「何暗い顔しとんねん。ワシが凹んどったら可笑しいか?」
そう龍司は俺に問いかけたが、適当な返事が思いつかない。
「アンタとこの”龍”に負け、同じ”龍”をこれからも背負っていくのには辛いモンがあるわ・・・。」
また辛そうな顔をしているのかと思うとやりきれなかった。あんなに憎い相手だったのに。
しかし、龍司は思いの他笑っていた。
いつもの強い目で。
「せやけどなぁ。大吾。次は負ける気がせん。」
龍司は豪快に笑い、また桐生さんに勝負を挑む気でいるらしい・・・。
「お前らしいな。だけど”盃”を交わすんだ。殺し合いになるような勝負は止めてくれよ。」
俺は心底安心した。コイツはもう大丈夫だ。
「わぁっとるがな。只の力比べや。な??」
龍司に背中を叩かれる。
「その前に・・・・。」
「あぁ・・・?なんぞあったか?」
龍司は不思議そうに俺の顔を見た。
「”なんぞあったか?”じゃねぇよっ!!俺との勝負が残ってんじゃねぇか!!!!」
俺は思わず拳を上げた。勿論殴る気なんてなかったが。
「あぁ〜あ・・。」
俺は大きくため息を付いた。
「なんや?言うてはみたが、負けるのが怖なったんか?」
手を叩いて笑うとこじゃねぇだろ!??
「違う!!只、凹んでるお前見てるのが気持ち悪いから、安心しただけだよっ!!!」
何、言ってんだろ?俺・・・。
恥ずかしいから、こっちを見るな。
「ふ・・ん。言うてくれるわ。」
龍司は俺の肩を抱き、「もう一杯やろか?」とグラスを傾けた。
この日から、会えば一緒に呑む事が多くなった。
あの時、最後に龍司が、
-----おおきに。------
と、ガラでもない言葉を残したからだろう・・・。
→