>そしてまた泣く

さっき宍戸さんに初めて触れた

とてもそれは神聖な儀式のようだった

あのとき、長く芯のある髪に触れてキスをしたのは衝動だった。

あとで思えば儀式のように感じられたかもしれないけど

衝動的に、ただ触れてみたかった。

誰も触ることの許されない髪に触れてみたかったんだ

 

ずっと

いつからなのかわからないけど触れてみたかった

 

「お、おおおお前っ!」

「変ですか?」

返事はないけど顔は真っ赤だ。恥ずかしいことなのかな?

「触れちゃ駄目でしたか?

「・・・ぃぃ」

小さな声で肯定されると涙がぽろぽろとこぼれる。

「ちょ、長太郎?

「・・・な、んでも・・・ない、です」

宍戸さんと両思いになれるなんて思いもよらなかったから、嬉しくて嬉しくて

改めて認識すると涙が自然とこぼれた

「なんで泣くんだよ?

宍戸さんはシャツの裾でごしごしと涙をぬぐってくれる

それでもなかなか涙は止まらなくて、宍戸さんの困った顔が覗き込む

涙は止まらないけど、宍戸さんの口を貪るように奪う

驚いて大きく開いた眼は、次第に熱のこもった目に変わって欲情を誘う目になる

誰も見たことのない宍戸さんの姿に駆られて、衝動的に貪る。

どんな表情もすべてが愛しいと同時に奪いたかった。

はじめては優しく互いに想いあってって思ったたけど、そんなの無理だった

腕の中で泣く宍戸さんには申し訳ない気持ちも少しはあったけど

そんな表情さえすべて奪い去りたくなった

「ちょ、ちょう・・・たっ」

何かを喘ぎ声の中、訴える宍戸さんの表情は普段なら「どうしたんですか?」

と尋ねる余裕があるのに、今日は無理だった

今まで触れたくて触れたくて我慢してたからなのかはわからないけど

貪るってのが正しい行動だった。

腕の中では宍戸さんは熱に侵された瞳で声を堪えきれずに喘ぐ

俺もきっと同じように熱に侵された瞳で宍戸さんを抱いているんだろう

宍戸さんと繋がって、欲望のままに突き上げると

宍戸さんは悲鳴に似た声で啼いた。

すべてが終わって腕の中でぐったりしている宍戸さんを見て涙がこぼれた

 

こんなことがしたかったわけじゃないのにって後悔と

思うとおりに抱けた喜びに

後者の気持ちはあまり公言できた話じゃないけど

いろんな気持ちがぐちゃぐちゃに入り混じってるけど

 

今はただ貴方だけを思って