観覧車


観覧車はゆっくりと登っていくだけで

何が楽しいのか判らなかった

「忍足、最後に観覧車乗ろうよ」

「別にええで」

ジローは観覧者が好きみたいで

小さな子供みたいにはしゃいでいた


「ジローは遊園地来ると幸せそうやんな」

「うん、オレ遊園地好きー」

「そんなに満足してもろたらタダ券も喜ばれるわ」

「忍足のとこはもらえて良いなー。オレ毎日でも来たいな」

「なら、またもらったら誘うわ」

「わーい。ありがとう」

無邪気な笑顔を振りまいてジローははしゃいだ。

窓の外を見る目はそっと影を落とした

「忍足は観覧車嫌い?」

「別に嫌いとちゃうで」

「本当?なんか乗りたいって言ったとき顔に出てたと思ったんだけどな」

ジローはオレに興味がないと思っていたので見抜かれたことに

無意味に焦り妙に早口で受けてしまう。



「せやなー、別に好きじゃないな」

「えー!何で?こんなに楽しいのに」

「何でえな。無意味に登って降りるだけって所があるやん」

「それがいいのに」


「だんだんと空が近くなっていって手が届きそうっていうところが良いのに」

もったいないね。とジローは笑う

今まで観覧車は下ばっかり見てたなと言われて気づく

観覧車を通して手の届かない空を見ているジローが羨ましくなった



オレが下を見て高いなと思い、

下にある景色を見てぼんやり今日歩いた景色と照らし合わせてみる横で、

ジローは上見てただ空に近づくのだとその喜びを味わう

なんとなく自分が損をしてる気になった

景色なんて別に好きな場所を見ればいい話なのに

上をまっすぐ見ているジローが無性に羨ましくなった



突発的に書きたくなった忍ジロ。
忍足主役はなぜかコンプレックスの固まりになる…
おかしな話だよ。