Qualifying Review


1. BSタイヤ,S1が速い
 フェラーリがフロントロー,トヨタがセカンドローを獲得して,ドライ路面ではBSタイヤが強力であることを示した。特にS1でBSタイヤが速く,BS勢は好タイムをマークした。フリー走行からBS勢が有利であることは分かっていたので,フェラーリはもちろんフロントローをねらいに行き,トヨタも前のグリッドを狙いにいったと思われる。
 Q2とQ3のタイムを比較して燃料積載量について分析する。今日はQ3中にもタイヤゴムがコース上についてタイムアップするためそのタイムを0.3秒程度とする。マッサはQ2で大きく失敗したわけではないが,ミハエルと比べる少し遅かったと思うので,14周前後の燃料積載量だと考える。一方同じフェラーリでもミハエルはたっぷり燃料を積んで18周前後の燃料積載量だと考える。フェラーリの作戦としては,マッサがルノーと同程度の燃料を積んでおき,第1スティントは先行させて1回目のピットストップが終わるとマッサがルノーの前に出てルノー勢を抑える働きをしてもらおうというものだと思われる。この作戦はセカンドローにトヨタが入ったので,2回目のピットストップまで持越しとなるかもしれないが,いずれにしてもフェラーリの磐石な体制には変わりないだろう。
 トヨタ勢はフロントローを取りにいっただけあって燃料は軽く13周前後のショートスティントとなるだろう。オープニングラップでルノー勢に交わされないこと,1回目のピットストップまでにルノー勢に対してマージンを築くことができれば,表彰台の一角に上がることができるかもしれない。トラブルやチーム・ドライバーのミスがなければダブル入賞は十分可能だと思う。
 ウィリアムズ勢は久しぶりにロズベルグが活躍した。Q1,Q2ともにS1,S2が速くルノー勢に匹敵する速さだった。レースペースではウィリアムズは上位4チームに比べて不安を持っているため,Q3は1アタックのみで1回目のピットストップを長めに設定した。1ストップはないと思うが1回目のピットストップは22周目前後ではないだろうか。ここまで引っ張ると,完走すればポイント獲得のチャンスが十分にある。一方のウェバーはQ2でミスを犯したのか2回目のアタックが不発に終わりQ3へのポテンシャルがあっただけに少し残念。(ただし,このGPではタイムから明らかにロズベルグのほうがセットアップは決まっていた)
 スーパーアグリはもちろん頑張ったが,他のブリヂストンユーザーのほうも車開発がなされており,さらにタイヤをうまく使いきったので,Q1ではフェラーリから3.5秒遅れてしまった。それでもミッドランドの1台を食えたので,トラブルなしで完走してほしい。左近についてもとにかく完走してほしい。

2. マクラーレン不発,ルノーはトヨタに敗れる
 マクラーレンの今年の車は基本高ダウンフォース高ドラッグだったが,ここ数戦で改善されていると思っていた。しかし鈴鹿はドラッグが大きいとラップタイムが落ちる典型的なサーキットであるため,結果は如実に現れた。またMIタイヤもBSに比べて出来が悪く,相乗効果でQ2でノックアウトという予選今季ワースト記録となってしまった。レースでも完走してもノーポイントに終わる可能性がある。Q2ノックアウトの救いはマクラーレン得意の第1スティント引っ張り作戦が使えることだろうか。普通に行けばマクラーレンがここまで悪いとは考えられないが,金曜フリー走行でタイヤ評価ができなかったため,誤ったタイヤで予選に望んだと思われる。
 ルノー勢はフリー走行の時点でフェラーリは自分たちより断然速く,トヨタと互角程度である認識していただろう。予選結果よりレースペースを重視してしまったためにサードローという結果になったが,スタートは確実にルノーのほうがいいため,オープニングラップ3-4位で帰って来ることも十分に考えられる。トヨタ勢より燃料は多めに積み,15周前後の燃料積載量だと思われる。この燃料積載量なら1回目のピットストップでトヨタとの位置関係が気になる。フェラーリがずば抜けて速いため,アロンソの最大目標はマッサを抜いて2位になることだろう。
 ホンダ勢もフリー走行やQ2での結果からトヨタ勢及ばないことが明らかだったので,2台とも燃料を積んでQ3をアタックすることになった。ホンダ勢は18周前後の燃料積載量だと思われる。表彰台争いは無理だが,ダブル入賞の望みはある。
 ここ数レース調子のいいBMW勢だが,マリオ・タイセンが事前に語っていたように鈴鹿では際立った速さは発揮できていない。それでもハイドフェルドはQ3まで生き残り20周前後の燃料を積んでのアタックだったと思われる。レースペース,1発の速さともロズベルグと互角の速さぐらいだと思われるので,ここのポイント争いは必死になるだろう。
 レッドブルの今年の車はそもそも鈴鹿に合っていないことは明らかだったが,さらに車の開発がストップし,Q3で2台ともノックアウトされてしまった。レッドブルはすでに来年を見ているのか・・・