伝送理論
利得と損失
  信号の伝送量は送信側の電力P1 (または電圧V1、電流I1)と受信側電力P2 (または電圧V2,電流I2)の比をとって、常用対数で表し、単位はdB(デシベル)で表します。
 この伝送量のことを利得または損失といい、入力よりも出力の方が大きい場合には利得、入力より出力の方が小さくなる場合に損失といいます。

利得の計算式(P:電力、E:電圧、I:電流)    

電力の利得
 上式の通り(電力比)で計算します。
 = 1の時、すなわち入力電力と出力電力が等しい時に利得は0dBとなります。
 0dBを基準として、が10倍になるたびに利得は+10dBずつ増えていき、が10分の1(0.1倍)になるたびに10dBずつ減っていくと覚えておけば試験対策にはなると思います。
 
例)
ある信号伝送回路で、送信側は1mWで信号を送出していたが、途中の増幅回路で信号を増幅していたので受信側では100mWの信号になっていた。この回路の利得は何dBか?
 というような場合は

=100÷1=100 (100は10の2乗なのでになる。要するにの答えが10の何乗になるかを求めれば簡単に答えが出るというわけです。)

よって、 100=10×2=20                     A.20dB

電圧利得、電流利得
 基本的な考え方は電力利得の時と同じですが、上式からもわかるように20logになっていますので、電圧又は電流の比が10倍になるたびに、利得は20dBずつ増え、10分の1になるごとに20dBずつ減っていきます。

 試験を受けに行き、利得の問題が出たら、問題をよく読んで単位がW(ワット)なのかV(ボルト)なのか、またはA(アンペア)なのかを間違えないようにすれば簡単に解くことができると思います。



常用対数の式の変換(公式) ← 覚えておくと役に立つ



相対レベルと絶対レベル
 電線の2点間(送信側と受信側)の電力の比をデシベルで表したものを相対レベルといい、それに対して絶対的な電力を表す量として”1mW”を基準としてこれに対比して対数で表したものを絶対レベルといい、相対レベルの伝送量と区別するために”dBM”という単位を使います。
 問題文中に”dB”表示があった場合、相対レベル「dB」なのか絶対レベル「dBM」なのかを必ず確認して解いてください。
絶対レベル