007.最後の春   

 

 



広がる、蒼。

悠久のごとく続く、空。

小高い丘から見下ろせば、小さな人の営みがうかがえる。

包み込むような風が、髪を梳いた。

「ねぇ、殷雷」

聞こえてるかしら。

「あと少し…あと少しで、全てが終わるの」

本当に、永かった。

「今の私なら、今年中には全てが終わる」

足元の草が、ゆれた。

「失わないための旅だったのに、いつのまにか、たくさんのものを失ったわ。
唯一変わらないものと言ったら…」

「帰りたい」

ただ、ただひたすらにそれを願って―――

目元を伝うものを、乱暴にぬぐうと、ふわりと丘を駆け下りた。
ふと、足元に咲く小さな花を見つける。

「最後の春ね」

いつものように、策具輪に手を添えた。

「絶対に、直してみせる」

ただ前だけを見据えて。眼下の街へと足を進めた。


 

 

 

わかりにくい!
えぇっと、状況的には、殷雷が死んで幾数年…やっと、宝貝ラスト十数個ってとこまでこぎつけた…って感じです。
季節的には春。人間界で過ごす、最後の春ってわけですね。
暗!!