ビー玉



そんなことのあった日は二人とも練習に顔を出さなかった。

監督の許可はとってあったらしく、監督から二人が休みだと告げられる。

何かあったことはわかるのだけれど、監督相手に詳しい話を聞くことはかなわない話だから

残されたメンバーは腑に落ちないものを感じつつもその日は終わった。

そんなこんなで翌日、いつもどおりにコートに向かうと跡部と宍戸の姿があった。

「空気が違う」

ぴりぴりした空気じゃなくなってる。

拍子抜けしたような気持ちだった。

「本当だ」

背後からジローがもたれかかってきて、相槌を打ってくる。

「なんや結局まとまったんかいな」

「そーみたいだねー」

侑士も会話に参加してきて、何だかみんな納得した様子におのおの頷きあう。

ジローはいうだけ言って興味なさ気に大きなあくびをすると

そのまま規則正しい寝息を立てていた

岳人は何かを見落としていることに気がついた。

とても簡単なことを忘れている。

ゆっくりと反芻して、二人の会話から察するに

跡部と宍戸はそういうことだったのかと知った

「心配してたオレってさ、すげーまぬけじゃね?」

「邪魔するよりはよっぽどええやん」

「侑士は気がついていたんだな」

「そらな、跡部の態度見てればな」

「そっか」

むーと思いながら思わず本音がこぼれる

「教えてくれてもいいじゃねえか」

「みんな知ってるわけ違うで。核心はなかったしな」

「でも、オレだけのけものじゃん」

「そういうのもおらんとより空気悪いと思ったからな、言うのやめてん」

「??」

疑問符が頭の中でダンスをした。

でも、聞きたいことがあったので踊る疑問符をかろうじて無視してそれを尋ねる。

「鳳も知ってたのか?」

「知らんな。樺地と日吉も知らん」

「オレらの学年は?

「岳人だけかもなぁ」

「やっぱ、オレだけのけものじゃん!

結局うまくはぐらかされた気がする。

口では敵わないから、余計に腹立だしく思えた。

でも、本当の答えは侑士の口から出ないこともわかっているから

むくれるしかなくて岳人はむぅっと頬を膨らませてうつむいた。

「せやな。そう言ってられるのも今のうちかもしれんけどな」

するろ、頭上から意味ありげな侑士の発言に思わず膨れていた顔も元に戻ってしまう。

「なんだよ、それ」

「まあ、またわかるかもしれん。」

それはこない方がええねんけどな

と侑士は最後の一言は聞こえないような小さな声でつぶやく。

再び??と頭の中の疑問符が踊ることになった岳人は余裕綽々な態度にむかついて

ぽーんと飛んで侑士に飛び乗り、駄々っ子のように理由を聞いた

「なあ、教えろよ。侑士!」

「気にせんでええがな」

結局、教えてもらえなかった岳人だったが、その理由はすぐにわかることになる。

部室を占領され、何度か帰るに帰れない状況に陥るのだった。

そして、仲たがいしてた頃の方が幾分マシだったかもしれないと後悔することになる

どちらがマシかなんて天秤に図っても答えは出ないのだけれど

思わずにはいられない未来が待っていることはまだ知らない。










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