec |
18 | Brazil | 14.5 sec |
-----------------------------------------------------------------------------------------------------------
|
ピットレーンでの走行時間が短いということは,ロスタイムが短いということなので,ピットストップの回数にも幅が出てきます。2006年はタイヤ交換が復活するので,カナダGPやフランスGPではピットストップの回数は3回ということが大いに考えられます。
(C) ピットストップにおける注意事項
ピットから出た後,コース上の安全のため,ピットアウトしたマシンが走行するライン(位置)を義務付ける白線(ホワイトライン)が引かれています。この白線に乗ったりまたいだりした場合はドライブスルーペナルティとなるので,ドライバーは注意しなければなりません。特に,順位争いが激しいときは白線のことを忘れがちになり,白線に乗ってしまうドライバーもいます。
ピットレーンでは追い越しは禁止されています。追突の危険性が指摘された場合,ドライブスルーペナルティを受ける可能性もあります。ただし,ピットストップ時間が短いドライバーが長いドライバーを抜くことはできます。
また,ピットレーンなど指定された場所以外での作業も禁止されています。
|