5.プロトコルとは

　・IPX/SPXプロトコル

      　このプロトコルは、Windowsでは「互換」と言う言葉がつけられた表現となっている。IPX/SPXプロトコルは
      NetWareで採用されているものである。各コンピューターを特定するのに、ネットワークカードに記録されている
      MACアドレスを使用しているため、クライアント側の複雑な設定を必要としない。MACアドレスは機器メーカー毎に
      決まられた番号と、各メーカー内でカード毎に決められた番号を振ることによって、世界中で1つしかないアドレス
      をもてるようになっている。

      　Windows95で初めてネットワークの設定を行うと、このプロトコルが設定されるようになっている。これは
      Windows95が発売された時点でNetWareのシェアが高く、多くの企業で採用されていたからである。

　・NetBEUIプロトコル

      　LAN Managerで採用されたプロトコルであるNetBIOSを拡張したものである。小規模LANで効率よく使えるように
      工夫さえているが、ルーティングができないために大規模なLANのようにネットワーク同士を接続することはできな
      い。Microsoftによって開発されたプロトコルなのでWindowsでは標準設定としてあるが、他のOSではほとんど使用
      されていない。Windows95で数台でネットワークを組むのであれば、難しい設定が一切無いので一番簡単かもしれな
      い。

　・TCP/IP

      　インターネットが普及したので聞いたことがあるプロトコルだと思う。インターネットがこのプロトコルを利用し
      ているのである。このプロトコルはアメリカ国防総省で考案されたARPANETから派生したもので、TCPとIPというプ
      ロトコルを含むことから「TCP/IP」と言われている。

      　TCP/IPプロトコルでは、IPアドレスで各コンピューターを特定し通信するので、それぞれのコンピューターには
      個々のIPアドレスが設定されている必要があり、通信できるネットワーク上に同じIPアドレスが存在してはならな
      い。つまりインターネットに接続されているコンピューターはすべて違うIPアドレスを持っていると言うことにな
      る。

      　インターネット上でIPアドレスが重複しないように、日本ではJPNICと言う団体が管理しており、インターネット
      と接続する場合はJPNICからIPアドレスを正式に割り当ててもらう必要がある。ただ通常はプロバイダーを介して接
      続するので、プロバイダーがJPNICから割り当てられたIPアドレスをユーザーに再割り当てして利用することにな
      る。

      　このIPアドレスはネットワークアドレスとホストアドレスの4バイト(32ビット)で構成されていて、通常
      192.168.100.123 と言うように1バイト毎に区切った表現をする。IPアドレスにはクラスAからクラスCまでのネッ
      トワークアドレスがあり、通常はこれらのネットワークアドレスがJPNICから割り当てられ、ホストアドレスを企業
      や団体などの内部で割り当てて使用する。各クラスのアドレス範囲は、

            クラスA　0.X.X.X〜127.X.X.X

            クラスB　128.0.X.X〜191.255.X.X

            クラスC　192.0.0.X〜223.255.255.X

      である。X部分が各クラスのホストアドレスになる。ただし、上記範囲でも使用できないアドレスは存在する。

      　では、家庭内やSOHOのネットワークのように、直接インターネットに接続していないネットワークでのIPアドレ
      スも、いちいちJPNICに割り当ててもらう必要があるかと言うとそういう事はない。それはプライベートアドレスを
      使う事によって可能となっている。プライベートアドレスの範囲は、

            クラスA　10.0.0.0〜10.255.255.255

            クラスB　172.16.0.0〜172.31.255.255

            クラスC　192.168.0.0〜192.168.255.255

      となっており、この範囲であれば自由に使って良いとこになっている。ただし直接インターネットに接続することが
      できないので、プライベートアドレスとインターネット上のアドレスとを変換することで接続可能となる。この講座
      では小規模LANが前提なので大掛かりなことはしないが、ダイアルアップルーターを導入することで実現可能であ
      る。

      　さらに、ここまで読んだ読者は疑問に思ったかもしれないが、ダイアルアップでインターネットに接続している場
      合、接続するパソコンにIPアドレスを設定していないはずである。これはプロバイダーに接続した時点で、プロバ
      イダーが保有しているIPアドレスの1つを接続したパソコンに自動的に割り当てているのである。だからプロバイダ
      ーに接続するたびに違ったIPアドレスを使っていると言うことになる。

      　このような機能をDHCPと呼んでいる。ノートパソコンを頻繁につなぐ場合や、個々のパソコンのIPアドレスを管
      理するのが面倒ならば、小規模LANでも最近のダイアルアップルーターやWindowsNT等には装備されているので利用
      してみるのも良いだろう。