はじめに(基本方針)
T.外科研修の目的
本院の外科は消化器外科を中心として、年間約1200例の手術を行っています。また、当院には三次救命救急センターを併設されており救急としての外科疾患も多く、地域医療の中心となっています。この特性を活かし、実践的な教育を行いプライマリーケアの習得と外科で最も重要な術前・術後管理と基本手技の習得を目的としています。
一般目標:患者の立場に立って医療を実践し、患者から学ぶ姿勢を身につける
行動目標:
@ 良好な患者−医師関係を保つために
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インフォームド・コンセントが実施できる
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プライバシーへの配慮ができる
A
基本的なプライマリーケアのための診療能力を身につけるために
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経験すべき症状・病態・疾患を経験する
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特定の医療現場を経験する
B
地域の医療機関と協力して、患者に安全かつ良質医療を提供できるために
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医療事故防止および事故後の対処について、マニュアルに沿って行動できる
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院内感染対策を理解し実践できる
C
チーム医療のリーダーとしての自覚を身につけるために
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指導医や専門医に適切なタイミングでコンサルテーションできる
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上級医や同僚と適切にコミュニケーションがとれる
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同僚や後輩に適切なアドバイスができる
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看護師や他の医療従事者の業務を理解し、適切なコミュニケーションがとれる。
V.研修内容および教育体制
@
外科選択プログラムでは2〜6ヶ月間、術前・術後管理と実際の手術での助手と簡単な手術の術者までの研修をします。
A 研修期間中は基本的にマンツーマンで指導医がつき研修します。
B
包帯法、注射法、採血法、穿刺法(胸腔内、腹腔内)、動脈血ガス分析、輸液、局所麻酔、創部消毒とガーゼ交換、簡単な切開排膿、皮膚縫合法、導尿法(外来)、ドレーン類の管理、胃管の挿入と管理、外傷と熱傷の処置、褥瘡の管理と処置を最低限習得します。
C 病棟の感染防止、手洗い、手術用手袋の着用、手術着の着用について学びます。
W.カリキュラムの概要
(1)必須プログラム
現在ありません。
(2)選択プログラム(一例)
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月曜日 |
火曜日 |
水曜日 |
木曜日 |
金曜日 |
7:30 |
手術記録チェック および病棟回診 |
ミニカンファレンス および病棟回診 |
消化器 |
ミニカンファレンス および病棟回診 |
ミニカンファレンス および病棟回診 |
午前 |
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手術 |
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手術 |
手術 |
午後 |
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手術 |
栄養管理 |
手術 |
手術 |
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術前検討会 |
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術前検討会 および退院報告 |
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@ 胸腹部悪性疾患では、指導医とともに助手として手術に参加し、その術前・術後管理を経験します。
A 虫垂炎、ヘルニア、痔などの良性疾患の主治医となり、指導の下に手術を執刀します。
B 呼吸、循環などの術後管理のための手技を習得します。
C 指導医のもとに上部下部内視鏡、腹部超音波、腹部血管造影などの術前診断のための検査を経験し、習得します。
D 当直日には副直として救命センターにて主に外科系疾患の診療にあたります。
E 珍しい症例を経験した場合には、学会発表を行うための準備と発表を指導医のもとで行います。
X.研修医に望むこと
研修医のみなさんには何よりもまず一人前の臨床医になることを目指してももらいたいと考えています。手術、外傷では病態がダイナミックに変化するため、外科医には素早い判断と正確な手技が求められます。いくら知識が豊富でも、臨床経験が不足しては技術がともなわず、また、患者さんの前で逡巡しているようでは、臨床医とは言えません。外科学を学び医学者になることももちろん大切ですが、珍しい症例を経験したり、最新の研究を学んだりすることよりも、日常遭遇する外科疾患や外傷に対して迅速に、正しい治療が行えるようになることが優先します。研修では、外科という科の仕事内容を知ってもらい、外科疾患に対する考え方を身につけてもらいたいと考えています。その上で、将来どんな科に進んでも必要となる基本的な外科的手技を習得して下さい。将来一人前の外科医になるために、少しでも多くの症例を経験してもらいたいと考えています。良性疾患では指導の下に主治医および執刀医となり、悪性疾患では助手として手術と患者管理に習熟して下さい。救急外来では常に冷静さを失わず、誠実に診察し、自分で判断をした上で、指導医に相談できるようになって下さい。医師としての力量は、学生時代の学習はもちろんですが、研修2年間の内容で決まると言っても過言ではありません。心身ともに厳しい期間ですが、一日一日課題をもって取り組んで下さい。患者さんには謙虚な姿勢で接し、疾患に対しては積極的に取り組んで下さい。医局員全員で応援しますので、困ったことがあればなんでも相談して下さい。