[日本GP・プレビュー]
前戦ブラジルGPで2005年のドライバーズチャンピオンシップの戦いは終了してしまったが,コンストラクターズチャンピオンシップは,2チームによる熾烈な争いが残り2レースは続きそうな感じである。速さのマクラーレンが,信頼性のルノーを2ポイントリードしており,このまま逃げ切ることができるのかが注目ポイントである。また,ホームであるトヨタは5位以下に沈む可能性がかなり低くなったので,2人ともTF105Bを操って表彰台を目指すことになる。B・A・RもまたHondaがホームであり,鈴鹿スペシャルエンジンと新空力パーツ投入で,表彰台を狙う。
・マクラーレンvsルノー
総合力をもったマクラーレンが順当にいけば,ポールを獲得し,優勝すると思われる。
鈴鹿は2ストップ作戦の車がほとんどだと思われるが,fuel effect(燃料がラップタイムに及ぼす影響)が大きいので,とにかくポイントを獲得したいチームは3ストップで前のグリッド確保の可能性もあり得る。これにより,B・A・R勢,トヨタ勢がルノー勢のグリッドの前に出てくるようなことがあれば,ルノーとしては厳しい。最近,それを防ぐ形で,ルノー陣営は早めのピットストップを心がけているように思う。ルノーの邪魔をするチームが3チームあるので,どれだけ絡んでくるか注目である。
・フェラーリ,トヨタ,B・A・Rの争いは?
マクラーレンにミス・アクシデントがなければ,勝つ可能性が高そうではあるが,表彰台はルノー,フェラーリ,トヨタ,B・A・Rの4チームにも可能性がある。前戦ではフィジケラを捕らえたフェラーリが今回どこまで追い上げられるかが気になるところだが,タイヤの違いによるロス(セクター2が特に)がひどくなければ,予選で負けても決勝ではひっくり返せるという可能性もある。(ミハエルがセクター1を得意としているので,高速コーナーがあるセクター2でロスが少なければチャンスあり)
トヨタは,TF105Bの投入によって,予選で苦しんでいたラルフ・シューマッハが速くなるだろう。予選アタック順の悪いトヨタは燃料軽めの第1スティントとなるのか…
B・A・Rはここ数戦,セットアップをはずしてタイヤで苦しんでいるので,今回は期待したい。2人とも予選のアタック順は悪くないので,予選の速いB・A・Rとしては,いつもの通り,燃料を周りより少し多めでピットストップのときに順位を上げる作戦が適しているのではないだろうか。
・雨の可能性あり
秋雨前線の影響により,昨年に引き続き,雨のGPという可能性が大きいため,レインタイヤでレインセッティングという可能性も十分に考えられる。また,予選のアタック中に雨が降り始めると,グリッド番狂わせという危険性もある。また,フェラーリ勢に大きなチャンスがやってくることになる。
昨年同様,雨の日本GPの可能性がある。天候次第で面白いグリッド,レース展開が期待される。
|
▼予選セッションの結果(Qualifying Session Result) |
Pos |
No. |
Driver (Nat) |
Team |
Time |
Sector 1 |
Sector 2 |
Sector 3 |
出走順 |
Tyre |
1 |
17 |
Ralf Schumacher (GER) |
Toyota |
1:46.106 |
37.396 |
47.501 |
21.209 |
13 |
MI |
2 |
3 |
Jenson Button (GBR) |
B・A・R |
1:46.141 |
37.680 |
47.441 |
21.020 |
14 |
MI |
3 |
6 |
Giancarlo Fisichella (ITA) |
Renault |
1:46.276 |
37.327 |
47.610 |
21.339 |
16 |
MI |
4 |
15 |
Christian Klien (AUT) |
Red Bull |
1:46.464 |
37.908 |
47.485 |
21.071 |
12 |
MI |
5 |
4 |
Takuma Sato (JPN) |
B・A・R |
1:46.841 |
38.042 |
47.728 |
21.071 |
11 |
MI |
6 |
14 |
David Coulthard (GBR) |
Red Bull |
1:46.892 |
38.207 |
47.506 |
21.179 |
1 |
MI |
7 |
7 |
Mark Webber (AUS) |
Williams |
1:47.233 |
37.558 |
48.002 |
21.673 |
4 |
MI |
8 |
11 |
Jacques Villeneuve (CDN) |
Sauber |
1:47.440 |
37.578 |
48.250 |
21.612 |
9 |
MI |
9 |
2 |
Rubens Barrichello (BRA) |
Ferrari |
1:48.248 |
38.383 |
48.146 |
21.719 |
15 |
BS |
10 |
12 |
Felipe Massa (BRA) |
Sauber |
1:48.278 |
38.336 |
48.461 |
21.481 |
10 |
MI |
11 |
19 |
Narain Karthikeyan (IND) |
Jordan |
1:48.718 |
38.688 |
48.256 |
21.774 |
6 |
BS |
12 |
8 |
Antonio Pizzonia (BRA) |
Williams |
1:48.898 |
38.449 |
48.298 |
22.151 |
2 |
MI |
13 |
21 |
Christijan Albers (NED) |
Minardi |
1:50.843 |
39.222 |
49.143 |
22.478 |
7 |
BS |
14 |
1 |
Michael Schumacher (GER) |
Ferrari |
1:52.676 |
37.897 |
49.898 |
22.660 |
17 |
BS |
15 |
20 |
Robert Doornbos (NED) |
Minardi |
1:52.894 |
39.566 |
50.646 |
22.650 |
3 |
BS |
16 |
5 |
Fernando Alonso (ESP) |
Renault |
1:54.667 |
39.719 |
50.666 |
23.496 |
18 |
MI |
17 |
9 |
Kimi Räikkönen (FIN) |
McLaren |
2:02.309 |
41.420 |
53.157 |
24.655 |
19 |
MI |
18 |
10 |
Juan Pablo Montoya (COL) |
McLaren |
No Time |
41.290 |
50.263 |
------ |
20 |
MI |
19 |
16 |
Jarno Trulli (ITA) |
Toyota |
No Time |
37.631 |
------ |
------ |
8 |
MI |
20 |
18 |
Tiago Monteiro (POR) |
Jordan |
No Time |
------ |
------ |
------ |
5 |
BS |
Note: Räikkönen receives 10 position grid penalty for engine change, therefore starts 17th. |
|
[日本GP・予選コメント]
大波乱の予選セッションとなり,トヨタのラルフ・シューマッハがPole Positionを獲得した。日本勢が,PPのラルフ,2番手のバトン,5番手の琢磨と大健闘。マクラーレンの2台とアロンソが下位に沈んだため,明日は表彰台,そして優勝をかけて日本勢が戦うことになる。
・天候に翻弄された予選セッション
予選アタック3グループ目のときが最もコンディションの良い状態だったため,琢磨,クリエン,ラルフ,バトンあたりはかなり運が良かった。バリチェロも運は悪くなかったが,マシンバランスが悪すぎたために,下位に沈んでしまった。
予選アタック4グループ目ではフィジケラまでは何とか天候はましだったが,それ以降のドライバーはひどい天候でのアタックを余儀なくされた。フェラーリ勢は初日2回目のフリー走行で調子が良かっただけにドライでの予選アタックを望んでいたものと思われる。マクラーレンの2台とアロンソはあまりの天候不良でフルウエットタイヤでアタックしたが,タイムは出なかった。モントーヤは燃料セーブのため,アタックを中止している。
・レース展開はどうなる?
明日は天気予報は晴れであるため,レース展開を読むには,初日のフリー走行の結果&ドライバーズコメントが少しは参考になる。
いつもの上位陣が下位に沈んだため,優勝争いは,ラルフ,バトン,フィジケラあたりということになる。初日のフリー走行を見てみても,この3人はそれほどタイム差もないため,誰が優勝してもおかしくない展開となっている。また,レッドブルが4番手,6番手につけており,フリー走行のタイムもよかったことから,ポイント獲得のチャンスは十分にひょっとすれば表彰台の可能性すらありうる。もちろん,琢磨にも十分に表彰台の可能性はある。
いつもの上位陣(マクラーレン2台+アロンソ)はさすがにこのGPばかりは抜くのも難しいので,ポイント争いに絡んでくるが3台とも獲得できるか否か際どいところである。
・2ストップ作戦or1ストップ作戦?
ほとんどのドライバーは2ストップ作戦を選んでいると思うが,いつもの上位陣(マクラーレン2台+アロンソ)は雨によってタイムが出ないことが分かっているので,ひょっとすると1ストップ作戦でくるかもしれない。
2005年の初戦オーストラリアGPに続いて,混乱したオーダーとなった日本GP。明日は多くのオーバーテイクが見られるかもしれない。また,V10エンジン最後の鈴鹿となる。
|