F1ファンのあなたに必須!! 2005年F1グランプリの開幕から第7戦までを分析し振り返るDVD

Round 19  中国GP,上海

Grand Prix of China, Shanghai
2005/10/14 (Fri) - 2005/10/16 (Sun)


 *コース概要+GP説明*        (日本との時差) -1h
コース  Shanghai International Circuit
距離  5.451 km × 56 Lap - 0.190 km = 305.066 km
説明

特徴
 総工費20億元(約300億円)をかけて建設する5.451 kmのサーキットは、セパン(マレーシアGP)、一昨年改修となったホッケンハイム(ドイツGP)を設計したヘルマン・ティルケ氏がデザインを担当。『上』という文字をレイアウトに採り入れたサーキットは20万人の観客を収容する。
 *コースレイアウト*


[中国GP・プレビュー]

今期も残すところ,1戦となった。ドライバーズチャンピオンシップは既に確定しているが,コンストラクターズタイトルは,2ポイント差とかなりの接戦が繰り広げられている。信頼性のルノーが勝つのか,速さのマクラーレンが勝つのか。ミスをしたほうが確実に負けとなる。

・マクラーレンvsルノー
 鈴鹿でルノーとマクラーレンの差が少し縮まったように見えた。ルノーは高速コーナーでマクラーレンに少し離される傾向があり,このサーキットは高速コーナーがほとんどなく,新スペックエンジン投入で,接戦の勝負になると思われる。
 これまでの傾向と前戦の結果から考えて,1〜4位を,ライコネンがアロンソと,モントーヤがフィジケラと戦うことになるだろう。ルノーとしては2ポイントリードしているので,アロンソがライコネンに負けたとしても,フィジケラがモントーヤに勝てば,タイトルを獲得することはできる。したがって,フィジケラが勝負の鍵を握っているといっていいと思う。

・ピットストップ作戦は?
 Fuel effectが大きいサーキットなので,おそらく全車2ストップ作戦でレースに挑むと思われる。
 マクラーレン,ルノー勢の予選のタイムアタック順は,ライコネンは20番手,フィジケラ19番手,アロンソ18番手,モントーヤ2番手である。したがって,燃料積載量の傾向としては,ライコネンがルノー勢より3〜5周分多く積み,アロンソとPPを争うだろう。モントーヤがルノー勢と同じぐらいの燃料を積み,3列目までに食い込んでくるだろう。
 上でも述べたように,フィジケラがモントーヤの後方からの追撃をしのぐことができるかが大きなポイントなる。

・他のチームは・・・
 上位4台にはおそらくついていくことができないので,5位以下のポジションを争うことになる。フェラーリ勢は日本GPで試したバランスのいいタイヤを中国では使える可能性があるということで,それが使えればブラジルのときのように期待が持てる。
 トヨタ勢は,日本GPからTF105Bを投入しているが,これまでの傾向は逆で,トゥルーリはこの車に全く満足しておらず,ラルフは非常に満足していた。この車は予選ではそれほど速くないようなので,これまで見られたトゥルーリの予選の会心のアタックは見られないかもしれない。

・実質4チームが終焉
 BMWに買収されるザウバー,来期からミッドランドにかわるジョーダン,Red Bullに買収されるミナルディ,ホンダが完全に下部を買収したB・A・R。ルノーの2人のドライバーはミナルディ出身で,今回の買収で少し残念に思っているようである。また,ザウバーのマッサはこのチームで育ったということもあり,最高のレースで締めくくりたいと言っている。ザウバーチームは,運がよければ,ポイント獲得できるかもしれない。

中国GPでコンストラクターズタイトル争いはどのような結末を迎えるのか,大事な大事な最終戦である。


▼予選セッションの結果(Qualifying Session Result)
Pos No.  Driver (Nat) Team Time Sector 1 Sector 2 Sector 3 出走順 Tyre
1 5  Fernando Alonso (ESP) Renault 1:34.080 24.873 28.488 40.719 18 MI
2 6  Giancarlo Fisichella (ITA) Renault 1:34.401 25.126 28.487 40.788 19 MI
3 9  Kimi Räikkönen (FIN) McLaren 1:34.488 25.052 28.528 40.908 20 MI
4 3  Jenson Button (GBR) B・A・R 1:34.801 25.197 28.565 41.039 16 MI
5 10  Juan Pablo Montoya (COL) McLaren 1:35.188 25.301 28.677 41.210 2 MI
6 1  Michael Schumacher (GER) Ferrari 1:35.301 25.539 28.782 40.980 14 BS
7 14  David Coulthard (GBR) Red Bull 1:35.428 25.588 28.716 41.124 15 MI
8 2  Rubens Barrichello (BRA) Ferrari 1:35.610 25.593 28.857 41.160 9 BS
9 17  Ralf Schumacher (GER) Toyota 1:35.723 25.488 28.699 41.536 13 MI
10 7  Mark Webber (AUS) Williams 1:35.739 25.278 28.737 41.724 17 MI
11 12  Felipe Massa (BRA) Sauber 1:35.898 25.561 28.915 41.422 11 MI
12 16  Jarno Trulli (ITA) Toyota 1:36.044 25.618 28.813 41.613 3 MI
13 8  Antonio Pizzonia (BRA) Williams 1:36.445 25.617 29.153 41.675 4 MI
14 15  Christian Klien (AUT) Red Bull 1:36.472 25.787 29.026 41.659 12 MI
15 19  Narain Karthikeyan (IND) Jordan 1:36.707 25.681 29.215 41.778 6 BS
16 11  Jacques Villeneuve (CDN) Sauber 1:36.788 25.700 29.482 41.606 8 MI
17 4  Takuma Sato (JPN) B・A・R 1:37.083 25.785 29.544 41.754 1 MI
18 21  Christijan Albers (NED) Minardi 1:39.105 26.484 30.295 42.268 5 BS
19 18  Tiago Monteiro (POR) Jordan 1:39.233 26.109 30.595 42.469 8 BS
20 20  Robert Doornbos (NED) Minardi 1:39.460 26.008 30.283 43.169 7 BS

[中国GP・予選コメント]

ルノーのフロントロー独占は今期初めて。マクラーレン勢はセカンドロー,サードローに位置付けており,後ろから勝利を狙う。フェラーリ勢がブラジルのときの勢いを取り戻したようで,6位,8位を獲得している。驚くべきはクルサードの7位で,開幕戦同様いいパフォーマンスが期待される。

・ルノーは軽め?マクラーレンは重め?
 フリープラクティスセッションの感じからいけば,ライコネンが少々のミスをしてもPPを獲得しておかしくないタイムだっただけに,ルノー勢は軽めの作戦でフロンとロー独占を狙った。一方,マクラーレンはいつもの作戦をそのまま遂行した形で,ライコネンが一番遅くにピットインすることになると思われる。1stスティントではルノーに離されるが,2ndスティントで順位を逆転する作戦だと思われる。少々の卑怯な手ではあるが,フィジケラがマクラーレン2台の動くシケインとなってマクラーレン勢とアロンソとの差を広げるということも考えられる。(これも1-2体制ならではあるが)

・フェラーリvsB・A・R
 ここ2戦ぐらいB・A・Rはタイヤがうまく合わず苦しんでいるだけに,フェラーリに越される可能性もある。今回フェラーリ勢はフリープラクティスの段階でいつもよりいいのが順位やタイム差から明らかで,あとはレース中のタイヤのタレがどうかという問題だけである。バトン,ミハエル,伏兵のクルサードあたりが5位を狙って争うことになりそうである。
 フェラーリ勢は最近まあまあの重め燃料で予選を戦っているおり,バトンより重いこともあったので,ピットで抜かすことも十分に可能だろう。今期の特徴であるが,B・A・Rはトップスピードがいまいちで,フェラーリより5 km/h以上遅く,ミナルディよりも遅い。これではバックストレートで抜かされる可能性も大きい。

・琢磨の燃料積載量は?
 高低差はほとんどないが,1周が長いので,燃料積載量がラップタイムに及ぼす影響はまあまあ大きい。また,1番手のアタックだったことから,上位進出は難しい。したがって,あのラップタイムからすると1ストップ作戦をチョイスしているのではないかと思われる。あるいは,変則2ストップ作戦で,レース中ごろに1回,75%終わったころにもう1回といった感じか。

・トヨタは苦しい
 フリープラクティスのときからずっとトヨタ勢にはアンダーステアが付きまとっていて,改善がなかなかできなかった。ラルフが9番手とまだましなタイムを残しているが,ポイントをかけて争うことは今回は難しそうである。(ちなみにトップスピードは,トップのルノー勢から15〜20 km/hも遅い。ダウンフォースを稼いでもなおアンダーが出ているようである。)

 コンストラクターズタイトルはどのように決着するのか,明日のレースがとても楽しみである。


▼レース結果(Race Result)
Pos No.  Driver (Nat) Team Lap Pit Grid Tyre  Time / Retire
1 5  Fernando Alonso (ESP) Renault 56 2 1 MI  1:39:53.618
2 9  Kimi Räikkönen (FIN) McLaren 56 2 3 MI  +4.0 secs
3 17  Ralf Schumacher (GER) Toyota 56 2 9 MI  +25.3 secs
4 6  Giancarlo Fisichella (ITA) Renault 56 2 3 MI  +26.1 secs
5 15  Christian Klien (AUT) Red Bull 56 2 14 MI  +31.8 secs
6 12  Felipe Massa (BRA) Sauber 56 2 11 MI  +36.4 secs
7 7  Mark Webber (AUS) Williams 56 2 10 MI  +36.8 secs
8 3  Jenson Button (GBR) B・A・R 56 2 4 MI  +41.2 secs
9 14  David Coulthard (GBR) Red Bull 56 2 7 MI  +44.2 secs
10 11  Jacques Villeneuve (CDN) Sauber 56 2 16 MI  +59.9 secs
11 18  Tiago Monteiro (POR) Jordan 56 2 19 BS  +84.6 secs
12 2  Rubens Barrichello (BRA) Ferrari 56 3 8 BS  +92.8 secs
13 8  Antonio Pizzonia (BRA) Williams 55 2 13 MI  Puncture
14 20  Robert Doornbos (MON) Minardi 55 3 20 BS  +1 Lap
15 16  Jarno Trulli (ITA) Toyota 55 3 12 MI  +1 Lap
16 21  Christijan Albers (NED) Minardi 50 3 18 BS  +5 Laps
- 4  Takuma Sato (JPN) B・A・R 34 2 17 MI  Gearbox
- 19  Narain Karthikeyan (IND) Jordan 28 1 15 BS  Accident
- 10  Juan Pablo Montoya (COL) McLaren 24 3 5 MI  Engine
- 1  Michael Schumacher (GER) Ferrari 22 0 6 BS  Spin
 [Fastest Lap] Kimi Räikkönen (FIN), 1:33.242, Lap 56

[レース・コメント]  天候:晴れ  路面:dry

フェルナンド・アロンソが勝利を収め,ルノーにコンストラクターズタイトルをもたらした。この中国GPは,今年を象徴させるようなレースであったが,2度のセーフティーカーが至るところで起こっていたバトルを壊してしまった。

・ルノーの完璧な仕事
 スタート直後,2位のフィジケラが偶数列という不利な条件にもかかわらず,マクラーレンの2台をきっちり抑えるというパーフェクトな仕事をした。それから,10周でアロンソとフィジケラの間に10秒以上の戦略的マージンを作った。マクラーレンは本来ならば,この最初の時点でもっとフィジケラをプッシュしなければならなかったが,なぜかここ中国ではうまく機能しなかったようである。この戦略的マージンによって,一気にアロンソの勝利が近づいたと思われた。
 しかし,1度目のセーフティーカー導入によって,マージンがなくなってしまったが,ピットストップの静止時間からも明らかなように,燃料積載量はルノー勢のほうが多かったと考えられる。ライコネンは勢いを取り戻しつつあったが,ピットで時間を食ってしまったために,ここからもアロンソに離されていった。
 2度目のセーフティーカー導入によって,ルノー勢はピットインしてアロンソがトップで返り咲いているが,ライコネンは間にラルフ,クリエン,マッサを間にはさんでしまい,順位を落とす。この時点でアロンソに追いつくことが不可能となった。レース終盤,復調したものの,時すでに遅し,アロンソが優勝を獲得した。
 ルノーチームの唯一の失敗は,フィジケラがピットストップでの故意の速度低下により,ドライブスルーペナルティを受けてしまったという点であろうか。それ以外は,2台とも車の調子もよく,素晴らしい週末だったといえる。

・残念なマクラーレン
 フリー走行では,1-2を独占する走りを見せていたものの,レースではうまく調子を上げられなかった。モントーヤがマンホールを踏んでしまったことでタイヤ交換を行ったが,これによって,一気にコンストラクターズタイトルが遠のいた。また,モントーヤはエンジンブローで戦線離脱した。
 今年はマクラーレン勢はやはり信頼性がなかった点と運がなかったことで,コンストラクターズタイトルを失ったと考えられる。来年は信頼性を高めてもらいたい。

・失意の最終戦−フェラーリ
 グリッドに車を並べる時点で起こったミハエルとアルバースの事故は審議中となっているが,それがなかったとしても,ミハエルもタイヤはかなり厳しくレース後半で失速を余儀なくされただろう。セーフティカー導入時における2回のピットはどちらも燃料を多く積んだ状態で長く走行することを強いるものだったため,バリチェロがタイヤにフラットスポットを作ってしまい,厳しい状態でマーク・ウェーバーを10周以上に渡って抑えたのは素晴らしかった。これは,フリープラクティスではあまりトップスピードは出ていなかったが,予選以降,トップスピードは随分速く,一方,ウィリアムズ側はかなり遅いトップスピードしか持ち合わせていなかったからである。

・ラッキーなトヨタ
 久しぶりにトヨタの戦略がヒットし,ポディウムフィニッシュが実現された。2度目のセーフティーカー導入時に,ラルフをコース上にとどめておく作戦はかなりのハイリスクだったとは思うが,結果的にトラフィックで引っかかったウェーバーやバトンを抜くことができた。レース中,ラルフのTF105Bは安定していたので,フィジケラのドライブスルーペナルティと合わせて,ポディウムにつながった。一方,トゥルーリは1度目のセーフティーカー導入前にピットストップを行ってしまい,この時点でポイント獲得のチャンスはなくなっていた。また,タイヤ苦戦していたようで,タイヤ交換まで行っている。今のところ,TF105Bはトゥルーリにあっていないようだが,冬の間にどれだけトゥルーリに合わせられるかが来期につながるだろう。

・さらにラッキーなザウバーとRed Bull
 マッサとクリエンは若手のドライバーとして,堅実なレース運びで,チームレベルからすれば素晴らしい結果が得られている。クルサードがセーフティーカーによって残念な結果に終わってしまったが,その分をクリエンが取り戻してくれたということでレッドブルとしてはいい1年の締めくくりとなったに違いない。また,ザウバーも最後のレースでポイントを獲得でき,ペーター・ザウバーも感動していることだろう。

今年はルノーとマクラーレンの激しいバトルが終始展開され,最後まで目が離せなかった。また,ミハエルとアルバースの事故の審議の行方とセーフティカーについての規定が今,気になっている。



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