世界の窓

このページでは海外で現在活躍されているビジネスマンや暮らしておられる方の生の声を、掲載しております。
現在、海外で滞在されている方で、その国について、レポートして下さる方、広く募集いたします。

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◆ 海外特派員:鈴木 貞一郎(Suzuki Sadaitirou)


1970年千葉県生れ。1990年よりアメリカにわたり、マサチューセッツの州立セイラム大学を
御卒業される。御卒業後ボストンで出版社にお勤めになり、95年アジアの世紀を信じ、神戸の大震災を期に
日本人観を求めボランティアに参加される。その足で中国に渡り、今に至る。
現在されている御仕事は、広告会社デザイナーと、上海での日本語情報誌などを発行されている。

Homepage:http://jc-network.com

E-mail : suzuki@public.sta.net.cn


(97/12/3 中国・上海レポートより)

◆ 上海の空から

上海の環状高速をタクシーで走っていると見渡す限り建築中の高層ビル がぼこぼこと立ち並ぶ。風に吹かれながら見るその光景は、自分がどこ にいるのか分から なくなる。ここは東京か?それともニュー ヨークか?とも感じる。急速にそして 破壊的に建造されるここ 上海は分刻みにその外観を変える。高速道路から見る摩 天楼は 偽りなのか?それとも実体なのか? 今、一つだけ言えることがある。 後 戻りは出来ない。一度受け入れたそれに翻弄されながらも確 実に前進していく。 それについていけない者はただ取り残さ れ、それについていく者の踏み台にな る。  


摩天楼の下では何十年も変わらない、上海人の現実の生活がある。市場 では1 元、2元の値引きで言い争いになるそんな生活である。 鉄くずを集めてまわった り、坂の下で荷台を押して1元2元も らう小僧がいたり、また市場では、大きな マントウは5角(7 円)、ラーメン3元(50円)、みかん500g2元(37  円)、それにバスの料金は先払いで5角(7円)。一般的な生活であ る。しかし バスの乗車に押し合いへし合いをしているその横 を、若い上海人娘がレクサスの ハンドルを握り、ゆうゆうと通 り過ぎていく。確実に高速から見える世 界も存在している、と 同時にその下の高速から見えない世界も確実に、いやそれ が大 多数を占め存在している。それがぐちゃぐちゃに隣り合わせ、しかし水 と油 の如く決して交わることはない。そんな世界が現在の上海 の本当の姿だと思う。