向日葵みたいだと、ふとそう思った。
097.向日葵の花
「ねぇ殷雷。向日葵って、いつでも太陽の方を向いて咲いてるんだって。すごいねー、不思議だねー」
ついさっき仕入れたばかりの知識を、和穂は嬉しそうに語った。
知らなかった事。不思議な事。綺麗なもの。
初めて目に映るそれらは、キラキラと輝く宝石のように見えるらしい。
「いつでも、太陽を見失わずに追い続ける。
自分を照らしてくれる光を求めてるんだね」
それはまるで…
それはまるで…
「宝貝みたい」
「いつでもどこでも、使用者を求めて、己の業を咲かせ続ける」
「自分の存在価値を見つけるために、咲き続ける」
「誇り高きもの」
殷雷が、笑った気がした
「それじゃぁおまえは、さしづめ根を張るための大地ってとこか」
「 ? なんで?」
「さて、自分で考えな」
貴女以外の、誰が私を支えるというのでしょう。
貴女以外の、誰が私の傍に居るというのでしょう。
「大切なものは、いつだって足元にあるんだぜ」