>プレゼント




「わかんねえ。跡部、教えてくれ!!」

あと5分で数学の小テストがはじまる。

このあいだなんとか高等部に上がることが決まり、

すっかり教科書を開かなくなった俺は、今やってる数学は当然わからなかった。


「あーん?無駄な足掻きは辞めろ。てめーの頭じゃ、後5分で理解なんて無理だ。」


「あー?出来なきゃ補習じゃねーか!」


「だから、諦めろ。無駄なことはするな、宍戸。建設的に生きろ。」


「あらら、宍戸はほんまに数学苦手やなー。」


頭の上で関西弁といえば忍足しかない。

5分前に余裕たっぷりに話しかけやがって。これだから、頭がいい奴らは…。


「お前等できると思いやがって…」


「そういやな、宍戸。」


「なんだ?忍足」


「バレンタインのチョコレートを鳳にあげるん?」


「…いいや?今日バレンタインだったのか…」


自分に興味ない行事って言うのはホントに記憶に残らないものだな。


今年くらいチョコレートくらいあげても良かったかな。


「じゃあ、鳳の誕生日ってことは知っとったか?」


「……え」


「折角、俺様が建設的に生きろと助言してやったのに」


俺の驚きを隠せない横で跡部はここぞとばかりにため息をして見せた。跡部の奴…知ってたな。


「うるさい、お前は何もいってないだろ!」


長太郎がまさか今日が誕生日とは思ってなかった。


ていうかあいつが言わないから誕生日を知らなかったんだけど、

「しらなかった」から「はいそうですか」ではすまないよな。


俺の誕生日の時は長太郎がどこからか情報を仕入れてきて祝ってくれたんだった。


忍足が何か思いついたらしく話しかけてきた。


「宍戸、今から鳳が一番喜ぶプレゼントを教えてやろうか?」


「なんだ?」


「なんだよ。はやく教えろよ。」


「じゃあ、俺が教えさせてもらうわ。耳貸して」


「なんでだよ。」


「ええから」




「…できるかー!!!」

「鳳は一番それが喜ぶでー」


「お前に聞いた俺がバカだった」


「普通に考えればわかるだろ?バーカ」


こいつ等完全におもしろがってる…俺がそんなこと言うわけないだろ。


俺は免疫ないから顔が熱い。すっかりおもちゃじゃねーか。


そういうことをさらっと言うこいつらは同じ年とは思えない。深く追求するのはやめよう。





結局、数学の小テストは全くできずに長太郎のプレゼントのことばかり考えていた。





長太郎とは図書館で待ち合わせをしていた。

長太郎に会うのにこんなに後ろめたかったことは初めてだった。


ドア開けるのがすっげぇ、緊張する。ホントに困ったな…




長太郎はみんな帰ったらしく一人で待っていた。

ドアを開けると長太郎が嬉しそうに近寄ってきた。

「宍戸さーん、終わったんですか?」



「…ああ」


「…そんなに小テストできなかったんですか?」


数学苦手なのは長太郎も知ってたから心配して覗き込んできた。


「宍戸さん?」


「……長太郎…ゴメン」


「……え?」


「俺…今日お前の誕生日って知らなかったから、何も用意してなかったんだ。」


「宍戸さん…」


呆れるか怒るかすると思ってたのに、

いきなり抱きしめられると思ってなかったからどうして良いのか困ってしまった。


「ちょ、長太郎!?」


「プレゼントもチョコレートも本当のこと言えば期待してたけど

宍戸さんがそんなに思い詰めるくらいならその気持ちだけで十分ですから…」


「長太郎…」





「あのー…

宍戸さんに俺の誕生日って言ってませんでしたか?」


「聞いた記憶ないぜ」


「忍足先輩達と誕生日の話したんですけど…宍戸さんがいなかったときだったんですね。」


俺が本当に知らないことを知って落ち込まれた。

今日は俺が誕生日の準備してると思ってたな…。

いくら俺の気持ちだけで良いって言ってくれても、気まずいよな。


「…そうみたいだな。」


「跡部先輩達が言ってくれてるとばかり思ってました。」


「あいつらが言うかよ」


「宍戸さんがこんなにも思ってくれてるだけで幸せです。」


「そうか…ああー良かった。」


「え?」


「いやな、忍足と跡部にはお前には俺をやったら喜ぶって言われたけど

気持ちだけでお前が喜んでくれたみたいで良かった。」


「そ、そんな…宍戸さん。誕生日プレゼントに宍戸さん下さいよー。」


「お前さっき気持ちだけで十分て言っただろ?」



「宍戸さんのいじわる…」


長太郎はがっくりしてうなだれた。あからさまな抗議の仕方だよな。


可哀相に思って椅子に座る長太郎を抱きしめてやった。


「長太郎、お誕生日おめでとう」


あんまり頭ごと抱きしめたことないけど年下らしくていつもより可愛く見えるよな。


調子にのってぎゅうぎゅうに抱きしめてたら長太郎は俺の手をほどいてきた。


そして、軽くキスを繰り返してきた。


「宍戸さん…俺の誕生日だし、いいですよね」


「…ちょ、長太郎?」


「だって、俺の誕生日ですよ。宍戸さんを俺に下さい。」


「……」




こいつずるい。


「リボンつけて欲しいとか言わないですから」


「当たり前だ!!忍足かお前は!」


「え…忍足先輩ほど俺マニアじゃないですよ。」


あまりに恥ずかしいことを力説するから思いっきり叩いてやった。

あー、何てこと言い出すんだ、こいつは。

すっかり、忍足達の影響を受けてやがる。



「ねー…宍戸さん〜」


「……はいはい」


結局忍足達の言うとおりになってしまった。

長太郎にしつこくねだられるとついつい甘やかしてしまう。

これって良くないよな。


俺も長太郎が好きだから

忍足達の言うとおりじゃないんだと言い聞かせて長太郎の家に向かった。



アドバンスのゲームが出ましたね。
攻略本読んで長太郎の誕生日とジロちゃんの身長に叫びました。
友人はるひさんにそそのかされて(?)勢いで書いてみました。
忍ジロもジロ宍も関係なくただの鳳宍の話になりましたね(笑)
ノリがバレンタインと似てる気がしてならない私ですがご愛敬でお見逃し下さい☆