>氷帝学園体育祭


「そうや、宍戸」

「なんだ忍足?」

忍足はいつになく真剣な顔で話かける。

「自分ルーズと紺ソクどっちがええ?」

「…なんの話だ?」

あまりに拍子抜けすることに宍戸は脱力感に駆られる。

「体育祭の着せ替えの話やけど」

「…どっちも嫌だぜ」

「じゃあ、ルーズな。」

「何でそうなるんだよ!?」

「俺が清楚系するからや」

俺の方が似合うねんで、と忍足はしなを作って笑う。

「はぁー…」

「それに宍戸の方がカーデガン来てぶかぶかになる状態できるしな」

「なんだそれ?」

忍足は宍戸に真意が伝わらないことは百も承知で話し続ける。

「自分男のロマンがわかってへんで、おかしいんちゃうか?」

「なんでそうなるんだよ!」

「じゃあ体育祭の衣装はそういう風に言うとくな」

「はいはい」

忍足の言う話についていけない宍戸だった。

一方、忍足はさっさと話を進めて、練習場へと歩を進めた。

宍戸は脱力感を覚えて忍足の背中を見送る。

やはり張り切る忍足の姿が異次元だった。



そして迎えた体育祭当日。

鳳は公言通り宍戸の種目の時にだけクラスの先頭で応援をしていた。

それが恥ずかしかった宍戸は全ての種目で

一位を取ることが出来たのは怪我の功名とでも言うべきか。

なんいせよ、宍戸はクラス内では良くやったと感謝され

鳳の応援に心の中でたまには役立つと、少し心の中で憎まれ口を叩いていた。



宍戸が日陰で涼んでいると種目が終わったらしい跡部が話しかけてきた。

「宍戸調子いいじゃねーか」

「…まぁな」

宍戸はあとはやりたくなくて仕方がない着せ替えのみで

逃げようかと画策してる最中だった。

「着せ替えではそうはいかねえぜ」

「跡部…」

宍戸はあまりに張り切る跡部の姿がだんだん少々羨ましく思えてきた。

「まあどうあがいても負けは目に見えてるけどな」

「張り合う気なんてねーって…」

「宍戸、準備するねんからはよしいや!」

項垂れると忍足の声が聞こえ、振り向いたときには

逃げるに逃げられずあっさり忍足に捕まってしまった。

「忍足、せいぜい俺様を引き立たせるんだな」

忍足の姿を見て跡部は宣戦布告を投げる。

忍足も売り言葉に買い言葉。

「なにいうてんねん!負けるかいな」

「だから…なんでそんなに張り切るんだ」

宍戸の声は二人には届いてなかった。


「あ、宍戸君来たよー」

「忍足君ありがとう」

宍戸が忍足に連れて行かれた先は校舎裏だった。

何故かクラスの女子が揃っていて、妙に迫力があった。

「え?」

「さ、宍戸君。本番前に練習しよ」

女子は宍戸を見つけると側に寄ってきて着せ替えの服を見せてきた。

「お、忍足!?」

「自分逃げまくるから練習ろくに出来てへんやろ」

宍戸は思わず逃げ腰になるが後ろには忍足がいて逃げられなかった。

「逃がさないからね」

「……」

前門の虎、後門の狼さながらに宍戸は観念するしかなかった。

さらに両腕を女子に捕まれて男なら嬉しい状況が虚しい宍戸だった。




やっと更新だー。あと二回くらいで終わるはず…(遠い目)
終わるときには体育祭が似合う季節になってたら嫌だな