「丸井はいるか」

柳の予想通り真田は跡部を連れて更衣室に入ってきた。


「真田、着替えが遅いのはオレのせいじゃないからな」


「…たるんどるといいたいところだが、話を聞く限りは仕方ないだろう」

丸井とジャッカルは心から安堵を覚えた。

跡部の説明と幸村の説得のお陰だろうと思い、心の中で二人を拝んだ。

「真田、うちのジローはいるのか?」

「ああ、巻き付いているのがそうだろう」

跡部は真田によって出来た壁を押しのけてジローの存在を確認した。

「おい、ジロー帰るぞ」

「……」

跡部の呼びかけも虚しく、ジローからは規則正しい寝息が聞こえるだけだった。

「ジロー、俺様の前で狸寝入りが通用すると思ってるのか」

「……」

「おいジロー、諦めろよ。立海の連中に通じても俺等には通じねーぞ」

跡部と宍戸は規則正しい寝息を立てるジローに決めつけるように話しかけた。

「ジロー手間かけさせんなよ。」

「…う゛―………折角うまく行くと思ったのに」

「いや、うまくいかへんから」

忍足は性分からか、すかさずつっこみを入れる。

ジローは渋々文句を言いつつ起きあがる。

丸井とジャッカルは口を金魚のようにぱくぱくとし、

柳は感心したらしくジローの行動を観察していた。

跡部はジローの腕を掴み無理矢理頭を下げさせた。

ジローは不服そうな声で「お騒がせしました。」と跡部に言わされた。

跡部は真田に「邪魔したな」と軽く挨拶を入れ部屋を出ていった。



ぱたんと扉の閉まる音がしても中にいる者はあっけにとられていた。


このあとしばらくして冷ややかなオーラーをまとった幸村が探しに来るのは

そう遠くない未来の話だった。



「おい!宍戸、忍足。運べ」

「はぁ!?」

「跡部、俺等は荷物持ちか?」

「当たり前だ。オレが運ぶわけがないだろう。そのために連れてきたんだからな」

「跡部も手伝ったろうとか思わないねんな」

「当たり前だろう」

宍戸と忍足は二人がかりでジローを抱えて運ぶことになった。

二人は、はやく来年になって後輩が欲しいと、この時ばかりは切実に思った。




何とか終わって良かった…
一瞬、一年生って事忘れかけて赤也出しかけたです…
オチを決めてからお話を書こうと思うこの頃。