バレンタインデーの贈り物

「宍戸さん!今日はバレンタインデーですよ!!」

わんわんとかけ声が空耳と判りつつも

聞こえてきそうな鳳の声が宍戸の後頭部頭上から聞こえてきた

そうか、今日はそんな日だったのか。

あまり行事ごとに無頓着な宍戸はようやく今日の日を理解する

「…オレ何にも用意してねーぞ」

「はい、大丈夫です!オレが準備してきましたから」

何が大丈夫なんだろうかと宍戸は不安に駆られた

「見てください!これです」

小さなボトルを持ち出した

「…ん?」

なんだこれはと言おうとしたら、鳳にしゅっと吹きかけられる


「うぇ…!」


ボトルの正体は香水だったらしい

いきなりの匂いに思わずむせる宍戸

「いいにおいでしょ。宍戸さんにぴったりだと思って買ったんですよ」

それを無視して、言いたいことをどんどん話を進める鳳

止めたかったが、慣れない匂いに鼻が慣れるまでうまく呼吸が出来ずにいた。

「オレの意志は無視かよ!?」

ようやく匂いに慣れたので言葉を頑張って発すると

「えー…気に入らなかったんですか」

あからさまにショボンとするので見えない耳がたれているように見え

宍戸はなぜか良心の呵責を覚えた。

それでも、心を鬼にして(?)むしろ良いようにつけ込まれないようにと

しつけるように厳しく言いつけた

「ついちまったものは仕方ねえからもう付けるなよ」

「…はい」




「宍戸!おっはよー!!」

「おー…っていきなり乗られたら重いだろ!」

ジローは宍戸の背中に思いっきりおんぶして貰うかのように乗っかった。

「あははーごめーん」

全然反省していない声でとりあえず反省の意を述べる

「朝から自分ら元気やな」

「オレはこんなに元気じゃねえよ」

「そんだけ朝から叫べば十分だろ、あーん?」

「あとべー、おはよー!」

「おい、樺地」

「ウス」

跡部の姿を見つけるとすかさず跡部に抱きつこうとするが

跡部の一声であっさりと樺地に担がれた

ジローはちぇーっと頬をふくらませながら

宍戸の顔を見て思い出したかのように一気に話し始めた


「ししどー、匂いがいつもと違うよ」


「え?」

ジローの言葉に忍足を跡部が宍戸の側で匂いをかぎ始めた

「ほんまや、宍戸なんでこんな高いのつけてんねん?」

「お前がバレンタインデーに気合い入れる奴とは思わなかったぜ」

「ちゃうって跡部。」

「あーん?今日はバレンタインデーじゃねえか。他に…
 
…そうか」

「そうそう、そういうことやな」

跡部は納得し、隣で忍足は軽くウィンクをし、

ジローはそのやりとりを見てぴんと判ったように宍戸の方を向いた

「そっかー、鳳に付けられたんだ。」

「ちょ、ちょっと待て!何でお前ら…」

「言いたいことは判る気もせんでもないけどな。」

「ちょっと考えりゃわかるじゃねえか」

「ししどー飼い犬にマーキングされてるみたい。」

あはははっと陽気な笑い声をたてながら樺地の肩の上でバタバタと楽しんでいた。

忍足と跡部はオチが予想通り過ぎたため、もう詮索はやめようと

暗黙にスタスタと先に歩を進め始める。

残された宍戸はマーキングの言葉にショックを受けて

部室のシャワー室に慌てて駆け込んだ。

それからしばらく宍戸は鳳の側に近づかず、近づかせなかった。



なんとなくデパートの男性向け香水売り場で配られたので思いついたの
マーキングっぽくないですか?そんな発想するわたしがおかしいのかもしれない…
実は拍手御礼にしようと思ったんですけどね、長くなったので辞めました