「は……ッく……」
声をなるべく出したくないのに、出さないといられない。
出さないと……もっともっと、深くに飲み込まれそうな気がして。

「あ、んっ……」
薄い胸を、柔らかな感触が滑っていく。
濡れた舌先と、少し湿った指先が、赤く尖ってるだろう場所を、執拗に攻める。

「んっ、ぁ……」
歯を立てられて、涙がこぼれる。
「…痛い…? ワケ、ねぇか……」
掠れた声がし、指先が涙をぬぐう。

「……これが…浮かんできてるもんな…」
すいっと、胸を、指先が滑る。
びくっと肩が動く。
笑うようにまた、キスをする。

なぞられた先浮かぶのは……藍色に彩られた、滅却師印。
能力を戻すとき打ち込まれた、霊力の痕。
普段はほとんど見えないが……酷く体温が上がると、うっすらと浮かび上がる。

霊力を発動するときに浮かび上がるのが常だが…例外に、霊圧の高いものと交わるときに、現れるときもある。
……嘘か真かは、知れないが、体験で語れば、だ。

「…うるさい」
荒い息の中返すと、相変わらずだよな……と、笑みを深くする。
その笑みは、男臭い、雄の笑みで。
ぞくりと、する。

最初の頃でこそ、回数ばかりだった行為が、慣れてきたのか、
時々、こんな意地悪をするようになった。
余裕ぶってるのか、それとも、余裕ぶりたいのか。
それとも……自分に、余裕がないだけか。

身体を重ねるたび、慣れないのにけれど、反射のように反応してしまう。
誰の手も受け付けたくないのに、この手だけからは…逃げられない。

「や、止め……イ…ッ…」
追い上げられて、頭の中も、身体の奥もどろどろで。
魂まで吸い取られてるような、気になる。

「は、はぁっ、あっは……っ」
「…イッちまったな…」
ぺろりと口唇の端を舐めて、脚の間から覗き込んでくる。
なんて姿……でも、力なんて、入るわけがない。

「…馬鹿、か…キ、ミは……」
こんな姿で言っても、意味はないのはわかってる。
でも、言わずにいられない。

「ほんッと、へらねぇ口だなぁ……まぁ、そんなのに」

 そそられんだけどな。

熱い息が、あらぬところに掛かり、身が竦む。
口唇が動くたび肌に触れて、泣けてくる。

よしてほしい。
これ以上、暴かないでほしい。

自分が、欲深いことを。

きっと、もっともっと君を求めて、めちゃくちゃになる。

「あ、あぁ…く、ぅ……」
「…力、抜けよ……しんどいんだろ?」
入り口に触れる濡れた指が、ゆっくりと、入り込んできたとき、息を詰めた。
それに気づいて、柔らかい声が、届く。

「んぅ……」
「……熱い」

 石田ン中。

低い声に震えてしまう。

「………気持ちいいよな……」

掠れた声で言いながら、中を指で掻き回してくる。

「ぅ、あ…ッ」
「……やらしいなぁ…お前」

 吸い付いてくる。

「ッ……! バ……あ…」
「……たまんない、な」
「ッ……あ、あぁ……ッ」

ぐちゃぐちゃと、濡れた音が響く。
音と指の感触に、頭の中をめちゃくちゃにされていくのに、
身体はなんだかまだ…心もまだ…まだ…と、感じている。

こうじゃなくて、もっと、もっと。

反応して足が動くたび、相手の腰に触れる。
引き込もうと…身体が、動いてる。

「や……」
知らず、声が漏れる。
普段なら出さない、出せない、高い、甘えたような、声。

「も…それ……嫌、だ……」
縋るように、相手の背に腕を回す。
汗で滑って、力の入らない手では、撫でるようにしかならない。

「…嫌、なんだ……黒崎……」

 お願いだから。

そう言い募りかけたとき。

「……悪りぃ」
「ッあ……」
「……無理だ」
「え……ぁ、あ……ッ」
ぬるりと、指が、中から消えた。
その感触にも、涙が零れた。
喪失感に口唇を噛み締めると、柔らかくキスしてくる。

「ン、ン……」
「……手加減、出来ね……」
「ッ……」
重ねた口唇を堪能して、離れたとき言われた言葉に、肌が総毛だった。

「ッ、黒、さ……」
「……止まンねーよ」

 止められるか。

吐き捨てる言葉に本気を感じて…思わず、笑った。


「あ……あ…ッ…」
「……もうチョイ、力、抜けよ石田…」
「ッ……あ…」

止まらない、と言いながらも、緩やかに侵食してくる熱は、まだ、入り口に留まっている。
じわり、じわりと入ってくる感触はいまだ慣れないが……そこからさざめくようなものが、
身体を包んで……弛緩させていく。

相手の熱に、溶かされていく。
交わって、絡まっていく。

「ッ…く…んぅ……」
「く……キツ…」

互いに何とか息を詰めて、ちょっとずつ、引き寄せあう。
歪な繋がりは、互いに譲歩しないと…優しく繋がりあえない。
それでも負担は…受けるほうだから、何とか…傷つけないようにと、進める。
慣れたとはいえ…やはり、最初は相変わらず辛そうで。
宥めるようにあちこち触れれば、あえかな声を漏らす。

「く……ぅ」
何とか収めて……一息、付く。
包まれる感触は、酷く暖かく…深く、絡みつく。

「あ………」
「………判るか?」
「………」
「……やっぱ、熱い、な…」
「んぁ…ッ……」
緩やかに、穿る。
柔らかな色彩に染まった丸みを撫でて、足を持ち上げて、深く入り込む。

「あ、ぁっ、あ」
「………締めんなよ…」
「な、にい…ッ…あ、ああぁっ…」
言葉とは裏腹に、そこは相手を離すまいと喰い締める。

ゆるい律動と共に濡れた音が立ち、それがだんだん激しくなって、肌の当たる音が響くようになる。

「あ、ぁッ、あっあ、く……」
「く……ッそ…」

 マズイ。

呟きと共に、律動がいっそう激しくなり、抱えあげられた足は力なく揺れる。

“…も…”

 駄目、だ。 

「ふぁ、あ、あっ、ぁ、ああぁっ」
「く………ッ」
目の前が、爆ぜて。身体が痙攣するように、激しく揺らいで。
同時に、身体の奥深くが濡れる感触と、肌の上が濡れる感触を覚えた。




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