世界の窓

このページでは海外で現在活躍されているビジネスマンや暮らしておられる方の生の声を、掲載しております。
現在、海外で滞在されている方で、その国について、レポートして下さる方、広く募集いたします。

  fineview@hotmail.co.jp

 
 

◆ 海外特派員:森熊(もりくま)


杜の都・仙台出身。現在、奥様と3人のお子供様(1998年2月現在、4才、3才、2才) と共に
タンザニア国ダルエスサラーム市に在住されています。アフリカに滞在せれるのは、今回が2回目だそうです。
前回は、89年1月から91年1月までの2年間、マラウイ国ゾンバ市に滞在され、
今回のタンザニア在勤は97年2月からされているようです。

特技は水泳。七つの海で泳ぐことが目標で、すでに北大平洋、南大平洋、イ ンド洋、南大西洋の4つは
クリアされている。問題は残り3つの内、北極海と南氷洋だそうです。

お名前の「くま」は、スワヒリ語ではとてもエッチな言葉なので大きな声では言えない。とのことです。

現在、日本に帰国されています。
 

Homepage: http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Namiki/7091/

E-mail : qumazou_morino@geocities.co.jp


(98/1/20 タンザニアレポートより)
 
 

◆ タンザニアの季節感
 

「君、今度、長期の出張に行ってくれ。」
「長期って、どのくらいの期間ですか?」
「いや、ひと夏だけだよ。」
「はい、わかりました。」
出張先は一年中真夏の南国だった・・・

そんなジョークがあるように、赤道近くの熱帯地方は一年を通して暑いところです。 百恵ちゃんの歌のような「ひと夏の経験」をしようとしたら、一生かかってしまいます(笑)。 タンザニアも南緯1度から約12度の位置にあり、気候的には熱帯サバンナにな ります。

しかしながら、海岸地方と内陸の高地ではまったく違う気候ですし、 タンザニアの象徴でありアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山の頂上付近には 半恒久的な氷河すらあるのです。

キリマンジャロの季節感を述べても仕方がないので、 ここでは森熊が住むダルエスサラームについてのみ書いていきます。

ダルエスサラームは、インド洋に面した海岸地方で、日本のような四季はなく、 3月から5月の大雨季と12月の小雨季、そしてその間の乾季とに分かれます。 タンザニアは南半球なので、乾季、特に7月8月は比較的涼しくなります。 気温としては東京の初夏(6月半ば過ぎ)と同じくらいです。 雨季はジメジメしていて、気温以上に体感温度は高いです。 どちらにしろ、太陽は高い位置にあるので、昼間の日射しは強いです。 ここに住むある日本人は「ダルエスには夏と真夏しかない」と叫びました。

そんな夏だけのところでも、雨季と乾季があるおかげで、多少の季節感はあります。 小雨季が終わる頃からマンゴ、パパイヤ、パイナップル、スイカ、ココナツなど 日本でも知られてきた果物に加え、ランブータン、マンゴスチン、チェリモア ジャックフルーツなど、熱帯の果物が豊富に出回ります。

また、熱帯の花々も派手な色合いを競うように咲きほこります。 これら熱帯の派手な色の花々を見ていると、日本の桜の淡いピンクが 何かさみしい色にも思えてしまいます。 特に12月には、ホウオウボク(鳳凰木)の真っ赤な花が街のあちらこちらで 見られます。 ホウオウボクはタンザニアではクリスマス・トゥリーと呼ばれます。 クリスマスの時期にいっせいに咲き出すからです。 日本でクリスマスツリーと言えば、モミの木にいろいろな飾りを付けたものですよね。

季節感と行事というのも切り離せないものです。例えば祝祭日。 日本なら、元旦、成人の日、春分の日、こどもの日、敬老の日、秋分の日、 体育の日など行事と季節感が重なるものは多いです。 タンザニアではどうかというと、大きく分けると宗教的なもの(イスラム教及び キリスト教)と政治的なものとに分けられます。 まず、キリスト教の祝祭日としては、イースターとクリスマスがあります。 イスラム教のものには、ラマダン開け、巡礼祭、モハメッド誕生日があります。 政治的なものでは、ザンジバル革命記念日、タンザニア統一記念日、農民の日、 労働者の日(メイディ)、国際貿易の日、独立記念日そして元旦があります。

ではこれらの祝祭日に、成人の日の晴れ着や、こどもの日の鯉のぼりや、 体育の日の運動会のようなものがあるかというと、基本的にはないです。 確かにラマダン明けなどでは多少騒ぐし、国際貿易の日にはショーを開くし、 イースターエッグも一部では作っているけど、季節感というものではないです。 教会やモスクに行ったり、大統領などの演説があるくらいです。

国民の祝祭日以外にも季節感を感じる行事として、日本でなら、桃の花の 「ひな祭り」、桜と言えば「入学式や花見」、夏には「田植えに盆踊り」、 秋は「紅葉狩り」、冬は「年の市や初もうで」などいろいろとあります。 でもタンザニアではそういった行事は皆無に等しいです。

唯一、季節感があるのはクリスマスです。 12月に入ると、出身地に帰る人々が増え、そのお土産のための買い物客が 増え、メリークリスマスの飾りが街中にあふれ、泥棒も増えます。

こういう国で暮らしていると、メリハリが少なく、なんとなく一年が過ぎてしまうようです。 日本という国の、土地のありがたさがよく分る、貴重な時間ではあります。

 

(98/1/30 タンザニアレポートより)
 
 

◆ 観光地としてのタンザニア
 

Q.観光地としてのタンザニアは、いかがお考えですか?夏、登山・ハイキング、冬 のスキーなどは
 出来るのでしょうか。?値段は安いですか。?人は、日本と比べて、親切ですか。など、ご意見、
 お聞かせ下さい。

タンザニアと聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。 ライオンやゾウなどの野生動物、ヤリを持ったマサイ族、ジャングル(?)、砂 漠(?)、そのようなものではないでしょうか。マラソンのイカンガー選手を思 い浮かべる人もいるかもしれません。 いずれにせよ、タンザニアと聞いて具体的なイメージが浮かぶ日本人は少な いと思いますし、観光目的だろうが何だろうが、タンザニアを訪れたことの ある日本人は極めて少ないです。

もちろん、タンザニアの観光の目玉は野生動物です。タンザニアに観光に来る人のほとんどは、動物ウォッチングのサファリが目的です。 しかし、そのサファリのほとんどはケニアとのセットになっています。 しかも、サファリというとケニアを先に思い浮かべる人が多いと思います。 実際、ヨーロッパからタンザニア行きの飛行機のほとんどは、ケニアの主都 ナイロビを経由しており、ほとんどの乗客(観光目的であれ、ビジネスであれ)はナイロビで降りてしまいます。

しかし実際は、野生動物の数ではタンザニアの方が多いですし、自然も豊か ですし、本来のアフリカを楽しみたいのであればタンザニアの方が良いと思 います。ではなぜケニアなのかと言うと、食事や交通事情やホテルの質やサ ファリや民族ダンスの演出といったマネージメントやインフラの面でケニア の方が数段上回っているからなのです。

実際、タンザニアにはユネスコの世界遺産として 1) セレンゲティ国立公園、 2) キリマンジャロ国立公園、3) セルー・ゲーム・リザーブ、4) ンゴロンゴ ロ保全地域、5) キルワ・キシワーニとソンゴ・ムナラの遺跡、の5ケ所が登 録されていて、その上記のうちの 1) から 4) までは野生動物の世界です。 ちなみに、ケニアには世界遺産登録がされているところはありません。

次に、動物サファリ以外の観光ですが、タンザニアにはアフリカ大陸で最も 高く、美しいキリマンジャロ山があります。そう、あのキリマンジャロ・ コーヒーのキリマンジャロです。この山もケニアにあると思っている人が多 いのですが、ケニアとの国境近くにはありますが、実際はタンザニアにある のです。

ほぼ赤道直下にあるというのに、キリマンジャロの山頂付近には「氷河」 が、それも半恒久的にあります。 キリマンジャロの登山はけっこう盛んに行われています。標高は5895mと富士 山よりも遥かに高いのですが、全体としてはなだらかで、登山家でない一般 の女性でも頂上に達することができます。ただし重い高山病にかかりさえし なければの話ですが。 高山病はさすがにきびしく、健康で若いスポーツマンの男性でも、まったく 動けないという状態になったりします。ところがあまりスポーツをしていな いような人でもわりに平気な場合もあります。高山病に罹るか罹らないか、 重くなるか軽くてすむか、人によるみたいです。

では、氷河があるならスキーができるかといったら、冒険家ならやるかもし れませんが、まあ、ふつうの人では無理でしょう。季節にもよりますが、一 番低いところにある氷河でも標高4600mくらいで、そこまで高山病に悩まされ ながら板を担いで「歩いて」登らなければならないのですから。

他の観光といえば、人類発祥の地とも呼ばれ約二百万年前の人骨が発見され たオルドバイ渓谷、マフィア島などの珊瑚礁、白い石造りの壁が印象的な奴 隷貿易時代の古いアラブ建築が残るザンジバル島、15世紀頃に栄えていた黄 金の交易都市キルワの遺跡、などいろいろと見るところはあるのですが、日 本からわざわざ来る人はほとんどいないです。

アフリカに対するなじみは薄く、偏見もあるだろうし、いざ来ようと思って も直行便はないし遠いので面倒だし時間もお金もかかるし、病気や衛生面も 心配だし…といろいろとあるでしょう。 実際に来てみるとそんなには遠くないし、思ったよりは大変でもないです。

タンザニアの側、つまり観光客を受け入れる側から考えたらどうでしょう か。これといってたいした輸出産品のないタンザニアでは観光は重要な外貨 の獲得源です。ですから観光客が増えることは政府にとっては喜ばしいこと です。 ところが、政府には十分なお金がないので、道路や空港を整備したり、外国 人客が喜ぶようなきれいなホテルや商店を誘致したり、先進国で大々的な観 光キャンペーンをしたりすることができないのです。

それにタンザニア人の収入はとても低いのです。一般的な公務員の「月給」 は日本円にすると約6,000円です。もちろん、もっと安い給料で働いている人 は大勢います。そんな中に、観光客が外貨をばらまいたらどうなるでしょう。 観光客を狙った犯罪が増え、貧富の格差が拡大し、自国産業は伸びないし、 なんてことになるかもしれません。

でも、設備も何も整っていない、観光客は少ない、自然が豊かだということ は、逆に「ワイルド」なことがウリになるかもしれません。 ワイルドな旅をしたい人は是非タンザニアにお越し下さい。 ちなみに、「サファリ」とは、スワヒリ語で「旅」を意味します。