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世界の窓

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【 スイス・バーゼルレポート VOL.11】

井浦 幸雄氏



◆ がんばれ・長引く不況化の日本(?) 

わたしのお世話役をしているスイス日本サイバーグループに最近東京在住のOさんが入会してくださった。有力なOさんのコメント「わたしもインターネットフ可能性には早くから注目しておりまして、何とかこれを使って個人レベルの世 界連携ができないかと模索しているところです。スイス日本グループの皆様のようなすばらしい方々が一億総意気消沈している日本に元気をとりもどすような何 らかの動きの先駆けになっていただけますことを陰ながら切望するものであります」  

外から見ると長引く不況の今の日本は過渡期にあるような気がする。右肩上がり の高度成長期からいわば落ち着きのある低圧経済期に移行しているように見える。いち早くダイナミックな経済を取り戻したいという気持ちは、わたしには痛 いほどわかるし、はやくそうなってほしいとわたしも熱望している。しかしながら、どうあがいてもこうした不況はここ当面変わらないのかもしれない。それな らば、開き直っていっそ低圧経済のポジティブな側面を見据えてはいかがであろ うか。

  日本ではバブル崩壊のあと、企業倒産が増え、雇用不安からみなの財布のひもがますます固くなり、これが消費不振、設備投資減退につながるという悪循環にお ちいっているのであろう。たのみの財政投資も極端な赤字傾向、投資内容に対す る不信からまえほど思い切って打ち出せなくなっている。頼みの官庁も、接待疑 惑、官民癒着にたいする批判から動きにくくなっている。社用費きりつめ、交際 費自粛、天下りに対する抵抗などの動きが次第につよまる現状では、全体が萎縮 し、意気消沈するのも無理からざるものがある。しかし、言い換えて見れば、こ うした今の日本のような状況を少なくとも西ヨーロッパの国々はかなり長い間続 けてきたわけであり、達観すれば今までの日本が異常で、これでやっと普通の国 になってきたとも言えるのかもしれない。  

今の日本で強いてポジティブな面をあげると、いろいろなことがあるのではない か。 ひとつは国民の蓄積が厚味を増してきており、所得の伸び、成長率はたかくはないが、多くの人がモデストであればそこそこの生計を維持することが可能となっ ている。大学を出て、フリーターと称し、若者がぶらぶら出来るのも親に若干のゆとりがあるためだろう。 二つ目はこのような低圧経済では、弱い立場の人々にやさしい社会がうまれる可 能性を秘めている。物価が安定気味、ないし下方圧力が働いている状況ではそれ ほど蓄えもなく、年金だけに頼っている人にはそう悪い状況ではないに違いな い。

それに、高度成長で工場からもくもくと煙が立ち昇り、トラックが排気ガスをま きちらし、走り回っているときにくらべれば、低圧経済のもとでは、大気汚染、 水質汚濁の面でその悪化のテンポがすこしやわらぐのではないだろうか。 会社で残業がすくなくなって、夕方7時ごろ多くの人が家に帰り家族と食事をと ることがそれほど悲惨なことなのだろうか。60歳前後の人が、リストラということで、退職生活に入ることがそれほどこまることなのだろうか。日本の現状で は常に走り回り、汗をたらして、働いていたむかしの惰性が残像のように残り、 一抹のさびしさを感じているのかもしれない。会社の金を使って、接待にあけく れるような生活は接待するほうもされるほうも、正常な生活とは思えない。ひと が落ち着いてものを考え、親しい家族、友人と団欒・交流の日々を送るにはそれ ほどお金がかからないと思うのだが、いかがなものだろうか?  

低圧経済のもとでみなが豊にくらすにはいままでの成長一辺倒の意識から、落ち 着いた思索の時を迎えるように考えを切り替えるべきだろう。本当に、みながみ な残らず大学に進学しなければならないのだろうか。本当にみながみな、優秀な 成績を修め、大蔵省にはいり、退職後の天下り先をさがすようあがく必要があるのだろうか。今にして思えば、陶器を作ったり、かごを編んだり、人形を作ったり、いわば手 に職を持つ人々が、実は豊かな人生を送っていた事に、多くの人が気がつき始め ているのかもしれない。結局、コロンブスの卵ではないが、日本人がんばれと鞭打つのではなく、日本の現状が落ち着きを取り戻した本来の姿と開き直って肯定するのが、新しい日本の 出発点になるようの思えるのだがいかがなものだろうか。不満がまったくなくは ないが、西ヨーロッパの人々はこうした低圧経済をかなり長い間甘受してきた。 日本の人々が世界には多くの同病の人々がいることに思いをはせるのは、そう悪 いことではないような気がする。 (以上)

 (98/ 9/29 ライン随想録・スイス・バーゼルレポートより)



◆ 地元新聞・Basler Zeitung 訪問記

 

スイスでは言語がドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語と4つに分かれているので日本のような全国紙は存在しない。ジュネーブ、チューリッヒ、 ルガノ・ロカルノではそれぞれの地元紙が仏、独、伊語で発行されている。わた しの住んでいるバーゼルはドイツ語圏であるので、地元紙Basler Zeitung(バー ゼル時報)はドイツ語で発行されている。月―土発行の朝刊だけの日刊紙で一部2 スイスフラン(約180円)、カラー刷りで、60?70ページのものである。

9月16日(水)約20名弱のバーゼル日本人会メンバーの参加を得て、Basler Zeitung社の見学にでかけた。午後5時から約一時間半の同社内見学であった。Basler Zeitung のMarkus Peterさんが、スライドによる説明のあと、編 集、印刷、発行などの各部を案内してくださり、参加者から活発な質問がだされた。

BZ社はBasel地区唯一の日刊紙、発行部数は約17万部。バーゼル地区の総人口が郊外をふくめ、30万人ということなので、バーゼル市以外のスイスで購読して いるひともかなりいるようだ。スタンドうりは約6000?7000部。このスタンドうりはスイス航空墜落事故、ダイアナ妃の交通事故のような大きなニュースのときには大幅に増刷するようにしているという。BZ社の調べでは読者が一日 にBasler Zeitungに目を通す時間は平均やく10分にすぎないという。同社の収入は広告6割、購読料4割ととのこと、Markus Peterは5割・5割が理想という。日本の大新聞は広告収入が収入全体のどれほどをしめるのだろうか? 記事 の内容が不満で、広告主が広告掲載をとりやめたりすることがときたまあるが、 記事の内容をそのために変更することはしていないという。

面白いのは、署名入りで書く、ジャーナリスト一人一人が記事の内容に全責任をもち、誤字脱字を校正係りが訂正することはあっても、上司が内容をチェックす ることはまったくないということであった。120人のジャーナリストは、専属が 半分、フリーランスが半分とのことだった。記事の内容が公正であるか否かを後 ほど検討し、ジャーナリストを解雇するかどうかは当然マネジメントが考える問 題とのことである。BZ社は小規模の新聞社なので、ワシントン、ボン、パリ、ロ ンドンには特派員がいるが、それ以外は提携先から記事提供を受ける仕組みになっているという。

編集作業はMACのコンピュータのみを使い、衛星通信網を駆使して迅速におこなわれている。通常午後11時半、原稿締め切り、第一版は午前2?3時から印 刷・発送が行われる、遠隔地から配送し、同社の近隣地区には最終版が配布される。小生宅では朝6時前後には配達されているようだ。当然、ビッグニュースが入ってくるときには印刷しながら、記事の内容を更新した版に切り替えていく。 同社の最新鋭の印刷機は17万部の印刷を約一時間半で仕上げてしまう。のちの アイドル時間を利用して、各種印刷物を手がけている。Basler Stab(広告誌) の印刷、薬品の注意書き、ワインのラベル、各種宣伝用パンフレット印刷も行っている。

最新の技術の進展に対応し、インターネットでの情報発信(http://www.baz.ch)も行っている。しかし、紙媒体での発行は決してなくならないと いう。ジョークではあるが、湿った靴を乾かしたり、窓ガラスを拭くには、新聞 紙がぜひとも必要という顧客の要求が強いらしい。同社はまた、バーゼル地区文 化の振興に寄与しようと若手芸術家の絵画・デザインなどを大量に購入して、社 内各所に展示している。PR活動も実に活発で、今回の見学も実に丁寧・親切であった。見学後にはジュースとワイン、スナックが提供されるといったぐあいでいたれりつくせりであった。

日本では、休暇なので家にいないときには、新聞が戸口に放置されることがよく あるが、Basler Zeitung の配送では、手紙か電話なりで、いつからいつまで、配送停止をして下さいと頼むと、その分が停止され、料金も調節してくれ る。午後6時までに通告すると翌日以降の配送分を処理できるそうだ。印刷、配送担当のセクションにもただちに連絡が行くようである。やや手間がかかり、コ ストもかさむようであるが、おたがいの無駄を考えると必要な手続きのような気がする。

われわれスイスに住む日本人は日本の新聞はロンドン・アムステルダムで印刷されているとは言え、個人で購読することは料金的にむつかしい。企業ベースのも のを家族にも回覧するとかするが、やはりインターネット・ベースの日本語メデ イア情報が迅速で、コストも安くかなり助かる。

考えてみると、200万人―300万人といった読者数を相手にしたマスメデイア新聞のうちわれわれは何パーセント位の記事を読んでいるのだろうか?4?5パーセン ト以下かも知れない。これからは、自分の趣味、関心に合致したメデイアだけを 選択することになるのかもしれない。ミニミニ・コミ誌、ミニミニFM放送局、な どが意外に関心をあつめそうである。最近、NiftyのMackyというミニ・ニュースレター媒体が新発足したが、深水さんのMagMag通信につづくニュースレター発行媒体として注目している。

昔は個々人のニーズに対応するようなメデイア媒体が発展しておらず、おおきな 投網をなげるような新聞、雑誌、TV、ラジオの情報提供であったが、インターネ ットの進展によって自分のニーズに合うような情報、言語、媒体を選択できるようになってきているようだ。

Basler Zeitungも単に紙媒体の新聞発行だけでなく、CD-ROMによる電話帳発行、デジタルフォームによる情報提供、などいろいろな新方式を研究しているようであった。上に述べたようなBasler Zeitung社見学記を9月18日発行のバーゼ挙本人会会報に写真つきで掲載し、案内役のMarkus Peterに送ったところ、 同社の社内報に転載したい旨の申し入れがあった。

 (98/ 9/20 ライン随想録・スイス・バーゼルレポートより)




◆ インターネットとわたし (その5) WIN98J・CableTV/LAN

 

1995年頃からこのライン随想録を書き始めて約3年が過ぎた。インターネットと わたし・シリーズも今回で5回目である。ホームページ http://plaza4.mbn.or.jp/~yiura/ で以前のものをご覧いただきたいが、一回目 は概況、二回目は電子メール、三回目はブラウザー、第四回目はモービル通信環境について書いた。 今回はWIN98J, CableTV/LANについてである。

わたしのちょっとユニークな点はスイス・バーゼルに住み、自宅で日本語環境のコンピュータ通信をしていることであろう。1989年にスイスに移り住んでから、 94年頃までは、英語・ドイツ語環境の機械でCompuServeにアクセスしていた。 1995年初から、SWITCHという学術プロバイダーを通じインターネットへのアクセスが初めて可能となった。96年初ころから、英語でのhomepagesをつくったが、96年6月頃からDOSV機Gateway2000Solosを利用し、日本語環境での交信、HPツくり、グループつくりが可能となってきた。Win95Jが利用可能となったのもこのころからである。96年半ばから、「ライン随想録」をホームページに掲載し、 ニュースレター、メールリストを通じグループ作りに熱心に取り組んできている。「スイス日本サイバーグループ(メンバー数・約110人)」「新日本ユーロ ネット(メンバー数・約90人)」「平成つれづれ草・エッセイグループ(約30 人)」を主催しているほか、前の職場のお仲間グループ、大学時代の友人グループ、それに50歳以上のシニアの会にも入れていただいて、交流をさせていただい ている。

最近の変化としては、以前スイスで購入し英語・ドイツ語環境で使っていたIBM 互換・デスクトップ機にWIN98(J)発売を契機にこれをインストールし日本語環境 に変えたことである。日本から日本語用106キー・キーボードだけ購入し、設置 したところ、日本で機械を一式買ったのとまったく変わりがなくなった。98年7月から、バーゼルでもBALCABというケーブルテレビ局がインターネット接続をは じめた。この高速アクセス・スピードを生かすべく、すでに5年ほど経っている デスクトップ機のマザーボードをIntel/MMX/233MgHのものにアップグレードして もらい、ハードディスクも1Gbytesをもうひとつ付け、2Gbytesにしてもらっ た。Win98では以前しらなったがFAT32というものを利用した圧縮技術をつかって 実質的に倍増の4Gbytesの容量を確保することができた。ケーブルテレビ利用の アクセススピードは回線の状況にもよるが、ISDNも含めたダイヤルアップ接続の 10倍にも達するといわれており、かなり速い。24時間連続接続していても、料金 は変わらないし、電話・ファックスとの競合もない。動画、ビデオ、FM放送の流 し聞きも可能となり、バーゼルにいて、東京で住んでいるような感覚を味わって いる。ケーブルテレビ網を使ってのアクセスはLAN接続ということで、ゆくゆく はサーバーとしての利用も展望できそうだ。

以前からのノートブックの使用負担がかなり軽減され、日本でハードを購入する インセンティブがかなり軽減された。ノートブックは本来の使用目的である旅行 時の携帯電話を使ってのネットアクセス(9600bps)、などデスクトップが使え ない環境での利用が主体となってきた。こうしてみるとデスクトップが割安で入 手でき、アップグレードも現地ベースでできるので、日本で日本語環境の高級機 を買ってくる必要はなくなってくる。欧州で日本語環境の機械の設置を希望する 人のお手伝いもできるような気がする。

WIN98Jをインストール後、ブラウザーとしては、ネットスケープ・ネビゲーター 4.50、.InternetExplorer, 4.01を併用している。前から利用していたので メーラーはネットスケープ、サーフィングはIEを多く利用し、混在させている。 随分便利になったものと感動している。多くのところでお世話役をしているので、一日に200本以上のメールをいただくが、HOTMAIL、EXCITEにおけるようなブ ラウザーべ?スのアドレスを使ったり、メーラーでの別ファイル処理をしたりして、メールをうまく分類し、優先度別にわけて対応している。

こうした自宅でのコンピュータ通信の実験、研究はオフィスのIT技術進歩とも対応しつつ進んでいくのであるが、職場内LAN・イントラネットの構築などにユー ザー側の意見を反映させるため少なからず役にたっていると思う。  

今、先にのべた、スイス・サイバーグループなどのグループつくりに加え、バーゼル日本人会のお世話役(会長・メンバー約250人)をしているので、お仲間と の連絡・調整が大変である。これには、パソコン通信による迅速な意思疎通が重要となってくる。この便利さがわかってくればわかるほど、自宅ハード・ソフトのダウン、Inetプロバイダーのダウンがこたえるようになってきている。致し方 なく、誰でもそうであろうが、あらゆる場面で二重のパラレルランができるよう なシステムをできるだけ構築している。プロバイダーもバーゼルのMagNetと BALCAB、バーゼルを離れるときには、IBM.NET、東京ではDreamNetで接続している。ホームページのサーバーもDreamNet、Netlaputa,に加え、アメリカのTripod のものも20MG程度のスペースを確保している。旅行中には日本でも欧州でも携 帯を使いどこからでもアクセスができる。ハードの面ではさきほど述べた、デス クトップとノートブックが、双方日本語環境の元で補完できるようになってい る。両方の機械ともネットワーク・アダプターがつけてあり、ケーブル接続もダイヤル接続も可能である。また、ブラウザ?もNetscape・IE双方を常時・利用可能に維持している。ホームページを維持するためのHTMLエディターもFTP送信機 能も極力、複数設置するように気を使っている。  

現在のところ、メールリストを有料・無料を含め6つ、ホームページを4つ、運営しているが、メールリストは自動登録・脱会の手続きができるようにすること が便利と考え始めている。ホームページの更新も大変であるが、ボランテイアーのお仲間と、協力しあうとかなりスムーズに行くような気がしている。
 
結局、インターネットを利用し始めて約3年半になるが、この間の進歩には目覚しいものがあり、あらためてそのスピードに驚いている。以前は面識のなかった 方から、スイスに仕事、留学で移り住むことになったとか、情報を与えてほしいなどという連絡が多く入り始めている。また、スイス・欧州、日本でのお仲間との交流もネットを通じ深まってきている。時間、距離を越えてきわめて低コスト で、迅速に情報を交換できることが、ネットの特徴、利点と思う。98年の最近になり始めて、WIN98の導入、ハード価格の低下などから、映像(スチル・動 画)、音声、を使っての交流が現実のものとなってきている。インターネットを 使い始めて、それまでとの変化は、新聞雑誌のような媒体が前ほどの重要度を持たなくなってきたことである。また、テレビに割く時間も減り始めた。21世紀 には、アナログ型のテレビ、ステレオはそれほど使われなくなるのではないだろうか?

わたしのようにINETでの経験がかなり長いものでも、E.コマースはそれほど利用していない。CD-ROMを購入したりするくらいだが、安全性などの条件が整い、か つ価格もかなり有利になれば利用してみたいものと考えている。

また、Internetをつかっての交信は、電子メールのやりとりだけでなく、パソコ ンから相手のFAXへの送信が楽にできる点が便利である。日本国内ではパソコンから手紙の送信もできるらしい。

最後に、ここ数年のうちには極めて低コストで容易に個人がパソコン通信をできるような環境ができるものと確信している。そうすれば、ネットワークを通じ て、若年層で満足のいく仕事を持っていない人、小さな子供がいるため外に働きにいけない主婦、60歳以上で意欲と能力がありながら仕事を得ていない人のきめこまかな能力発揮が可能となってくるような気がしてならない。

(以上)

 (98/8/24 ライン随想録・スイス・バーゼルレポートより)



◆ 地球環境にやさしい生活

 

残暑見舞い申し上げます。今年の夏は日本も天候不順で、稲や農作物に対する影 響が心配になっていると聞いております。本日は地球環境に配慮した生活などについて考えをまとめてみたいと思います。

それにしても、人が生活していくだけで、ごみを発生させ、二酸化炭素をまきちらし、地球温暖化に拍車をかけていることは、ある程度しかたがないとはいえ、 困ったことだと思う。少し、考えをめぐらすだけで、幾分、ごみ・排気ガスの発 生を押さえることができるものらしい。

新聞、雑誌、書物はあまり読まないものまで購入し、紙のごみを大量に発生していることはないであろうか。スクリーンで読めばすむものを、プリントして、無 駄な用紙を使っていないだろうか?

車と、自転車、徒歩との関係も考えなおしたい。車より、汽車・電車のような公共交通手段をできるだけ使いたい。比較的すずしいスイスでは、エアコンつきの 車は少ないが、コストが高いというだけの理由ではないようである。 食料・雑貨品の買い物のときに、包装のかたちに細かい注意を払うようになってきている。ジャム、マーマレード、洗剤のようなものは瓶つめ、缶いりを通常買 わず、詰め替え用のビニール袋入りを買うようにしている。新たに、ごみが発生 しにくいような包装形態のものをできるだけ、購入しようと配慮している。 調理のときにも、食卓でも、ごみが安易に発生しないようにするには、どうしたら、よいか、常に考えたいと思っている。

若干経済的にゆとりがあるからということで無駄をし、ごみを多発していることは、地球環境維持の見地から許されないように思う。

コンピュータ、その他電気製品も新しい製品がでるとすぐに飛びつくのでなく、 古いものを我慢して丹念に使うことが、好ましいもののようである。それにしても、メーカー側では修理部品がない、アップグレードの交換部品がないというこ とで、新品に買い換えさせようとするもののようであるが、新品を買うときに、 修理部品・交換部品の調達がどれほど、困難か、簡単かを丹念にチェックし、これを購入の大きな要件にするべきと思う。

大量に販売のしたいメーカーでは、消費者に無駄をさせるよう多額の広告宣伝費を使っているもののようであるが、これに流されないのが、叡智というものでは ないのだろうか。

結局、地球環境にやさしい生活とは、資源を大量に使わないで、人間の体・体力を使うといういわば、昔の人々がしていたという生活に戻ることを意味するのかもしれない。昔はクーラーを使わないで、団扇と風鈴で涼をとり、車を使わない で、歩き回っていたに違いない。そのころは、空気もすんでいて、川とか海の汚染もほとんどなかったのだろう。豊かと称される生活の影にわれわれが失ったものは計り知れないものがあるような気がしてならない。

(以上)

 (98/8/15 ライン随想録・スイス・バーゼルレポートより)



◆ W・カップの入場券とジャパン・プレミアム

 

1998年6月14日、日本が初出場を果たしたサッカー・ワールドカ ップ緒戦・対アルゼンチン戦がトゥールーズで開かれた。この入 場券が2−3日前になり、日本からの客用に大量の不足になってい ることがわかり、フランスへの旅行を急遽取りやめたり、入場券 のないまま、日本から出発するひとが続出したり大混乱になった ことが記憶に新しい。

フランスの入場券配付の方式に問題があったのではないかとか、 中間の業者に詐欺めいた予約受付の仕方があったあったのでは、 ないかなどいろいろ取りざたされた。テレビ報道などによると、 前日ごろから、外国人とおぼしき「ダフ屋」が高値でうれる相手 を見付けようと、会場である「トゥールーズ競技場」の周辺に出 没し始めたと言う。市の当局者は、入場券を持たない、日本人観 光客向けに、3個所もの市の公園に巨大なテレビ・スクリーンと 椅子を用意し入場券をもたない日本人サポーターに、ここで観戦 するようにと、施設を準備したと言う。それでも、いわゆるダフ 屋から高値で入場券を買う人があとを立たず、一番高いものは、 定価の一枚5000円に対し、一枚28万円もの高値が付いたと言う。

日本がワールドカップに出場できたことも、奇跡に近かったし、 高い航空券を払って、フランスまできた以上、若干のプレミアム を払ってでも、ワールドカップの実戦を見たいと言う人がいるの も理解できなくはない。チケットを確保していた町の人が何10万 円もの儲けが確保できれば、入場券を手放して、日本・アルゼン チンの試合をテレビ観戦に切りかえる、というのも分かる気がす る。そこで、需給をバランスさせる仲立ちとして、フリーの「ダ フ屋」が横行するのは、無理もないであろう。

ニューヨークのブロードウェイなどで、ミュージカルが終わる夜 10時過ぎになると、客がどっと出て来て、タクシーの需給がタ イトになる、そうするとどこからともなく、黒人のお兄さんたち が現れて来て、タクシーを止め、客からチップを受け取るような インスタントの商売をしている。トゥールーズのダフ屋もこれと 同じことであろう。

緒戦の14日の前日にトゥールーズに応援に行くという、日本人の お仲間にバーゼルで会う機会があった。このひとは入場券を確保 していたが、「入場券をもとめる日本人に出会ったら、14日当日 の14時15分、試合開始の15分まではみなが、一斉に買い控えて、 ぎりぎりで、大幅に値下りしたら、そこで買う、それが出来なけ れば、あきらめると良い」と日本人に入れ知恵して歩いてはくれ ないか、と頼んでおいた。本当の状況は分からないが、試合が始 まってからは、定価の5000円を割り込むような入場券がかなり出 回った模様である。

日本の金融機関がドルなどの資金を調達するときに他国の金融機 関にくらべ、余分のコストを支払ういわゆる、「ジャパン・プレ ミアム」ということが知られているが、W−カップの入場券とも いささか似ているところがある。

20万円を越えるようなプレミアムを払ってまで、入場券を手にい れたいという気持ちはどこから来るのだろうか。純粋にサッカー を見たいと言う気持ちからだけでは、わかい人にとって、20万円 は高すぎるような気がする。それは世間の目を気にして、日本に 帰ったときに自慢するため、若干の経済的な負担は甘受すると言 う日本的な論理で動いているためではないかと言う気がしてなら ない。それはちょうど、普段はとてもつましい生活をしている人 が、海外旅行のときに、高額のブランド商品を買いあさる心理と 一脈通ずるものがあるのではないだろうか。

多くの人が、こうした日本人の行動につけ込もうと、入場券の話 しでも、ブランド商品の話しでも虎視耽々ねらっているように思 えてならない。日本には1億2千万人もの人がいるので、マスコミ に踊らされて、異常とも思われるようなお金の使い方をする人が なかにはいても仕方がないやと、笑ってすます話なのかもしれな い。みなさまはこうした現象をどのようにご覧になっています か?


(以上)

 (98/6/23 ライン随想録・スイス・バーゼルレポートより)



◆ A PORTAL とは、いったい何か?

 

最近、アメリカのホームページなどを覗いていると、A PORTAL とか、PORTAL WARS などと言う、見慣れない言葉が、あちこちで出てくる。A PORTAL とは、インターネ ットへの入り口ページ、オープニング・ページという意味らしい。YAHOO!,AOL.COM, Netscape,Excite,Infoseek,Lycos,Snap!,Start,Hotmail,などのサービスが、いわゆ る、ユーザーが最初に開いて、そこを拠点にいろいろなところに飛んでいく基盤ペー ジの役割を競っているもののようだ。これが、アメリカだけにとどまらず、そのおお くのものが、日本やヨーロッパでそれぞれの国のユーザーを引き付けようと、日本語 版、ドイツ語版、フランス語版などを競っている。これらの多くは、YAHOO!のよう に、階層別のホームページ・リスト、サーチエンジンだけに、とどまらず、ごく最近 では、無料の電子メール・アドレスを提供する、無料のホームページを作成させるな どの追加サービスを競って提供するようになっていて、驚かされる。

なぜ、このような出血サービスをするかと言うと、多くのユーザーがアクセスしてく れると、広告のスポンサーが沢山付いてくれ、収入が増えると言う旨みがあるものの ようだ。ちょうど、ラジオeレビの視聴率、新聞・雑誌の発行部数を競うようなも ので、広告業者もその帰趨を息を呑んで、見守っているようである。現在10ほどあ る、PORTAL はまもなく、4−5に絞られるのではないかとの観測も出ている。当 然、こうしたオープニング・ページには、広告が付くわけだが、インターネットのユ ーザーが先々、関心を持つところに、このニーズに対応した広告を自動的に出すとい う、顧客別にことなるきめこまかい宣伝をするところが、テレビ・新聞とは異なるも のらしい。たとえば、山歩き・ハイキングの情報を集めている人には、ピッケルや、 登山靴の広告が自動的にお客の目の前に現れるというしくみとなっているらしい。車 の情報を求めている人は、郵便番号をタイプインするように求められ、これに基づ き、ご近所の車ディーラーの広告が現れると言うしくみになっているらしい。

Internet Explorer,や Netscape などの、閲覧ソフト/ブラウザーが事実上、無料で 提供されるようになったのに続き、電子メール・アドレス、ホームページ用のサーバ ースペースが、無料で提供される時期がすぐそこまで来ているのかもしれない。広告 スポンサーのご好意により、テレビが抽選で当たるように、ゆくゆくはパソコンも無 料またはそれに近い値段で提供されることにはならないのだろうか?

それはともかく、電子メール・アドレスが無料で提供されるようになると、一人の人 が、複数のメールアドレスを使い分けることが、可能となってくる。わたしは友人に は、バーゼルのプロバイダー・MAGNET.CHのアドレスしか、教えず、 yiura@magnet.ch に一本化しているが、そこのメールが一日に400本以上と多くな りすぎるので、インターネット情報などのニュースレターのうち、日本語版は、 yiura@excite.co.jp へ、英語版は yiura@hotmail.com へ送ってもらうようにして いる。 このほか、ネットスケープのメール振り分け機能を使い、優先度の低いメー ルは指定のファイルに保管しておき、時間があるときに、取り出して、見るようにし ている。このようにすると、優先度の高いものだけを見るよう仕分けが出来、多くの メールを処理することが、可能になってくる。メール数が多くて、戸惑っているかた は、ぜひ検討していただくようお勧めしたい。

また、ひとに自分のホームページのアドレス、たとえば、ライン随想録の、 http://plaza4.mbn.or.jp/~yiura/index.htm をいちいち書いて教えるよりも、すで に登録してあるので、YAHOO.JAPAN に行き、「井浦幸雄」と書いて検索してくださ い、検索エンジンですぐにみつかります、と教えるようにしている。また、ホームペ ージにもその旨、書いておくようにしている。わたしのようにいくつか、ホームペー ジを持っているものは、主たるホームページにアクセスしてもらえば、リンクにより ほかの、スイスグループのようなホームページにも飛んでいっていただくよう工夫し ている。

閲覧ソフト・ブラウザー戦争につづき、今度はPORTAL・基盤ページ戦争が始まってい るようである。この次は、ハードウェアー・パソコンの強烈な競争が始まって欲しい ものと思う。DOS/V機の出現でアメリカのパソコンメーカーが大挙日本にやってきた ように、英語パソコン、日本語パソコンの違いが消滅すれば、価格はさらに下がるも のと、期待している。

(以上)

(98/5/30 ライン随想録・スイス・バーゼルレポートより)