>鳳くんの災難


「頭痛い…ずずっ」

やっぱり朝計った38度は正しかったんだ。

でも、今日の数学の小テストって来週の期末テストに

プラスしてくれるって先生言ったからな〜。

でも、結局さんざんな結果だったしおとなしく家で寝てれば良かった。

「…ずっ、失礼します」

なんとか保健室にたどり着いた。



日吉の奴…

恨むからな。


同じテニス部員で今日の日直でもあった日吉若は、

数学の小テスト中に俺が倒れたため保健室に俺を連れて行くことになった。

でも、保健室につく前で俺の意識が戻ると支えの手を離して

「大丈夫みたいだな。俺は小テストの続きを受けてくる。下克上だ!!」

といい残して教室に戻ってしまった。



こんなに酷い症状の俺が一人でここにいるわけだ。


「あらあら、大変ね。ここに横になってなさいね。」

保健の先生はてきぱきと俺の看病のために動いてくれた。

アイスノンも熱のある頭には冷たくて気持ちよかった。

「先生、用事があるからしばらくいないけど大丈夫よね?」

「…は、はい。」

「お昼くらいまでに戻ってくるから寝てね。」

そういや、保健の先生って不在が多いって聞くけどホントだったんだ。

職務怠慢だよな…。

俺がぐるぐると思考の小道を彷徨ってるとドアが閉まる音がした。

おとなしく寝よう。


どのくらい経ったのか思ってるほど時間が経ってないのかは

わからないけどドアの音がした。

先生帰ってきたのかな。

折角うとうとしてて気持ちよかったから、いざ再び夢の世界に行こう。


もぞもぞ…


……なんだ?何かがベットに入ってきた。

目を開けると目の前に髪の毛があった。

うわ、ホラー映画を思い出しちゃったじゃないか。


っていうか、誰だろう。

髪がホントに長すぎて顔見えないな。

気付いてもらって他のベットに行って貰わないと風邪移すしな。

やっぱり勝手に入ってこられても俺のせいで風邪引かれると後味悪い。

そういうのはゴメンだ。

俺は動かない身体を精一杯動かして相手の顔を覗き込んだ。

見なければ良かったと心から後悔した。

知ってる顔だった。

いや、単なる知り合いなら良かった。


ああ、ついてない。



テニス部で知らぬものはない正レギュラーの宍戸先輩だった。


この先輩すぐ怒るから怖いからな。

俺が他のベッドに行くしかないな…。
ごそごそと思うように動かない体を起こそうとしたら宍戸先輩の目が開いていた。

「…ん、あぁ?」

やばい…!!怒られる…


「あああ、あの、俺間違えてっ」


「うるせーな…さみー、勝手に人の布団めくるなジロー」


寝ぼけていた宍戸先輩は誰かと間違えたらしく口は悪くても


いつものように眉間にしわがよってなくて微笑んでいた。


あたふたとしてたからうっかりと宍戸先輩に手が当たってしまった。

手を引っ込めて謝ろうとしたら「うるせー…」といってまた寝られてしまった。


寝ぼけてたんだ…。




どきどき



あれ…どうしたんだ、俺。


宍戸さんの顔見るとまた



どきどき


……まさかな。


なんで俺こんなにドキドキしてるんだよ。

宍戸さんの顔見てる場合じゃないって、

他のベットに行かないと…あとで怖いよ。

それに先輩のあの笑顔は俺に向けられてものじゃなくて

他の誰かに向けられたものなんだ。

俺じゃなくて


…虚しくなってきた。

俺じゃない他の人と間違えられたんだ。

その間違えた相手だとああいう顔してくれるんだ。

いいな、俺にも向けてくれないかな。




……あれ、俺おかしいよな。

やばい、またくらくらしてきた。


もう動けない。

すみません、すみません。

起きたらいくらでも怒られますから

このまま今は


休ませてください。





俺が目を覚ましたときは違うベットで寝ていた。

保健の先生が母さんを呼んでくれてた。

母さんがお迎えに来ていた。
 

宍戸さんの姿はなかった。

少し安心したような残念な気分だった。



*なんだか書いてるうちに

鳳くん恋に落ちるの巻。
となってしまった。
でも自覚なし(重要)この人の話口調は知らないから
普通の少年にしてしまった。