- 年下の意地 -
「好きだからに…決まってんじゃん。
ずっと…好きだったぜぃ。俺にとっては…お前だけだった。
ずっと、だけを…見てた…から…っ」
意識が朦朧とする中、の声だけでなんとか持ちこたえれているようなものだった。
まだ、死ぬわけには…いかない。
「やだっ…、なんでそんな事言うの!?
好きだったって…、それじゃまるで、もう好きじゃないみたいじゃないっ…!!
もっと傍に居てよ…。もっと私の事で悩んでよ…っ
お願い…だからぁ…っ」
泣き叫ぶような悲痛な声に、俺は内心安堵する。
嫌われてたわけじゃ…ねぇんだな…。
そう思うと、自然と表情は和らいでいた。
自然と身体の痛みを忘れる事ができた。
「…」
俺はある事を思い出し、を見つめながら名前を呼んだ。
「…うん?」
まだ止まる事を知らないの涙に、そのうち枯れんじゃねぇかと苦笑しながら、
出そうにない声を、意地でも出そうとした。
「…チョコレート…ある?」
ずっと欲しかった物。
を好きになった日から、ずっと望んでいた物…。
「それより今は…っ」
アンタの体の方が…っ。と首を左右に振った。
「いいから。…あるのか…?」
もう…いいや。俺の身体がどうなっても。
だから、最後に…。
「…………あるよ」
小さく呟くようにして言えば、は持っていた鞄から一つの小さめの箱を取り出した。
「食べさせて、くれねぇ?」
無理だとはわかっていても、今はそんな願いを言う事しかできない。
「え…?」
「腕、動かねぇから…」
先ほどから、腕を上げようとしても上がらない。
もう、テニスもできねぇんだろうな…なんて考えると、どっと恐怖が押し寄せてきた。
俺、やっぱこのまま死んじまうのかな…。
「…っ…」
俺の言葉に、は更に傷ついたような表情をする。
お前に、そんな顔させるつもり…ねぇのにさ。
チョコレートを箱から取り出し、ソレを口に含むと俺に顔を近づけてくる。
「ん…」
口移しでの、初めてのチョコレート。
「…上手ぇわ、やっぱ。…ありがとな……。
最後に、お前にちゃんと気持ち伝えれて…よかったぜぃ…」
そう言って、苦笑しながらも遠のく意識の中、にそっと呟いた。
「……愛してんぜ……」
ブン太が焦ったように私の名前を呼んだ時、
私は態と鬱陶しそうな表情をしながら、ブン太の方を向く。
だが次に待っていたのは、私を突き飛ばすブン太と、
突き飛ばされる瞬間に見た、トラックがブン太をはねる光景だった。
私は何かと嫉妬させるのが好きらしく、毎回のようにブン太にやきもちをやかせようとしていた。
素直じゃない…だけなんだけどね。
ブン太の事は昔から好きだし、ブン太が私の事を好きだって事も知ってる。
だから安心しきっていた。
最終、必ずブン太は私の方へと来る。
だから少しくらい、焦らしてもいいだろう。…そう思っていたのだ。
案の定、今までブン太は他の女子が言い寄ってきても断っていたし、
毎年バレンタインの日はチョコを強請ってきた。
だけど今年…、こんな風に終わってしまうなんて…誰が予想してただろう…?
「ブン…太…?」
ぐったりとしたブン太の身体。
私は呆然としたまま、ブン太の身体を揺すった。
「…ブン太ぁっ…!!
私の気持ち、まだ伝えてないのに…!!好きだよっ…私も愛してる…っ。
だから…目ぇ覚ましてよぉっ…!!!」
まだいっぱい言いたい事があるのに…。
自分だけ言いたい事言って、私の言葉は聞いてくれないわけ…!?
「…」
泣き叫んで、力任せにブン太を揺する私に、仁王はやめるようにと私の肩に手を置く。
だが、そんな仁王の行動を振り払って私は声を上げ続けた。
「いやっ…お願いブン太…っ…!
いやぁぁぁああぁぁぁあッ!!!!!」
そしてブン太は……二度と意識を取り戻す事はなかった…。
最後まで後悔しても、後悔しきれない思い…。
私が…貴方以外の人を好きになるなんてこと、できるはずないのに…。
私が…貴方の元へ行けばいいのかな…?
そんなバカな事考えんなって、貴方は怒るだろうけど…。
だけど好きなんだ…、愛してるの…。
私には…ブン太だけなんだよ…っ
…お願い、神様…
もう一度だけでいいから…あの人に言わせて…?
好きです…。誰よりも…貴方の事が…
−あとがき−
ブン太バレドリ…!
いや、前に1日で書き上げたモンなんで大した事ないっスけどもね(ははっ)
今回色々と修正してみました…?
バレンタインで悲恋かよ。って感じですが気にしちゃァいかんですよ。
年上のヒロイン…実は初だったりしなかったりそうだったり…(曖昧)
では、此処までお付き合いいただき有難う御座いました。
他の小説もお楽しみくださいませ。
2007.2.14 雲雀拝