「お四国」日誌 


伊予・菩提の道場
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通算第 28 日 2004年7月4日(日)曇り一時雨、【21km 御荘町・ホテルサンパール

松尾峠
(番外)松尾大師、40観自在寺
・H=300mの松尾峠を越えて愛媛県に入る。この峠道も遍路道のうちで五本の指に入れたい好きな道。前回、工事中だった番外霊場・松尾大師は完成していた。高見 真宏様、ご苦労様でした。
・松尾峠を越して村落に降りたところでにわか雨に遭ったが、ちょうどうまい具合に車庫のある民家があったので雨宿りをさせていただいた。雨はすぐに上がって、薄日が差した。
・一本松町の喫茶店で昼食、今日のオアシスはここ。
・観自在寺では山門を入ったところで美生柑を売っていた。試食をしたらみずみずしくてうまいので、わがままを許してくれている家の方に一箱送った。

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7月5日(月) 晴 【22km】 津島町・三好旅館

峠からの眺望

民話の説明板
(番外)流水大師、清水大師
・台風7号は九州の西で熱低になったらしい。青い空、青い海、せみ時雨、梅雨は一体どこに行ってしまったのかと思う。御荘町で一旦海岸に出る。内海村・室手海岸だ、この眺めがまたすばらしい。内海村役場・「DE・あい・21」で休憩。
・柏から茶堂を越えて大門への遍路道は、H=470mの峠越えで国道に戻るまで11km、この道がまた素晴らしい。途中、海岸の展望が開けるところ(ツワナ展望)が一箇所あり、少し下ったベンチで昼食。今日のオアシスはここ。
・道中、愛媛出身の野口雨情の歌碑・津島町の民話を紹介した看板があり、読みながら歩く。
・温室みかんを栽培している話好きの奥さんと雑談、ジュースのお接待にあずかる。昨日は四度、今日は二度蛇に出会ったが、マムシはまだ。
・今日で14日目、予定の日数を消化したのでそろそろ、どこで打ち切るかを決めねばならない。
第30日 7月6日(火) 晴 【19km 松野町・森の国ホテル

龍光院から鬼が城山系を望む
E龍光院
・前回と同じく、交通量が多いという松尾トンネルを避けて距離が約2キロほど長い旧国道を歩いた。しかしこちらはダンプカーの往来が激しく、排ガス充満でも涼しいトンネルとどちらがよかったのかわからない。
・宇和島市内に入って近くに見える山を見ているうちに、急に滑床に行ってみたいと思い始めた。
・通りすがりの車から声がかかり、「お遍路さん」と文字の入った日本手ぬぐいを頂いた。車が続いていて停車できないため、ろくにお礼もいえなかった。
別格霊場6番、龍光院巡拝。歩き遍路には、納経代に相当する300円のお接待と、ご苦労様とねぎらいの言葉を頂いた。
境内から鬼ヶ城山系の千メートル級の山並がすぐ近くに見える。《ここまできたんだ、やっぱり行こう》と決める。
・宇和島駅近くで昼食、滑床行きのバスの時間確認、宿の予約をした。バスの発車時刻まで、和霊神社など市内を見学。
・バスは約一時間で終点へ。そこからホテルまでは、頼んであった迎えの車のお世話になった。

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7月7日(水) 曇り 【?km 宇和島市・広見屋

滑床渓谷

雪輪の滝
なし(お遍路を休む)
・森の国ホテルはなかなかおしゃれなホテルで、露天風呂もありゆっくりと遍路の疲れを癒すことができた。
・滑床渓谷から鬼ヶ城山経由で宇和島へ出るルートも調べたが、結局今回は滑床渓谷だけを往復してホテルに戻ることにして、荷物をホテルに預け、弁当を作ってもらって出発した。
・滑床渓谷は清流四万十川の源流のひとつ目黒川上流に広がる渓谷で、日本の滝百選に選ばれている「雪輪の滝」や「千畳敷」など見所が多い。
・川沿いの遊歩道はずーっと木陰になっていておまけに曇り空、昨日までの暑さがうそのよう。汗をかいたら渓流に浸かって涼をとろうと思ったが完全に肩透かしをくらった。おまけに平日とあって他に歩いている人もいない、実に静かな散策であった。
・途中、マムシに出会った。前回・今回を通じて初めての体験。
・帰りはホテルの車でJR松丸駅まで送ってもらった。駅構内には「森の国ぽっぽ温泉」がある。またホームの二階部分には無料の足湯もあった。列車の時間までの約十分、靴を脱いで足を漬けた。
・一日の休養で元気が出て、もう二、三日遍路を続けようと思い、宇和島に宿を取った。

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7月8日(木)  【24km 宇和町・まつちや旅館

佛木寺門前の看板


思わずうれしくなります。四国ならでは・・・
41龍光寺、42佛木寺、43明石寺
・今日も暑い日差しの中、県道57号を41龍光寺へ歩く。42佛木寺では参拝中、頭がくらくらした。歩き遍路はいないけれど、マイカーのお遍路さんが次々に訪れている。門前のアイスクリン売りのおじさんとしばらく雑談。居合せた大阪の内村俊文さんから自筆の絵葉書を頂く。
・昼食は宇和島カントリークラブのレストラン、電話をしたら佛木寺の門前まで送迎をしてくれると、アイスクリンのおじさんが教えてくれた。冷房の効いたところで食事をして一時間ほど休んだら元気が出て、再び暑い日差しの中を歩き出す。
・H=480の歯長峠を越えて明石寺へ向かう。この峠道もまたいい遍路道だと思う。明石寺につくと同時に激しい夕立、茶店で雨宿りをした後参拝して卯之町に下りる。
・まつちや旅館は、昨年出合った神原さん推薦の宿、たしかに気配りが最高で二重丸を付けてよいと思った。
・二度目の遍路のパート2は本日で一旦終了。

・これから先は、番外霊場7番の出石寺、8番の十夜ヶ橋、同じく番外霊場・通称バラ大師といわれる永照寺を巡拝する予定だが、ルート・順番などまだよくわからないところもあり、あらためて出直すことにした。
・翌9日は半日を費やして卯之町を見学、午後から香川の知人を訪ねて一泊、10日に帰宅した。

ここから第二回のお遍路「PART3」です

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2006年3月10日(金) 雨のち 【2km 宇和町宇和パークホテル

へんろみち
なし(移動日)
パート3 開始、一年と8ヶ月ぶりになる。
自宅を出発、JRを乗り継いで卯之町に17:15到着、前回の宿「
まつちや旅館」は残念なことに満員だった。2キロ先の宇和パークホテルへ。最初の遍路で泊まってポルノビデオを見たところだ。
・サウナに入り夕食をとって眠りにつく。

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3月11日(土)  【16km 大洲市・松楽旅館
鳥坂峠から



日天月天様
(番外)札掛大師堂
・目覚めると深い霧が立ち込めていた。ゆっくり食事をして9:00出発、霧も晴れてきた。
野道に咲くホトケノザ・オオイヌノフグリ、民家の庭先の水仙やツバキの花などを楽しみながら歩く。
・宇和町から鳥坂峠(H=470)を越えて大洲市に入る。
鳥坂峠入口には番所跡、峠を越えたところには「日天月天様」の社がある。

(「日天月天様」案内板の説明)
昔々、世の中で一番尊いものは、昼はさんさんと光を注いでくれる「お日様」、夜はほのかな明かりを与えてくれる「お月様」この二つだと考えられていました。
この社は、この尊いものを神様として祭っているといわれ、「日天月天様」と呼ばれています。
・札掛大師堂を過ぎて松山自動車道にぶつかるところ、「せきしょ」という食堂で昼食。ここから国道を避けて自動車道沿いの田園風景の中を大洲へ向かう。車の往来が少なく快適な歩行を楽しめた。
・大洲市内に入り、おはなはん通りなどを見学、16:30宿到着。土・日は夕食が出来ないとのこと、洗濯を済ませて市内のホテルの居酒屋で夕食。

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3月12日(日) 雨のちくもり 【14km 長浜町出石寺宿坊

F出石寺
F金山出石寺
・目を覚ますと雨、大洲からJR伊予平野駅、地蔵越えで出石寺へ。ありがたいことに雨は大したこともなく、沼田川のところから山道へと入る。
・途中、遍路案内標識を見落とし道は行き止まりに。山の中で道を間違えると道を尋ねることもできず実に心細い。遍路マークのあるところまで引き返すのが無難、南無大師遍照金剛を三度唱えて気持ちを落ち着かせる、その直後立派な案内板を見つけた。どうして見落としたのか不思議、20分ほどロスをしたことになる。
・道を間違えたところで、水溜りで遊んでいる?アメンボに出会った。お遍路をしていると命あるものに無性にいとしさを覚える。
・幸い雨が上がったので、コンビニで買ったおにぎりを食べる。昼食をとっている間に風が出て寒くなった。
・標高812m出石山の山頂に出石寺がある。着いたときには霧がたちこめてほとんど視界がきかない。
・大洲から往復できない距離ではないけれど、こういう山の上の宿坊で泊まってみたいと思っていた。宿坊にふさわしくテレビや浴衣などはない、部屋には石油ストーブがひとつ。今夜の泊まりはもう一人東京の男性遍路、食堂は広くて寒いからと、それぞれの部屋まで食事を運んでいただいた。
・一晩中、風が廊下のガラス障子をがたがた鳴らして何度も目が覚めた。トイレに起きたとき、ピューッという風切音とともに猛烈なすきま風が吹き込んでくる。

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3月13日(月) くもり 【23km 内子町・松乃屋旅館

佐多岬南側

里に下りたら梅の花が満開

G十夜ヶ橋 大師堂永徳寺
・小鳥の美しい鳴き声で目を覚ました。いつものことながら山の朝はうれしい。昨夜の風が全てを吹き飛ばし、眺望がすばらしい。
・6:30護摩堂・本堂・太子堂の順にお勤め、広い本堂は背中から寒気が忍び寄ってきて身が引き締まる。おそらく氷点下・・・。境内には昨夜降ったらしい雪が吹きだまっている。

・一番高いところに位置する大師堂から大洲の町が、反対方向には九州に向かって飛び出している佐田岬半島の南側が望める。
・8:00出発、今日は下る一方、楽な歩きである。
里に下りると梅の花が美しく咲いている。八幡神社へ下りるつもりが、少し西に寄った西大洲駅に下りてしまった。
・十夜ヶ橋手前のラーメン屋さんで昼食。G十夜ヶ橋巡拝後、内子の宿へ。
松乃屋旅館は一回目の遍路でもお世話になったところ。夜の食事で京都・精華町の学生遍路(21歳)、埼玉の男性遍路(71歳)とご一緒。71歳氏、ここで20日目というからかなりの健脚。
(ボクの一回目は33日だった)

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3月14日(火)  【14km 内子町民宿「来楽苦」

春の雪

「来楽苦」
(番外)楽水大師
・目が覚めて3階の窓から外を見ると、周りの屋根は真っ白。
・7:00に朝食、8:00出発。雪の降る町を歩くのもいいもの。
・小田川に沿って国道379を歩いた。車のお接待の申し出があったが、もちろん丁重にお断り。予定を変更(短縮)して、松乃屋の女将さんに教えてもらった民宿「来楽苦」に投宿。
・民家1軒がそっくり民宿になっている。
「いつでも風呂に入れます」というので、冷えた身体をあたためようと裸になったら、なんとお湯は表面だけであとは水風呂、あいかわらずそそっかしい自分を笑った。
・この宿、隣の豆腐屋のオッチャンがやっていて、朝夕の食事が豆腐攻めとか。たしかに夕食は豆腐と油揚げと大根の鍋、冷奴にゆばときた。料理もオッチャンが一人で作っているようだ。オッチャンは話好きで、同宿の愛知のお遍路さんと共ににぎやかな食事になった。饒舌だけれど押し付けがましくなく好感が持てた。
・勘定を頼むと、底のついた年代モノの五つ玉のそろばんでパチパチとやってくれた。なんとなく顔も道具もユーモラスなオッチャンである。


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3月15日(水) くもりのち晴 【27km 久万町・民宿「笛ヶ滝」

鴇田峠標識


鴇田峠

44大宝寺
・隣のオッチャンの店(山田商店)で昼食のパンを買って、7:00出発。
・前回は河口から45番岩屋寺を先に打ったが、今回は突合せ・観音堂・三嶋神社・下坂場峠・鴇田峠のコースで、44大宝寺を先に打つことにした。
・坂場峠・鴇田峠では約20センチの積雪があり、思いがけぬ雪の峠越えとなった。午後には雲ひとつない青空になり、気持ちのよいウオークを楽しめた。とはいうものの靴の中はグシャグシャ。
・大宝寺はうっそうとした森になっているので、門前から先は雪が残って足元注意。
今日まで、別格FやG、あるいは山道ばかりを歩いてきたが、さすが八十八箇所の札所、バスの団体さんなどで大賑わいである。
・道中、歩きのお遍路さん4人に出会った。


《鴇田峠》
この峠は標高800mに位置し(久万町役場は500m)古くは二名地区と久万地区を結ぶ主街道として賑わった所で、昭和30年ごろまではこの場所に茶屋があり行き交う人々が一休みしたそうです。「鴇田峠」の名称は、一説には弘法大師が八十八ヵ所開基の折、大洲からずっと雨続きでこの峠でやっと晴れ「日和りだ」と言われたのが訛って
鴇田となったと伝えられています。

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3月16日(木)  【14km 久万町国民宿舎「古岩屋荘」

45番岩屋寺への遍路道

同上
苔むしたお地蔵さん
45岩屋寺
・目が覚めて窓の外を見るとまた雨、今回は本当に雨が多い。天気男を返上しなければいけない。
・8:00出発、日の出橋・素鵞神社・槙の谷経由で岩屋寺へ。雨は小止みになることはあったが結局宿に着くまで降り続いた。700mを越えるところを歩くので雪を心配したけれど、ところどころに見かけるだけで大丈夫だった。
・岩屋寺でもバスの団体さんに出会った。ここはバスで来ても下の駐車場から相当歩かねばならない、年配の方は息を切らして座り込んでいる。
・岩屋寺の休憩所で、民宿でお接待にいただいたおにぎりを食べた。札所から宿までは川沿いの気持ちのいい道が続く。
・14:30宿の古岩屋荘に着いた。チェックインまでロビーで時間待ち、テレビがWBCの野球をやっていて、ちょうど日本が韓国に負けるところを見ることになった。
・ぬれた衣類を洗濯機に放り込んで、冷えた身体を温泉の岩風呂で温めた。

40
3月17日(金)  【29km 松山市・鷹の子温泉ホテル

古岩屋荘周辺の奇岩
スケールが大きすぎてカメラでは捕らえきれません。


ユキワリイチゲ

(番外)網掛石、46浄瑠璃寺
・朝のスタートは昨日の続きで、直瀬川沿いの遊歩道、住吉神社から高野・菅生を経由して仰西へ。ここまでは山道で快適なウオーク、しかしここからは交通量が多くホコリっぽい国道33号を三坂峠まで歩くことになる。これも修行と思えばどうということもない。
・午前中、住吉神社から高野へ向かう途中の山中で、また道を間違えた。こういうときに引き返すのは勇気がいる。しかし、標識のあるところまで引き返すのが原則で、今回もそれに従った。それが正解で、少し戻ったところに脇にそれる遍路道とその標識が見つかった。
・三坂峠からの下りは再び歩行者専用の遍路道。一気に500mの高度差を下りる。
・46番浄瑠璃寺の前が前回泊まった長珍屋さん、今回はタクシーで鷹の子温泉に向かう。鷹の子温泉は、フロントの女性に言わせると、道後温泉より泉質がいいという。たしかに良い湯だったし、その上食事も良かった。料金は二食付きで6,500円、遍路の宿としては普通の料金。
・昨日今日と二晩続けて温泉に入って・・・ちょっとぜいたくな遍路を体験しました。

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3月18日(土)  【9km 自宅へ
47八坂寺、H文殊院徳盛寺、48西林寺、49浄土寺
・朝から雨、またまた・・・である。今日は遍路を切り上げて帰阪する日、今日の予定は止めて・・・という考えが一瞬頭をよぎる。しかし、せっかく往復の交通費をかけてきているんだから、と思い直す。
・というわけで再びタクシーで昨日の浄瑠璃寺へ、8:50 雨の中を半日かけて4ヶ寺を巡拝、電車の駅のある49番で打ち止めにした。


・今回は予想外に雨が多かった。おまけに季節はずれの雪まで降ったのには驚きました。自然相手に文句を言っても詮無いこと、良い体験をさせてもらったと感謝しよう。
・もうひとつ、いつもよりなぜかよく道を間違えた。注意力散漫、老化現象かもしれない。そのうち山中での2回は引き返して事なきを得た。その経験から「標識がなくなったら引き返せ」、という原則を身をもって学んだ。

ここから第二回のお遍路「PART4」です

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2007年4月2日(月) くもり 【−km 松山市・鷹の子温泉ホテル
鳥坂峠から



日天月天様
38番金剛福寺
・今回は2日間の四万十ウオークを終えて足摺岬へ直行
そこで一泊の後、宿毛・宇和島経由で松山へ
そして明日からお遍路PART4

・足摺岬にはなぜか不思議に縁があって
もう10回近くも訪ねているのが、いつ来てもすばらしく、飽きることがない

・但し昨夜は蚊の来襲に悩まされ安眠を妨害された
3年前の竜串の宿でも蚊の大群に襲われた記憶がよみがえる

・一夜明けた今日は幸いにも晴天
宿から灯台に向けて海岸沿いの遊歩道を散策

・足摺名物の椿の花はあらかた終わっている
四国霊場38番札所・金剛福寺に巡拝
境内に、3年前にはなかった池が出現している

たまたま何かの催しがあって
ご本尊の千手観世音を拝観することが出来たのは幸運だった


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4月3日(火) くもりのち晴れ 【18km 権現温泉/清泉フォンテーヌペンション
49浄土寺、50番・繁多寺、 51番・石手寺、 〈道後温泉通過〉、 番外霊場・宝厳寺、
 番外霊場・蓮華寺、 52番・太山寺および奥の院、 53番・円明寺
地図の片すみに、《太山寺奥の院からの見晴らし良し》というメモ発見。自分で書き留めたのに、誰に教わったものか思い出せない。
登ってみると360度のパノラマは期待以上に素晴らしい
改めて教えてくれた人?に感謝!

・遍路再開と同時に受けるお接待にも感謝



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