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バイオリズムについて

HSSRプログラムス主宰者: 魚住 廣信


 バイオリズムにはいろんな規模のものがある。秒で計るリズム,心臓のリズム,一日のリズム,サーカディアリズムなどである。科学的な用語は,サーカディアリズムで,それは一日24時間のものである。5〜8日間かかる生物学リズムがある。1ヶ月,1年,数年間のリズムもある。

 60〜70年代に,世界のスポーツ界では,1ヵ月のバイオリズムに関心が持たれた。アメリカのコスモス宇宙開発の生物学者は、とくに興味を持った。科学論文がいくつも出され,マスコミも話題にした。商業者もコマーシャルを目的に研究を利用した。そしてバイオリズムの計算機を作った。あらゆる職業人のバイオリズムが計算された。

 1ヵ月の生物リズムがあることが確認できた。本当の科学的データを与える科学者の情報のほかに,商業界からのコマーシャルから出る情報もたくさん出たために,社会的な混乱を起こした。スポーツ界にも1ヵ月の生物リズムに関心があったので、スポーツ実践者のほうから多くの質問が出た。

 たとえば,1ヵ月の生物リズムの周期以内で否定的な段階に入っているときに,試合に参加する意味があるのかという疑問がもたれた。

 マトヴェーエフ氏もその問題の検討を依頼され,科学者と共同で研究した。2500人の優秀な選手のバイオリズム関係の資料を集めた。その一部は,『ある仮説の立証』(スポーツの理論と実践1970.9)で発表した。

 女性の1ヵ月のバイオリズムは良く知られている。女性の生体には1ヵ月の生理周期があるが,男性にはないのか。男性にもあるはずである。女性のバイオリズムを見て明らかなことは,14日から48日間まで周期に違いがある。一日のバイオリズムについては良く検討され、多くの論文がある。マトヴェーエフ氏も多大な資料がある。それは国際シンポジウムが行われたからである。生物時計のシンポジウムであった。それに発表を依頼されてのことである。

 マトヴェーエフ氏がバイオリズムの研究を始めて明らかになったことは,サーカディアのバイオリズムを基礎にして研究したもの,バイオリズムは短ければ短いほど良く検討されるが,長くなれば検討は難しいということである。期間が短いほど検討しやすい。しかし太陽関係の長さは11年間あり,あらゆる仮説がある。超能力者の話も引用されている。

 マトヴェーエフ氏が強調したいのは,よく検討されたサーカディアリズム,女性の生理のバイオリズムは,偽のバイオリズムであるということである。自然の長さは決まっているが,生活環境で一人一人変化するものである。

 また誕生日でバイオリズムを決めるのは,50%は正解で50%は当たらない。

 2500人の世界の優秀な選手を使って調査した時計の数字データがある。選手のトレーニング条件がよければ,バイオリズムを考慮に入れることができる。バイオリズムそのもののためではなく,トレーニング仮定には1ヵ月の周期にはある時期に負荷を大きくしたり,少なくしたりすることがあるので,それを考慮に入れ,負荷量を決めることができる。

 そういう現象をトレーニングのメゾサイクルと呼んだ。トレーニングの構築にそれを考慮することが有益である。バイオリズムの否定的な段階に試合があれば,筋肉を適当に組織してトレーニングを行い,選手がよい成績を出すようにコントロールすることができる。内部発生のバイオリズムを良く考えたトレーニングによって,否定的な段階を調整できる。これについては,新聞の記事にも書いた。


2002年ロシア訪問 2002.09.09. インタビューより



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