このコーナーは、土鈴作家・中野和彦さんのご協力を得て掲示しています。    
                                              手づくり土鈴陶房 江州物産
                                         神戸土鈴友の会々員
                                                       中 野 和 彦
                                    〒520-0843
                                              大津市北大路2丁目3−31
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 土鈴は、700〜1,000°Cの間で焼かれているので、カラカラ、コロコロと優しい音がしますが、カップなどの陶器        を作る時のように1,200〜1,300°C前後で焼成すると、チリン、チリンという音になります。
 以下に、大阪府泉佐野市・奈加美神社の神鈴『水なす土鈴』を例にして、土鈴の作り方を順番に説明します。
  まず最初に、原形を作ります。私の場合、土鈴と同じ「信楽土並こし」とい       う粘土を使います。
  柔らかい粘土を乾燥して、焼き上げると約7%小さくなるので前もって、そ       の分、大きく作ります。粘土によって、収縮率が変わるので注意が必要です。
  『水なす土鈴』の場合「水なす」の写真を撮影し、コピーで拡大・縮小して、      大きさを決め、形を作っていきます。出来上がると、あらかじめ作って置いた、     神紋と神社名を埋め込みます。  
型枠   次に、石膏型を作ります。
  先に作った原形を、半分に切り、ガラスの上に置き、木枠(写真上)で囲いそ     こに、石膏を流し込みます。『水なす土鈴』の場合、1リットルの水をバケツに用    意し、1.3sの石膏の粉末をフルイで、水の中へ落としていきます。
  全部入れてから、3分間待ちます。すると、石膏が沈み上ずみができますの     で、それを捨て、丸い棒で、150回から200回静かに撹拌し、すぐに原形を置     いた木枠の中へ流し込みます。待つこと30分から1時間で固まります。同じ要     領で、あと半分の原形にも石膏を流し込むと石膏型のでき上がりです。
  天日に干して、1週間ほど乾燥させると使うことが出来ます。 
  いよいよ、土鈴の生地を作ります。
  石膏型の中へ厚さ4〜5oになるように、粘土を親指で押さえていきます。
  型からはみ出した土を切り取り、その切り口に粘土を泥状に溶いたものを、      筆で塗ります。同じ要領で、もう一つの石膏型に粘土を入れ、泥を塗り10o        ぐらいに丸めた粘土の球を入れ、二つの型を重ね合わせ、30分ほど後に片      方の型を持ち上げると、生地が出来ています。
  型から取り出して、つなぎ目を仕上げ、鈴口を切り、紐穴を開けると、土鈴の     生地の出来上がりです。
  一つの型で150個前後の生地が作れます。 
 写真は型から取り出した段階のものです。
 型から取り出した生地を良く乾燥させてから焼成します。
 写真は850°Cで素焼きしたものです。
 神紋をニカワで溶いた顔料で彩色するとともに、なすびの「胴」と「ヘタ」と       の境の彩色をします。
 「胴」の赤をエアーブラシ(写真上)を使いアクリル絵の具で彩色します。
 「胴」の紫を彩色します。
 「胴」にクリアー(透明)彩色をします。
 「ヘタ」に彩色し紐穴に紐をとおして『水なす土鈴』の完成です。


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