魚住先生に、年末と年始に二度、本校野球部を指導していただきました。それは、何よりも自分にとってすばらしい刺激となりました。
大阪大学硬式野球部は、創部90年という伝統を誇り、1985年には、関西地区代表決定戦・決勝にて近大を破り優勝、関西第一代表として、神宮球場で開催される全日本大学選手権に出場するという輝かしい成績も残しています。しかし、1988年春季に近畿学生リーグ2部に降格してから、今なお低迷し続けております。私は昨年の秋季リーグ戦終了後から監督に就任しましたが、大学生に野球の指導をするには、もっと幅広い知識を持たなければいけないと思い、指導者講習会に参加しました。その講習会で、トレーニングの講座の担当講師が魚住先生でした。
先生は、この講座の中で、我々が子供の頃から教えられてきた常識的なこと、例えば、ゴロ処理は真正面で捕れ! ボールは両手で捕るのが基本! などは誤りであることを理論的に説明してくれました。私は、これには非常にびっくりしましたが、理論的に説明してもらうと、今まで我々が教えられてきた常識が、誤ったものであったということに納得したのです。私にとって先生のこの講座はとてもいい収穫となりました。
大阪大学硬式野球部には、高校時代に各地方大会でベスト8程度に入ったことがある実績のある者も入部してきますが、その反面、大学で初めて野球を始める者も入部してきます。両者の技術の違いは明らかではありますが、分け隔てなく同じ練習をさせていくといった伝統があります。今までトレーニングと言えば、高校時代に実績のあった部員が、高校時代に行ってきたトレーニングをベースにして、それを少しアレンジしたものを行ってきました。ですから、大学で初めて野球を始めた部員にとって効果はあるのですが、高校時代に実績のあった部員にとっては、高校レベル以上を望むことは難しかったわけです。
そのような環境の中で、部員の中に「この練習が効果的な練習なのか? 他にもっといい練習方法があるのでは?」といった疑問がいつもありました。「できれば、専門の先生に教えて頂けたら」という意見もあったため、私は指導者講習会で魚住先生の講座の最後に、先生が「野球の指導していく中で、質問、悩み等がありましたら、URLを教えますので、ホームページに書き込んで下されば、お答えできることはお答えします。」とおっしゃっていたことを思い出し、失礼とは思いましたが、メールで先生に悩みを相談し、無理を承知で、できれば練習を見て欲しい旨をお願いしました。先生には、国立大学ですので、入部してくる学生、練習設備、練習時間等は最低限に限られる旨を説明したところ、「それでは、取り敢えず、一度練習を見させて下さい。」とのお返事を頂き、実際の練習を見て頂いた上で、「これから課題は山ほどありますが、部員のヤル気さえあれば必ず結果は出るはずです」ということで、快く引き受けて頂きました。
初めて先生に指導していただいた日は、さすがに部員も緊張したようで、いつもより動きは鈍かったのですが、先生の説明に対して真剣に耳を傾けていました。普段の練習で私の話を聞く時の姿勢とは全然違い、こんなに真剣に人の話を聞く部員を初めて見ました。今までのウォーミングアップ及びトレーニングは非常に長かったのですが、先生のメニューでは短時間で効果的なものになっています。ただ、部員の中には、子供の頃から、アップは長くやることにより身体が暖まり、それがトレーニングにつながるといった教えを受けている者も多く、それが世間一般にも常識となっているため、最初は「こんな短くていいのかな?何か足りないような感じが…。」といった表情をする者もいましたが、今では、これが阪大野球部のウォーミングアップ及びトレーニングになってきたように思います。
先生の指導を受けたアップ及びトレーニングを始めて、ちょうど10日が過ぎようとしています。部員達は試験期間中で大変ですが、これから、このメニューを着実にこなし、自分の物にして伸びていってくれることを願っています。次回、先生が指導に来られる時には、今のメニューを完璧にこなして、先生に「この1ヶ月の間、しっかりとやっていたな」と言ってもらえるよう頑張ってもらいたいと思っております。
以上
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