このまま死ねればいい


「あんな風に"このまま死ねればいい"って、実際に言うやつなんているのかな。」

「っていうかさ、実際いたらどうだろ。オレは引くけどな。」

「そうだな、あの話だからかっこEーんだよな」

「だよなー、マジ実際に言う奴は見てみたいな」

岳人とジローは昨日見たTVについて話していた。

運命的な出会いをした二人が、苦難を乗り越え一緒になる

しかも、ラストでヒロインは死んでしまう悲恋ものだ。

っていう、一見すると忍足好みかもしれない内容

明らかにこの二人の趣味ではなさそうだった

しかし、恋愛主体の物語ではなかったので二人とも見たのだった。

盛り上がりを見せ、会話が弾む二人の中に忍足が入ってきた。

「自分ら何の会話してるんや。珍しい内容やん」

「よお、侑士。」

「このまま死ねればいいなんて、ええやん」

聞こえて欲しくないのに聞こえたと二人は内心つぶやく。

忍足は趣味・ラブロマンスを公言する上に少々小うるさい。

一度始まると本人が納得するまで語り続ける。

それが楽しいとなるのか、鬱陶しいのかはその人次第。

「忍足の恋愛おたくがはじまるのー?」

「なんやねん、それ。ジロー傷つくわ」

ジローと岳人は牽制攻撃を仕掛ける。

「わかるぜ、ジロー。侑士の言うことマニアックだよな」

「中学生らしさがないよね」

「言いたい放題やな、自分ら」

ジローと岳人は顔を合わせて、ねーっと言わんばかりに頷きあった。

流石に忍足もそれ以上突っ込む気にはなれなかった。



何とも言えない空気だった部室内を壊す音がした。

鳳と宍戸が入ってきたのだ。

「宍戸さーん、オレ…昨日の……!!」

「なんだ?」

鳳は周りの目などお構いなしに、部室に入ってきてもとずっと話している

宍戸以外目もくれない姿は忠犬と言えば忠犬だが

うざいといえばそれまでだったり


そのため誰も耳を貸す気にはなれない

馬に蹴られたくもないし、草津の湯でも直せないモノに付き合いたくないのが本音だった

「オレ、昨日…あのまま死ねれば良かったです!だ、だって宍戸さんが…」

「それ以上言うな!!恥ずかしい」

「だ、だって宍戸さんがあんなコトしてくれるなんて」

「それ以上言ったら、一ヶ月口聞かないからな」

いつもと変わらない調子で二人だけの世界を突き進む二人を

もう誰も何も言う気にはなれなかった

宍戸はまだ周りの目を気にしている感はあるが、

火に油を注ぐ程度にしか周りには感じられない



いつも通りの会話を突き進む二人を位置的には2.3歩

心の距離は果てしなく遠い場所から

「……忘れてたな」

「身近すぎて、誰も視界に入れないからじゃない」

「やっぱ、キモいな」

「だよね」

岳人とジローは納得し合っていた。



一方、二人とはあまり変わらない場所の忍足は

「自分ら…」

少々あきれかえったが、二人の気持ちもわからないではないので

それ以上は何も言わなかった。






一応、お題消化できたと思っていたり…
もっと恋愛テイストお望みの方はごめんなさい(汗