下北半島・脇野沢村紹介と村の写真家
青森県の脇野沢村は海と山に囲まれた小さな村です。 ここには色々な野生動物が生息しています。北限の野猿(ニホンザル)やニホンカモシカなどが有名ですね。 是非一度は訪ねたい場所です。

下北半島・脇野沢村紹介と村の写真家




 ここは青森県の脇野沢という村です。
青森県は左のような形をしています。そして脇野沢村というのは,下北半島(青森県の右の方のマサカリ の形をした半島)の西のはずれにあります。ここは国定公園で,いろんな野生動物がいます。 世界的に有名な「北限の野猿」や「ニホンカモシカ」なんかが生息しています。
 また海(陸奥湾)では「タラ漁」が有名ですが,今年も続けて(1996〜1998)不漁みたいです。 暖冬で海水温が下がらず,陸奥湾にタラが入って来ないのが原因のようです。 タラが不漁になると,また出稼ぎが増えます。北の小さな村では,このように漁で生活が左右されてしまいます。

 この脇野沢村には,「脇野沢ユースホステル」という宿舎があります。我らもずっと以前からお世話に なっているのですが,ここに「いそやま たかゆき」さんというペアレントさんがいます。この人は, プロの写真家で猿やカモシカの素晴らしい写真を撮ると供に,「鳥獣保護区管理員」として,下北の 野生生物を見守っています。


写真:いそやまたかゆき

 ここに掲載した二つの写真は いそやま たかゆきさんの作ったポストカードから引用させてもらいました。 見て判るとおり,ニホンザルとニホンカモシカです。プロの写真家なので,もっと一杯一杯写真は あるのですが,勝手に借用するわけにはいかないので,ポストカードになっているもののうち,二つ だけを借りました。

 どちらも冬の写真に片寄ってしまいましたが,この寒い地方では当然というか,冬になると寒さから 身を守るため,動物達の体毛は冬毛といって,フサフサの毛になります。だからふっくらして人間から 見ると,とても可愛らしく見えるのですね。人間のかってといえばかってですね。

写真:いそやまたかゆき

 さて,ここの動物達はマスコミ的には結構有名のようで,野生動物にしてはよくテレビに登場します。 それで,我等もできるだけ見逃さないようにして見てるわけですが,やっぱり好いフィルムと好くない フィルムがあります。(当然,主観的なものですが・・・。) 好いフィルムというのは,サルや カモシカが,そして村人達があるがままに映されているもので,好くないフィルムというのは,その 反対でヤラセがあったり,好き勝手に編集したものですね。やはり,動物とくに霊長類を撮影して フィルムを流す場合には,その尊厳を汚さないようにしてほしいものです。(それでは,視聴率は稼 げないかもしれませんが,人間の驕りは見せつけて欲しくありません)


 そういえば,二・三十年前に「キタキツネ物語」という映画があって,私も見にいったのですが, これはひどい映画でした。(まあ,私にとってだけかもしれませんが) あるシーンにおいて,ただ フィルムを撮るためだけに「キタキツネ」を追い回しているのです。キタキツネは俳優ではないのに, まったく人間の驕りを見たという印象でした。 おっと,これは余談でした。 


写真:いそやまたかゆき

 脇野沢村には「鯛島(たいじま)」といって,鯛の形に見える島があります。この鯛島には,一つ の「悲恋物語」があります。坂上田村麻呂という平安時代の将軍が蝦夷征伐の際に,この村にしばらく 逗留したときの村の娘との物語です。まあ,偉い男というのは,昔も今も勝手なもののようで,この 田村麻呂は村の娘とねんごろになった後,娘を見捨てて都に帰ってしまうのですね。残された娘は命を 絶ってしまい,その後,海蛇の姿となって海を荒らすという言い伝えです。

 また,琵琶石というのもあって,これは源義経がこの地に逃れてきたときに,海が荒れてどうしよう もなくなったときに,弁慶がその石の上に座って琵琶を弾き,海を鎮めたということが伝わっています。

 このように,海と山と野生動物と,そして古い云い伝えのある村です。小さな村で人口も少ないですが 心の暖かいところです。
 みなさん一度訪ねてみては如何でしょうか。


脇野沢村アラカルト 写真:いそやまたかゆき
(このページの写真の著作権は全て「いそやまたかゆき」氏に存します)

[初秋]

九艘泊の奥の道路から見た集落


[冬]

牛の首から見た鯛島
手前は北限の猿


[冬]

北限の猿と鯛島
場所は寄波


[春]

愛宕山公園とニホンカモシカ
後ろは鯛島


[冬]

厳冬期の北限の猿


[春]

生まれたばかりの赤ん坊と母親


[秋]

ニホンカモシカの親子
季節は9月


[冬]

厳冬期
吹雪の中のニホンカモシカの親子


[冬]

12月5日の「鱈の場取り」
貝崎から望む


[冬]

脇野沢川下流の大白鳥


脇野沢村の四季 (冬)

[九艘泊の港]

 脇野沢村を海沿いに行った突き当たりの集落です。数十年前,この小さな集落に住処を追われた 北限のニホンザルが姿を現しました。村人達とサル達の暖かい物語が残っています。


[場取り]

 タラの季節。
 脇野沢村の漁師達は一斉にタラ漁の漁場を目指して出帆していきます。 良い漁場を取るために,漁師達がその腕を競い合う姿は,大変勇ましい光景を見せてくれます。



[干だら]

 タラを干している風景。冬の村の風物詩です。


[鯛島]

 脇野沢村にとって大切な島。それがこの「鯛島」です。
 本文にも書いていますが,この島には昔からの悲恋物語があります。今は鯛じまの尻尾が少し 崩れてしまって,ちょっと鯨のように見えますが,元々は本当に綺麗な鯛の形をしていました。


[愛宕山から眺めた瀬野集落の風景]

 海に突き出た「愛宕山」という小さな山があります。
 愛宕山の天辺には小さな社があります。そしてそのふもとは桜一杯の公園になっています。 私の大好きな場所の一つです。


[ユースホステル]

 村には一件のユースホステルがあります。
 赤い三角屋根が目印で,ユースホステルが一般宿化した現在にあって,昔ながらの(といっては おかしいかもしれませんが)考えを貫いています。ここに泊まって,海と山と野生動物達と村の人達に触れると 気持ちもホッとすると思います。


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