ビー玉



放課後、正レギュラーは専用の部室があるけど全員が入ればそれなりに混雑する広さだ。

いつも早く帰る岳人は、その日は珍しく手間取り部室に入るのが遅くなった。

部室のドアを開けようとすると、思った以上に時間が経っていて跡部と侑士だけになっていた。

なんとなく、ドアを開けるのは躊躇われ、少しドアを開けて聞こえてくる会話に耳を傾ける。

「もういいんや。」

「何の話だ?」

二人の会話は何のことかはわからない。

それは仲間外れのようで寂しいはずなのに、

蚊帳の外がほっとするそんな不思議なポジションだった。

「どっちに転んでもかまわんけど、これ以上とばっちりはごめんやなぁってことや。」

「ふん」

跡部の返答は肯定とも否定とも受け取れる言い方だけど、

侑士には通じたらしく皮肉たっぷりの笑みを浮かべて跡部と向き合いなおす。

「なんや、わかってるんか。で、とんびに油揚げされんのか」

「さぁな」

「そおか。じゃ、お先な」

そろそろ決着がつくことを察した侑士はそれ以上何も言わずに跡部を残して去った。

慌てて岳人は立ち聞きがばれないように身を隠して、

二人が離れるのを待ってから何事もなかったように着替えてる。

跡部とは当たり障りのない会話をして顔色を変えないで話すのが精一杯だった。

勘のいい跡部は気がついていたかもしれない。

でも、二人は何事もなかったように部室を後にした。

すっかり暗くなった道を歩きながら、今日のことを振り返ってみた。岳人が振り返って考えたところで何も変わらないけど、これがもしかしたら仲間意識というのかもしれないなとぼんやり思う。

どんな結末かはわからないけど、素敵な未来になればいいのにと二人のやり取りを思い出しながら岳人は少し祈る気持ちに似た想いを胸に抱く。

 

 

次の日、早朝練習のため思い体を引きずりながら登校した岳人は、

静かな朝に似合わない騒がしい声がするコートの人だかりを見て目が覚めた。

重い体も一気に冴えて、ぴょんぴょんと跳ねてみると跡部と宍戸が中心にいた。

急いで駆けつけると話は終わったみたいで、あくまで跡部の中ではってことだけど、

無理やり宍戸を連れて退場ってところだった。

 

「勝手にひっぱんなよ、おい!跡部っ!」

宍戸の抵抗をものともせずに跡部は宍戸の腕を引いて、二人は派手に退場して行った。










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