世界の窓

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◆ 海外特派員:EMU


現在、オーストラリア・シドニーに在住されており、PC分野で御活躍されており、
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(98/12/31 オーストラリア大陸・シドニーからの便り)

◆ 今年のオーストラリア・1998年 5大ニュース

1.第二期ハワード政権発足

オーストラリアの人たちが小渕恵三という名前を知らないように、日本の人たちはジョ ン・ハワード(首相)という名前にあまりなじみはないでしょう。1996年に13年続 いた労働党政権を破って、自由党・国民党連合政権の首相となり、今年の解散総選挙に僅 差で勝って第二期政権をスタートさせました。 今回の選挙の争点はGSTという消費税の導入でした。どこの国の国民も新しい税金は嫌 いということでGST導入を公約として選挙に勝てるかと注目されましたが、選挙前に比 べて議席数差は大きく縮まったものの政権を確保し、2001年に消費税の導入がほぼ確 定ということになりました。

この選挙では、人種差別発言で物議をかもしたポーリン・ハンソンのワンネーション党が 大きく敗退したことも注目される結果でしょう。

2.8カ月に渡る港湾労使紛争

長年労働党政権が続いたオーストラリアでは労働組合の力が強く、激しいストライキがよ くあります。今回は労働組合に管理を握られて低生産性に苦しむ港湾荷役会社が組合つぶ しを図ったことから、8カ月に渡る激しい労使紛争が展開されました。最終的には双方が ある程度譲歩して和解しましたが、雇用者側のパトリック社がかなりの合理化に成功した といわれています。保守政権政府は全面的に雇用者側を支援しており、これも労働党政権 から保守政権への流れを示す結果といえるでしょう。

3.ビクトリア州のガス爆発事故

多分日本ではそれほど報道されなかったと思いますが、メルボルン(ビクトリア州)にあ るエッソの天然ガス工場で大きなガス爆発事故があり、長期に渡ってガス供給がストップ。 これを動力源とする工場なども操業停止を強いられ膨大な損害を出す事故となりました。 完全に回復するまでには1年以上を要するということで、次の冬のピーク時の暖房確保が 懸念されるという話もあります。

4.シドニー水道水汚染

これは日本でもかなり報道されたようですが、シドニーの水道水からジアルディアという 寄生虫が発見されたということで、生水は飲まないようにという注意報が出されました。 実際に下痢を起こしたという人のニュースはあまりありませんでしたが、ミネラル・ウォ ーターが売り切れたり、観光への影響が懸念されたりということで大きな話題となりまし た。

最終的にまだ原因が解明されていないとのことで、オリンピックを前に不安が残っている ようです。

5.共和制移行憲法会議

「オーストラリアは囚人の国」とよく言われてますが、イギリス国王を国家元首とする立 憲君主国であるということはご存知でしょうか。他の国の国王が国家元首ということでは 国としてのアイデンティティーがないという共和制移行支持者と、イギリスを母国とする 伝統を維持したいという君主制支持者とが議論を重ねて来ました。

今回の会議では、国家元首の代理である『総督』を『大統領』に置きかえるような憲法モ デルで国民投票を行うことが決定されました。

この決定を受けてハワード首相は、1999年中に国民投票を行うと発表しており、これ によりオリンピックの開催宣言をエリザベス女王かチャールズ皇太子がするか、新しいオ ーストラリアの大統領がするかが決まりそうです。