ふと、龍司の方へ目を向けると其処には、あの時見た刀が立てかけてあった。
「なんだよ。お前・・・。
そんな物騒なもの、いつも持ち歩いてるのか?パクられるぞ。」
今、そんなもの必要あるか?意味が分らない。
「あぁ・・。分っとる。
せやけど、これはワシにとって大事な品物(シナモン)や。」
そう言い、苦笑する。
「・・・大事?」
そんな持ち歩く程のものか?
「そや・・・。
オヤジが・・・オヤジがワシにくれた唯一の品物や・・・。」
刀の鍔には金色の龍が施されていて、龍司によく似合っていた。
「形見代わりか・・・」
また、余計な事を言ってしまっただろうか?
「まぁ、それもあるがガキん時から好きやった刀でのぅ。これが欲しゅうて、ようオヤジ困らせとった。これをもうた時は嬉しかったわ。」
「そうか・・・。」
そして、龍司はこうも言った。
「この刀の『龍』を見て、子供ながらに将来、背中には『龍』の彫物(ホリモン)をするって決めとった・・・。」・・と。
なんだ、こいつ意外と普通に郷田会長、いや父親の事想ってたのか?本人はそれに気が付いていないのか?コイツの不器用さに笑いが込み上げる。
「な・・・・何笑ろとんねん!!!」
焦って問い詰める龍司が何だか意外と可愛らしい。
「何でもねぇよっ!!」
意外な一面を見て得をした気がした。
本当のコイツはどんなヤツなのだろう?
また、コイツと呑むのも悪くねぇな。






『形見』