ポジトロンCTでできること


現在のところ、15-O炭酸ガス,15-O水, 15-O一酸化炭素ガス,15-O酸素ガス,18-FDG (18F -deoxyglucose)などが腹部領域で利用され、それぞれ、血流量,血流量,血液量,酸素代謝,糖代謝を知ることができます。とくに、血流量と血液量は肝機能と密接に関わっていることが明らかになってきました。現在ではintact hepatocyte theoryが広く支持されています。すなわち、個々の肝細胞が正常に機能しているならば、肝細胞数の減少か、または肝細胞に接触する血液の量の減少が肝機能の低下を引き起こしていると考えざるを得ません。これを、ポジトロンCTで検討しています。

15-O炭酸ガス吸入定常法による肝血流量測定

  15-O炭酸ガスは吸入すると直ちに血漿中に溶解して15-O水になるので、PET scanすると血流量を示すimageが得られます。肝の任意の部分に関心領域(ROI)を設定してその部分の放射活性値を求め、大動脈にROIを設定するかあるいはwell counterで動脈血の放射活性値を求めてその比を算出すると肝血流指数を求めることができます(regional hepatic perfusion index: rHPI)。[画像]

15-O水静注動態法による肝血流量測定

 15-O水静注後のdymanic PET scanを行い、数学的に解析することにより、肝動脈血流量・門脈血流量・シャント量・肝に流入する動脈血と門脈血の時間的ずれ・肝および門脈系臓器における水の血液組織分配係数などを同時に求めることができます。[画像]

15-O一酸化炭素ガス一回吸入定常法による肝血液量測定

15-O一酸化炭素ガスは吸入すると直ちにヘモグロビンと結合するので、PET scanすると血液量を示すimageが得られます。肝の任意の部分に関心領域(ROI)を設定してその部分の放射活性値を求め、well counterで求めた動脈血の放射活性値で除すと肝血液量を求めることができます。この方法で求めた肝局所血液量は組織学的に求めた肝の線維化率(面積比)と高い相関を示します。[画像]


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