キルヒホッフの法則
工事担任者試験では、2種以上の基礎で出題されます(3種では過去問にも無かったはず)。
ラジオ音響技能試験では3級でも出題されそう。

【第一法則】

 電流に関する法則であり、「回路上のある一点に流れ込む電流の総和と、そこから流れ出る電流の総和は等しい。」というのがキルヒホッフの第一法則になります。
 どういうことかというと、下図を見てください。

 左の図のような回路があったとき
I1 から I3 までがA点に流れ込む電流で、 I4 がA点から流れ出る電流である場合に
 I4 =I1 +I2 +I3 が成り立ちます。

 また、上式を変形すると I1 +I2 +I3 -I4 = 0になりますので、「A点の電流の総和は0になる」という考えもできます。

 

【第二法則】

 電圧に関する法則であり、「ある閉回路の電源電圧(起電力)の総和と、負荷で消費される電圧(電圧降下)の総和は等しい。」というのがキルヒホッフの第二法則になります。


左の図のような回路があったとき
I1・R1 +I2・R2 =E1 +E2 が成り立つのがキルヒホッフの第二法則です。

 ここで、I1 と I2 の電流の向きに注意してください。
 計算のために閉回路をたどっていく向きは、自分で勝手に考えてください(右回りでも左回りでも答えは同じになりますので)。
 同様に電圧に関しても同じで、実際に左の図のように電流が流れていた場合E1 には逆方向に電流が流れるので、この回路の実際の起電力の合計はE2 +(-E1 )になります。

 左図において仮の向きを右回りで考えた場合(回路の真ん中に右回りの円を書いてみてください。)には E2 +(-E1 ) = I1・R1 +I2・R2 となる。

 仮の向きを左回りで考えた場合(回路の真ん中に左回りの円を書いてみてください。)には左回りの仮の電流の向きと I1I2 の向きが逆になるので電流にはマイナスを付けて式を書き、E1 +(-E2 ) = -I1・R1 +(-I2・R2 )となります。

 一見すると計算結果が異なってきそうな気がするのですが、下の式を変形すると、上の式と同じになるので、仮で設定する向きは適当でもちゃんと答えを導き出すことができるということが判ると思います。


複数の閉回路がある場合の考え方。
キルヒホッフの法則を左の図に適用すると

 A点については第一法則により
    I1I2I3 =0
 閉回路(1)について第二法則により
    E1 -E2 =R1・I1 -R2・I2
 閉回路(2)について第二法則により
    E2 =R2・I2 -R3・I3
 閉回路(3)について第二法則により
    E1 =R1・I1 - R3・I3

 すべての数値が不明の場合は算出できませんが、問題として出される場合は、これらのうち何個かは数値が判明していますので、上式にそれらの数値を代入することにより、第一法則と第二法則の3つの閉回路うち2つを用いれば、I1I2I3を求めることができます。

理論的なことだけを勉強してても分かりにくいので実際の問題を解いてみましょう。

例題


 右図に示す回路において抵抗 R0 に矢印のような電流が流れているとき、電池の起電力 E1 は何(V)か?
 ただし、電池の内部抵抗は無視するものとする。

解答


 まず、下図のように回路図上に、閉回路をたどっていく向きを仮に書き込みます。
 それでは、下左図(1)の閉回路で E2R2R0 を考えてみましょう。
 R0 は2(Ω)で3(A)の電流が流れるのですから両端電圧(電圧降下)は6(V)になります。
 電源電圧が46VですのでR2にかかる電圧はキルヒホッフの第二法則より 46-6=40(V)となるので、R2 には10(A)の電流が流れていることが判ります。

 次に下右図(2)のように E2R2E1R1の閉回路を考えてみましょう。
 先ほどR2 に流れる電流が10(A)と分かりましたので E1R1 に流れる電流はキルヒホッフの第一法則から
 10-3=7(A)と分かります。
 ということは、R1 は3(Ω)ですのでR1 の両端電圧(電圧降下)は21(V)となります。

 以上のことからキルヒホッフの第二法則を用いるとE2 + E1 -(VR2 + VR1 )=0 となりますので
46+E1 -(40+21)=0 となり、E1 =15(V)と計算することができます。



(2)の閉回路を、回路の上側にした場合を考えてみましょう。

 R1 に流れる電流が先ほどの計算から7(A)であることから、R1 の両端電圧が21(V)であることは判明しています。
 R0 の両端電圧も判明しています。
 ただし、左図の(2)のように閉回路を考えた場合、閉回路を仮にたどっていく方向と、R0 に流れる電流の向きが異なります。
 そのため、(2)の閉回路においてR0 の両端電圧は6(V)なのですがマイナスの方向に働いていることが判ると思います。
 よって E1 =21+(-6)=15(V)と導き出すことができます。

 これは、仮の流れを左回りにした場合でも答えを導き出すことができますので、各自で試してみてください。

 このように、どの閉回路で考えても答えは導き出すことができるのですが、自分が考えた仮の流れと実際の電流の流れが同じなのか違うのかによって、まったく違った答えになってしまうので注意しなければなりません。