F1ファンのあなたに必須!! 2005年F1グランプリの開幕から第7戦までを分析し振り返るDVD

Round 18  日本GP,鈴鹿

Grand Prix of Japan, Suzuka
2005/10/07 (Fri) - 2005/10/09 (Sun)


 *コース概要+GP説明*        (日本との時差) なし
コース  Suzuka Circuit
距離  5.807 km × 53 Lap - 0.198 km = 307.573 km
説明

特徴
 1962年にホンダ創始者、故・本田宗一郎が完成させた日本モーターレーシングの原点。F1開催地では唯一の立体交差を持ち、前半右回り、後半左回りのテクニカルコースはスパ−フランコルシャンと並び“ドライバーズサーキット”として名高く、ドライバーからの評価も高い。日本勢の凱旋グランプリとして注目を集める。
 *コースレイアウト*


[日本GP・プレビュー]

前戦ブラジルGPで2005年のドライバーズチャンピオンシップの戦いは終了してしまったが,コンストラクターズチャンピオンシップは,2チームによる熾烈な争いが残り2レースは続きそうな感じである。速さのマクラーレンが,信頼性のルノーを2ポイントリードしており,このまま逃げ切ることができるのかが注目ポイントである。また,ホームであるトヨタは5位以下に沈む可能性がかなり低くなったので,2人ともTF105Bを操って表彰台を目指すことになる。B・A・RもまたHondaがホームであり,鈴鹿スペシャルエンジンと新空力パーツ投入で,表彰台を狙う。

・マクラーレンvsルノー
 総合力をもったマクラーレンが順当にいけば,ポールを獲得し,優勝すると思われる。
 鈴鹿は2ストップ作戦の車がほとんどだと思われるが,fuel effect(燃料がラップタイムに及ぼす影響)が大きいので,とにかくポイントを獲得したいチームは3ストップで前のグリッド確保の可能性もあり得る。これにより,B・A・R勢,トヨタ勢がルノー勢のグリッドの前に出てくるようなことがあれば,ルノーとしては厳しい。最近,それを防ぐ形で,ルノー陣営は早めのピットストップを心がけているように思う。ルノーの邪魔をするチームが3チームあるので,どれだけ絡んでくるか注目である。

・フェラーリ,トヨタ,B・A・Rの争いは?
 マクラーレンにミス・アクシデントがなければ,勝つ可能性が高そうではあるが,表彰台はルノー,フェラーリ,トヨタ,B・A・Rの4チームにも可能性がある。前戦ではフィジケラを捕らえたフェラーリが今回どこまで追い上げられるかが気になるところだが,タイヤの違いによるロス(セクター2が特に)がひどくなければ,予選で負けても決勝ではひっくり返せるという可能性もある。(ミハエルがセクター1を得意としているので,高速コーナーがあるセクター2でロスが少なければチャンスあり)
 トヨタは,TF105Bの投入によって,予選で苦しんでいたラルフ・シューマッハが速くなるだろう。予選アタック順の悪いトヨタは燃料軽めの第1スティントとなるのか…
 B・A・Rはここ数戦,セットアップをはずしてタイヤで苦しんでいるので,今回は期待したい。2人とも予選のアタック順は悪くないので,予選の速いB・A・Rとしては,いつもの通り,燃料を周りより少し多めでピットストップのときに順位を上げる作戦が適しているのではないだろうか。

・雨の可能性あり
 秋雨前線の影響により,昨年に引き続き,雨のGPという可能性が大きいため,レインタイヤでレインセッティングという可能性も十分に考えられる。また,予選のアタック中に雨が降り始めると,グリッド番狂わせという危険性もある。また,フェラーリ勢に大きなチャンスがやってくることになる。

 昨年同様,雨の日本GPの可能性がある。天候次第で面白いグリッド,レース展開が期待される。


▼予選セッションの結果(Qualifying Session Result)
Pos No.  Driver (Nat) Team Time Sector 1 Sector 2 Sector 3 出走順 Tyre
1 17  Ralf Schumacher (GER) Toyota 1:46.106 37.396 47.501 21.209 13 MI
2 3  Jenson Button (GBR) B・A・R 1:46.141 37.680 47.441 21.020 14 MI
3 6  Giancarlo Fisichella (ITA) Renault 1:46.276 37.327 47.610 21.339 16 MI
4 15  Christian Klien (AUT) Red Bull 1:46.464 37.908 47.485 21.071 12 MI
5 4  Takuma Sato (JPN) B・A・R 1:46.841 38.042 47.728 21.071 11 MI
6 14  David Coulthard (GBR) Red Bull 1:46.892 38.207 47.506 21.179 1 MI
7 7  Mark Webber (AUS) Williams 1:47.233 37.558 48.002 21.673 4 MI
8 11  Jacques Villeneuve (CDN) Sauber 1:47.440 37.578 48.250 21.612 9 MI
9 2  Rubens Barrichello (BRA) Ferrari 1:48.248 38.383 48.146 21.719 15 BS
10 12  Felipe Massa (BRA) Sauber 1:48.278 38.336 48.461 21.481 10 MI
11 19  Narain Karthikeyan (IND) Jordan 1:48.718 38.688 48.256 21.774 6 BS
12 8  Antonio Pizzonia (BRA) Williams 1:48.898 38.449 48.298 22.151 2 MI
13 21  Christijan Albers (NED) Minardi 1:50.843 39.222 49.143 22.478 7 BS
14 1  Michael Schumacher (GER) Ferrari 1:52.676 37.897 49.898 22.660 17 BS
15 20  Robert Doornbos (NED) Minardi 1:52.894 39.566 50.646 22.650 3 BS
16 5  Fernando Alonso (ESP) Renault 1:54.667 39.719 50.666 23.496 18 MI
17 9  Kimi Räikkönen (FIN) McLaren 2:02.309 41.420 53.157 24.655 19 MI
18 10  Juan Pablo Montoya (COL) McLaren No Time 41.290 50.263 ------ 20 MI
19 16  Jarno Trulli (ITA) Toyota No Time 37.631 ------ ------ 8 MI
20 18  Tiago Monteiro (POR) Jordan No Time ------ ------ ------ 5 BS
 Note: Räikkönen receives 10 position grid penalty for engine change, therefore starts 17th.

[日本GP・予選コメント]

大波乱の予選セッションとなり,トヨタのラルフ・シューマッハがPole Positionを獲得した。日本勢が,PPのラルフ,2番手のバトン,5番手の琢磨と大健闘。マクラーレンの2台とアロンソが下位に沈んだため,明日は表彰台,そして優勝をかけて日本勢が戦うことになる。

・天候に翻弄された予選セッション
 予選アタック3グループ目のときが最もコンディションの良い状態だったため,琢磨,クリエン,ラルフ,バトンあたりはかなり運が良かった。バリチェロも運は悪くなかったが,マシンバランスが悪すぎたために,下位に沈んでしまった。
 予選アタック4グループ目ではフィジケラまでは何とか天候はましだったが,それ以降のドライバーはひどい天候でのアタックを余儀なくされた。フェラーリ勢は初日2回目のフリー走行で調子が良かっただけにドライでの予選アタックを望んでいたものと思われる。マクラーレンの2台とアロンソはあまりの天候不良でフルウエットタイヤでアタックしたが,タイムは出なかった。モントーヤは燃料セーブのため,アタックを中止している。

・レース展開はどうなる?
 明日は天気予報は晴れであるため,レース展開を読むには,初日のフリー走行の結果&ドライバーズコメントが少しは参考になる。
 いつもの上位陣が下位に沈んだため,優勝争いは,ラルフ,バトン,フィジケラあたりということになる。初日のフリー走行を見てみても,この3人はそれほどタイム差もないため,誰が優勝してもおかしくない展開となっている。また,レッドブルが4番手,6番手につけており,フリー走行のタイムもよかったことから,ポイント獲得のチャンスは十分にひょっとすれば表彰台の可能性すらありうる。もちろん,琢磨にも十分に表彰台の可能性はある。
 いつもの上位陣(マクラーレン2台+アロンソ)はさすがにこのGPばかりは抜くのも難しいので,ポイント争いに絡んでくるが3台とも獲得できるか否か際どいところである。

・2ストップ作戦or1ストップ作戦?
 ほとんどのドライバーは2ストップ作戦を選んでいると思うが,いつもの上位陣(マクラーレン2台+アロンソ)は雨によってタイムが出ないことが分かっているので,ひょっとすると1ストップ作戦でくるかもしれない。

2005年の初戦オーストラリアGPに続いて,混乱したオーダーとなった日本GP。明日は多くのオーバーテイクが見られるかもしれない。また,V10エンジン最後の鈴鹿となる。


▼レース結果(Race Result)
Pos No.  Driver (Nat) Team Lap Pit Grid Tyre  Time / Retire
1 9  Kimi Räikkönen (FIN) McLaren 53 2 17 MI  1:29:02.212
2 6  Giancarlo Fisichella (ITA) Renault 53 2 3 MI  +1.6 secs
3 5  Fernando Alonso (ESP) Renault 53 2 16 MI  +17.4 secs
4 7  Mark Webber (AUS) Williams 53 2 7 MI  +22.2 secs
5 3  Jenson Button (GBR) B・A・R 53 2 2 MI  +29.5 secs
6 14  David Coulthard (GBR) Red Bull 53 2 6 MI  +31.6 secs
7 1  Michael Schumacher (GER) Ferrari 53 2 14 BS  +33.8 secs
8 17  Ralf Schumacher (GER) Toyota 53 3 1 MI  +49.5 secs
9 15  Christian Klien (AUT) Red Bull 53 2 4 MI  +51.9 secs
10 12  Felipe Massa (BRA) Sauber 53 2 10 MI  +57.5 secs
11 2  Rubens Barrichello (BRA) Ferrari 53 3 9 BS  +60.6 secs
12 11  Jacques Villeneuve (CDN) Sauber 53 1 8 MI  +83.2 secs
13 18  Tiago Monteiro (POR) Jordan 52 2 20 BS  +1 Lap
14 20  Robert Doornbos (MON) Minardi 51 2 15 BS  +2 Laps
15 19  Narain Karthikeyan (IND) Jordan 51 3 11 BS  +2 Laps
16 21  Christijan Albers (NED) Minardi 49 2 13 BS  +4 Laps
DSQ 4  Takuma Sato (JPN) B・A・R 52 2 5 MI  +1 Lap
- 8  Antonio Pizzonia (BRA) Williams 9 0 12 MI  Spin
- 16  Jarno Trulli (ITA) Toyota 9 2 19 MI  Accident
- 10  Juan Pablo Montoya (COL) McLaren 0 0 18 MI  Accident
 [Fastest Lap] Kimi Räikkönen (FIN), 1:31.540, Lap 44
 Note: Takuma Sato disqualified for causing collision with Jarno Trulli.
      25 seconds added to Jacques Villeneuve's race time for forcing Juan Pablo Montoya off track.

[日本GP・レース プレビュー]

53周のレース,終わってみればマクラーレンとルノーという今年度を象徴させるようなレースだった。最終ラップでのライコネンのオーバーテイクシーンは切れがあって素晴らしかった。ホンダ・トヨタ勢が今一歩だったのが,残念であるが,これだけ実力の差があるということなので,仕方ない…

・マクラーレンの速さは異次元
 スタートでミハエル,アロンソが大きく順位を上げたのに対して,ライコネンは彼らに比べて上げることができなかった。そして,オーバーテイクを繰り返して,ミハエル,アロンソ,ライコネンと並んだが,自分のペースで走ることができていなかった。そんな状況で優勝することができたのは,燃料節約で粘って走行を続けたためにピットストップを遅らせることができた点である。1回目はミハエルと同時ピットインだったため,ミハエルをオーバーテイクすることはできなかったが,2回目のピットストップでは残り9周でのピットインで,トップで自分のペースで走る時間を多く取れたので,1周で1秒以上の差を縮めることができ,最終ラップのオーバーテイクにつながった。
 チームの戦略がかなり上手かったのと,予選においても,アタックラップを行ったドライバーのうちエンジン交換の場合は10番手降格だったので,燃料節約走行によってエンジンペナルティをこうむることがなかったことがうまい作戦だった。

・日本勢,マクラーレン,ルノーの前に手も足も出ず
 ラルフ・シューマッハは3ストップ作戦だったために,SC(セーフティーカー)が入ったことでレースは終わってしまった。SCが入ってもあのタイミングでピットストップするぐらいだったなら,実際は相当燃料が軽く,10周目にはピットインしていた計算になる。フィジケラを引き離していたところのSCで少し運がなかったといえる。レースペースは悪くなかったが,ピットストップのたびに後続の車のペースに付き合わされて,下位に沈んでいってしまった。
 B・A・Rも琢磨がバリチェロと接触で後方に沈み,バトンも思うようにペースが上がらず苦戦し,最後にはピットでウェバーに抜かされる始末。B・A・Rはピット作業は今後の大きな課題になるだろう。琢磨は接触さえなければ,1ストップ作戦だったことも考えて,ポイント獲得は確実だったと思われるだけに悔しい。

・フェラーリの健闘もむなしく…
 ミハエルをライコネンやアロンソが何度となく襲い掛かるが,前王者ミハエルはさすが! 数周に渡って抑え続けることができていた。中継を見ていて分かりやすかったのが,マクラーレンやルノーの車と違うのは,コーナーの立ち上がりで,ミハエルが極端に遅いときに限って,スリップストリームに入り,オーバーテイクのチャンスが訪れるという感じだった。それでもミハエルは何度も抑えていたところがミハエルのすごいところである。また,1回目のピットストップの前,燃料をあれだけ積んでいたにもかかわらず,アロンソをかなりの間,抑えつづけたのも流石である。

・クルサード密かに大健闘
 レース中ほとんど映ることがなかったが,1回目のピットストップも2回目のピットストップも上位陣より遅らせて(ライコネンと同じぐらい),常に順位を守る走りを徹底していた。特に1人で走る時間が多く,素晴らしい仕事だった。

・コンストラクターズタイトルの行方は?
 ルノー勢が2-3フィニッシュ,マクラーレンがライコネンの優勝のみということで,ルノーが2ポイント逆転した。マクラーレンの速さはこのGPでも明らかであり,どの位置からスタートしても優勝できるポテンシャルはあるので,リタイア・ミスしないことがタイトル獲得のポイントとなる。一方,ルノーはリタイア・ミスのないレースをすることしかできないが,このGPで少しマクラーレンにプレッシャーをかけることができたかもしれない。とにかく,2台ともリタイアをしなかったチームがコンストラクターズタイトルを獲得しそうである。

とにかくオーバーテイクの多かった日本GP。初の生中継で,楽しんだ人も多いはず。来年以降もぜひ生中継を続けてもらいたい。


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