たこやき

氷帝の部員は高水準の生活のものが多い。

それでも、普通に中学生と変わらないので合宿でバーベキューをすることになった。

もちろん、準備されたものを食べるだけだけど、

それでも普段と違う環境で食べるのは楽しいもので

みんな何を食べたいかという話になった

「俺、たこ焼き食べてみたい」

「あ、俺もー!ゆーし、たこ焼き器持ってねーの?」

「そら、あるけど」

あまりに当たり前という話し方で、忍足は答えるので周囲の人間は一斉に吹き出した。

「関西人が一家に一台たこ焼き器持ってるって本当だったんだ」

「何がおかしいねん。そんなん、関西やったら当たり前やん」

「ここ関東だし」

向日は忍足の言い分を何事もないように流してひたすら笑い続けた。

ほかの連中も笑い続け、忍足だけ腑に落ちない顔をした。

 

当日、忍足は公言通りたこ焼き器を持ってきた。

その姿にまた周囲の笑いを誘うことになり、忍足はまた腑に落ちない顔になった

しかし、まだたこ焼きの奥深さを知らされるにはまだまだ序の口だと後に彼らは知ることになる。

「なにやってるん?岳人!」

「キャベツ切ってるんだけど、たこ焼きにはキャベツ入れるんだろ?」

「んなん入れたら邪道やん」

「夜店とかだと入ってるじゃん」

「それは本当のたこ焼きやない」

「お好み焼きと同じ様なものだろ?」

「違うわ。ええか、たこ焼きにはキャベツなんて邪道やで」

「どこが違うんだよ」

「だよな、お好み焼きと同じようなもんだろ?」

「違うわ!お好み焼きとたこ焼きは違うわ。粉物を同じと思ったらあかんわ」

「悪いけど俺にはさっぱりわからないぜ。もっとわかりやすく言ってみそ」

「たこ焼きにキャベツ入れたらお好みボールやん。そんなんわかるやろ?」

「「いや、わかんね」」

思わず声がそろう、宍戸と向日。

忍足はポケットから携帯電話を取り出して、手早くケータイから目的のアドレスを探してコールした。相手はもちろん、従兄弟のだ

「けんー、あいつらあんなこというねんで」

「けしからんな、それ。っていうか、東京はありえへんな」

「せやろ、ありえへんで。ほんまに」

「お好み焼きとたこ焼きの違いなんて常識やのにな」

「ほんまにな、京都の連中だけかと思ってたわ」

「おそろしーよな」

「まったくやで」

関西人二人は電波を通してまた、深い結束を固めたようだ。

その結束の輪に入りたがるものなどいないわけで

むしろ、勝手に盛り上がってろという感で

宍戸と向日は遠巻きにその様子を見ていた。

「関西人のわけのわからない論理にはついていけなーよな」

「本当にな」