ビー玉



跡部と宍戸は何かある

でも、誰も聞けない

二人と仲の良いジローでさえも

 

 

この暗黙の了解、いつ崩れてもおかしくない不安定な均衡だったのだけど

変化の兆しは不意に訪れるものだ。

中学に入ってからずっとこの状態が二年も続いていたから、

みんなその状態が当たり前となっていた。

ただ、今年は準レギュラーから2年生が正レギュラーに上がってきた中に

今までにいないタイプの人種が存在していただけ、といえばそれだけだった。

「宍戸さーん!」

「何だ?長太郎」

「聞いてくださいよ」

日々この会話が耳に入ってくる

天真爛漫な後輩はこの空気に気づいているのかいないのか

傍で見ている岳人達の方が恐くなるほど、冷めた空気。

鳳は上がってからずっとこの空気だから、

これが正レギュラーのふつうの状態と思っているのかもしれない。

今までいた人間にとってはまったく違うのでもうどうすればいいのかわからず、

それでも練習量は増えて精神疲労も加わってもう参加しているのが不思議な状態だった。

当の本人、鳳は変わらず、正レギュラーになってから常に宍戸に話しかけている。

宍戸はとっつきにくいけど、面倒見もいいから懐くのも納得できないわけではないけど

よりによって宍戸じゃなくてもいいのになと岳人は思わずにいられなかった。

鳳は周りが元気をなくすのと反比例してげんきだった。

まるで周りの元気を吸い取っているかのようにも見える。

 

「あーあ、俺らだけこんなに疲れてバカ見てー」

「ほんまになぁ。やってられんわ。あれどうにかならんか」

「なったら苦労しねぇよ。くそっ。ジロー位だぜ、かわんねぇの」

岳人は脇で寝るジローを叩くが、ジローは気にせず規則正しい寝息を続けていた。

「そうかもね。鳳ってある意味大物だよね」

滝は相槌を打ちながら、やんなっちゃうという風にわざとらしく軽くため息をつく

「そんな悠長に言えるレベルちゃうやろ、滝」

「本当だぜ、滝ダブルス組むんだし言ってみそ?」

「言っても通じる相手かな…ねぇ?」

その言葉に二人はそれ以上言えなかった。

 

こんなことになるなんて

誰も思わなかった。

関係ないのに蛇の生殺しはうんざりしてる。

自力でなんとかできないことほど、いらいらすることはない

ことを実感させられる。

だからといって、何かできるコトはあるかなと考えても何も浮かばない

誰かがどうにかしてくれることを祈るしかない無力な自分に岳人は虚しさを覚えた。










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