多年及び単年のトレーニングプログラムにおける
オールラウンドな一般的身体準備の役割
数年前に、ソ連のチームが前日の夜にアメリカナショナルチームと試合をして、サンディエゴやってきた。彼らはその夜、再びアメリカチームと試合をする予定であった。午後、彼らが到着した後、休む間もなくサッカーゲームのフィールドが開いていないか尋ね、ボールがはねるように駆け出していった。30分間プレイした後、彼らは並んで一連の10種目程度のデプスジャンプを行った。続いて30分間休みなしで、もう一度プレイを再開した。
ゲームの間、アメリカの報道記者とテレビリポーターたちは、その現場を見て、「これはいずれのサッカーチームですか?」と尋ねていた。その答えは、極めて驚くべきもので、「それはサッカーチームではない、それはソ連のバレーボールチームである」という。その夜、ソ連チームはアメリカチームを3対0のストレートで退けた。これは彼らがどのような身体コンディションであったかを示す話である。
これは大きな競技の前に、数セットのジャンプエクササイズをするだけで中断し、60分間連続してサッカーをするという恐るべきコンディションを持っていると言うことである。それはソ連スポーツトレーニングシステムにおけるオールラウンドな一般的身体準備の役割によるところが大きい。それは熟練したアスリートになる準備をしている若い選手とハイレベルのアスリートの体力を改善することにおいて用いられる。
ソ連は、多年と単年のペリオダイゼーション(トレーニングのステージ)に基づいて、アスレティックの準備のシステムを考案した。トータルトレーニングプログラムのペリオダイゼーションは、広範囲なスポーツ研究とコーチの実際の経験から生まれた。そしてそのシステムは全てのスポーツにおいて基本的に同じである。
ここで使われるように、チームのペリオダイゼーションは、特定の身体的、精神的、技術的資質を開発するために、特定の期間の確立を意味する。これらの期間は、アスリートが特定の資質を開発するトレーニングのステージとして考慮される。それぞれのトレーニングステージは、競技で最高の努力をしたり、年間トレーニングやある何年間のトレーニングの後、大きな競技にピークを合わせるために、明確な発展性を持って導かれる。
トレーニングのペリオダイゼーションにしたがった発展は、多年や単年のトレーニングプログラムのいずれであっても、基本的に同じである。最初のステージは、年間プログラムの数ヶ月と多年にわたるプログラムの最後の数年間で、オールラウンドに一般的な身体準備をする。それは年間トレーニングプログラムの数ヶ月と多年にわたるプログラムの最後の数年に行われる専門的準備が続いて行われる。これらの2つのステージの後、多年にわたるプログラムの最後の数年と単年プログラムの数ヶ月に、再度競技期間がある。これらの各期間の正確な時間の長さは、多年であっても単年プログラムであっても、そのスポーツ、トレーニング開始年齢、身体準備のレベル、他の要因によって決まる。
多年のトレーニング
多年のペリオダイゼーションにおいて、最初のステージは個人のオールラウンドな一般的身体準備の開発に当たる。このステージの開発は、そのスポーツに必要な全ての身体資質である。これには、筋力、持久力、柔軟性、敏捷性、器用さ、心臓−呼吸器系の持久力などを含む。加えて、ランニング、スローイング、ジャンピング、ヒッティング、キッキングなどの基本スキルは、学習され、多くの異なったスポーツの基本的なプレイスキルと結合しながら開発される。言い換えれば、早い年に後年にハイレベルでプレイするために必要な全ての基本スキルと身体的資質の形成と開発をするということである。
アスリートのオールラウンドの開発は、多彩な意志的な資質、筋肉の調和のとれた開発、運動機能の資質、心臓−循環器系、他の身体システムの未解決な能力、動きをコーディネートする様々なスキル、そして全体としての身体的開発に専念させる。
オールラウンドな開発の原則は、完全な身体の概念から来ている。すなわち、全ての器官とシステム、心理学的及び身体的な機能間の密接な相互関係から来ている。トレーニングの結果として、器官とシステムが別々に起こる多くの、そして様々な変化は、常に相互に関係している。これらの変化は、身体全体の活動に見られる。いずれか一つの身体部分の状態や機能、またアクションが変わるとき、もう一つの部分やシステムに効果がもたらされる。これはソ連の人がスポーツにおいて、一方的な準備をすることはなにもないとかたく信じている理由である。一つのスポーツに専門化があるかも知れないが、アスリートは一つの活動においてだけトレーニングすることを意味するものではない。
オールラウンドの開発のレベルを高めることは、専門的な身体的準備を達成するための基本的な土台である。それはまた、テクニックをマスターする上での基礎であり、トレーニング効果の増大は、いずれのスポーツにおいても達成される。したがってオールラウンドの準備は、スポーツの専門的な休養に基づいて、身体的及び精神的構成要素が同時に開発できる基礎である。これは早い年に、特に重要である。オールラウンドの身体的準備の原則は、全ての身体器官に積極的な効果をもたらすために、多くの様々な方法と身体的エクササイズの方法が要求される。このために多年のペリオダイゼーションの最初のステージにおいて、若い選手は後で専門化したハイレベルのアスリートのトレーニングで使われるように、多くの異なったスポーツを教えられる。異なったスポーツは、リラクセーションの一つの方法として使われ、より重要なのはいくつかの身体的、精神的資質を開発する方法として意味がある。
若い選手が多くの異なったスポーツを教えられるとき、それが彼らの永久のスポーツを開発すると言うことを頭に置いておかなければならない。それは一つか2つの学期や数週間の間、一つのスポーツやいろんなスポーツスキルをやることに、危険性はほとんどない。若いアスリートが十分プレイすることを学ぶように、異なったスポーツに十分な時間を提供する。何度も開発は、個人の専門化の時期が来たとき、彼のスポーツを選択するのに困窮することになる。
アスリートが器械体操かバレエ、バレーボールかバスケットボール、陸上の走種目かジャンプ種目、スピードスケートかアイスホッケーなどの中から選択しなければならなかった記録された多くのケースがある。加えて、一つのスポーツ以上に熟達することは、コーチが彼が非常に好きか嫌いであると同時に、アスリートの強い点と弱い点を決定することもできると言うことである。
単年のトレーニング
単年のトレーニングプログラムにおいて、オールラウンドな一般的身体準備もまた、非常に重要な役割を持っている。しかしながら種々の身体資質の開発のために使われるよりむしろ、年から次の年へこれらの資質レベルを高めるために使われる。アスリートが重大なトレーニング(専門化)を始めるまでに、彼はすでに特定のスポーツのために必要な全ての身体的資質を開発されている。彼らは今、望ましい競技のレベルで競争できるために、高いレベルに持っていく必要があるだけである。
例えば、我々は実例として、陸上のジャンパーを使うことができる。最初にアスリートは、スポーツ学校に入れられる前に、すでにある特定の標準に達している。前に確認されたノルマから、コーチは種々のコントロールテストをしなければならないことを知っている。例えば、垂直跳び(腕を使う場合と使わない場合)、立幅跳、スクワット、スクワットジャンプ、メディシンボールの下手投げ、スプリント、加速走など。毎年これらのテストの特定の結果からそれぞれ計画され、一般的な身体準備はそのような改善のために使われる手段である。
これらのノルマの設定や比較目的のための記録を保持することは、意義深いことである。例えば、Brumelは、アクシデントがあるまで、50年と60年代において走高跳びで世界の頂点に君臨した。彼は腕を使った垂直跳びで約90cm跳んだ。Yashchenkoは、数年前にハイジャンプで世界記録を出したが、彼は腕を使わないで110cm跳んだ。
それゆえに、単年のトレーニングプログラムにおいて、一般的身体準備は競技期間や移行期の後、最初のトレーニングステージで全ての身体的資質のレベルを高めるために使われる。その改善は、直線的な形式である。例えば、減少しないで年々徐々に増加する。グラフで提示されるなら、もちろんいくつかの下降と上昇はあるが、その落ち込みは開発の正常な範囲内である。
ここでのポイントは、単年のサイクルでいくらかの身体的資質の大きなロスはないということである。オールラウンドな一般的身体準備の期間におけるアスリートの経験の利益は、その年を通して提示されるか開発され続ける(そのスポーツと準備レベルによって決まる)。競技期における維持と続けられる開発は、アスリートが行ったトレーニングによって通常は達成される。言い換えれば、競技期間のトレーニングは、特に筋力の部分において、いくらかの損失を考慮しなくても良いほどの強度を持っている。
もし競技期間中に、そのスポーツに必要な身体的資質のいずれかが損失されたとしても、補足的な作業はその必要なレベルに戻すためにレベルアップされる。ソ連では、これが最も重要であると信じている。それなしではアスリートは、競技期間中に取り組んでいる能力や資質を開発したり反応することはない。
この良い例は、中長距離ランナーである。ただ知っているだけではそれは解るが、オールラウンドな体力を維持するには、十分ではない。これのために一般的な身体準備は、維持のために競技シーズン中にも続けられる。トップのソ連のアスリートの単年のトレーニングサイクルにおけるオールラウンドな身体準備の試験は、使われた方法の多様性を示す。何度も取り組んだ資質はまた、競技種目と比較して非常に重要であると思われるかも知れない。例えば、ウエイトリフターのためのランニング、陸上のための水泳、陸上のための器械体操、レスリングのためのバスケットボール、チェスのためのサッカーなどである。
もう少し注意深くウエイトリフティングのためのランニングを調べることは、興味がある。特に回復において必要な有酸素能力のベースの開発を助けるだけでなく、無酸素能力の開発と脚パワーの開発にも役立つ。事実、トップにランクされるウエイトリフターは、10−20ヤードの短い距離の加速力とスプリント力は高く、スプリンターと対等に戦える力を持っている。
レスリングでバスケットボールを使うことも非常に興味がある。私は、ソ連のレスリングチームがアメリカと対戦したとき、約8年前一つの状況を思い出す。アメリカはクリニックを持つようにソ連に頼んだ程(彼らの完全な勝利は別として)、ソ連の動きに感嘆の思いが深かった。ソ連は肯定的な返答をして、次の朝、我々はソ連が言った典型的な練習日のためにローカルな大学に行った。コーチが尋ねた最初のことは、バスケットボールのことであった。アメリカ人も参加し、30分間フルコートでバスケットボールを行った。この後、彼らは、シットアップ、プッシュアップ、ストレッチ、ロールなどを含んだ様々なエクササイズを行った。これは約20分間行い、次にソ連の選手はレスリングができる準備ができたとアナウンスした。
それ以降アメリカのレスリングはすごく強くなり、82年の世界選手権ではロシアに次いで2位になった。しかしながらソ連は、さらに彼らのオールラウンドなハイレベルの準備(体重別にメダルを勝ち取ることに加え)の多くの示唆を与えた。マッチの間、ソ連のレスラー(体重190ポンドの選手)は、肩にアメリカの対戦者(体重180ポンド)を持ち上げ、3回回って押さえつけるために背中の方に投げた。
最後にVerkhoshanskyによると、最も高いレベルのスポーツマスターでは、アスリートは筋力、持久力、他の身体的資質がより強い結果として、ベストパフォーマンスが達成されることはない。彼らは「現代のウルトラクラスのアスリートは、スポーツの成功に関して責任がある全ての資質がより高く、比較的均等に開発されている」と述べた。言い換えれば、ワールドクラスのアスリートは、必要な身体レベルを開発されるために、必要な身体的資質を全て持っているだけでなく、最も著しく明白な資質であると思われるものだけではない。
結論として、全てのアスリートのためにオールラウンドな身体コンディショニングの代用はない。その選手の最高の可能性に到達するためには、非常に堅実なオールラウンドのベースを持たなければならない。これには、筋力、持久力、敏捷性、柔軟性、パワーのような身体的資質の全てを開発することが含まれる。そして多くの精神的な資質も必要である。これらの資質の開発は、スポーツの専門化を始める前に必要であり、ハイレベルの専門的なトレーニングができる基礎としての役目がある。それらの資質の開発は、多くの異なったスポーツの使用を含めた種々の多角的な手段によって達成される。このようにすることだけで、アスリートはフルの可能性を開発し、最高の高さに到達することができる。
[NSCA journal 1982.Vol4.No5.を参考]
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